「住んでいる人がいる不動産」はどうやって売る？

共有不動産を売却しようと考えたとき、その物件に現在誰かが住んでいるかどうかは非常に重要なポイントです。
たとえば以下のようなケースでは、調整や配慮が不可欠になります。

・親が住んでいる実家を相続して売却したい
・離婚後、元配偶者が住み続けているマンションを売りたい
・共有者の一人が住んでいる物件を売却したい

この記事では、「住人がいる共有不動産」を売却する際の基本対応から実務的な手順、注意点までをわかりやすく解説します。

住んでいる人がいる場合の基本対応

対応①： 住んでいる人との合意を得る
共有不動産に住んでいる人がいる場合、最も重要なのはその住人との合意を得ることです。もしその住人が他の共有者ではなく第三者である場合、住んでいる人に対して売却についての意向を伝え、理解と同意を得ることが必要です。

住んでいる人が売却に反対する場合、その理由をよく聞いて、調整できる部分がないかを考えます。
例えば、以下のような提案で合意を目指します。

・引っ越し先の紹介や住居確保の支援
・引っ越し費用の一部負担
・売却時期の調整

対応②：引っ越しをサポートする
合意を得られたら、スムーズな引っ越しを支援するのが望ましい対応です。
高齢者や長年住んでいた方ほど、環境の変化には配慮が必要です。
引っ越し業者の手配、新居探し、費用の一部負担などを通じて、住人の不安を軽減します。

対応③：住み続ける前提で売却する選択肢も検討する
住んでいる人が売却には同意するものの、引っ越すことができない理由がある場合（例えば、高齢で移動が困難、住居に長年住んでいるなど）、住み続ける条件での売却を検討する方法もあります。
この場合、購入者と住み続ける条件を交渉し、賃貸契約を結ぶなどの方法を取ることができます。

売却をスムーズに進める方法

方法①：共有者間での合意を得る
住んでいる人が共有者である場合は、まず共有者全員での売却合意が必要です。
合意が得られない場合でも、不動産会社を間に入れることで調整がスムーズになることもあります。

方法②：不動産買取業者に依頼する
スピーディに売却を進めるためには、不動産買取業者を利用する方法があります。
買取業者は、物件を即日で買い取ることができるため、住んでいる人が引っ越しの準備を整える期間を短縮できます。

買取価格は市場価格よりも下がる傾向がありますが、「売却までのスピード」や「住人との調整の柔軟さ」を優先する方には向いています。

方法③：売却後に賃貸契約を結ぶ
住んでいる人が引っ越しを希望しない場合、売却後に住み続けられるように、賃貸契約を結ぶ方法もあります。
この方法では、売却を進めつつ、住人がそのまま物件に住み続けることができるため、売却後の生活の不安を解消することができます。
賃貸契約を結ぶ際には、購入者との合意が必要となります。購入者が賃貸契約を受け入れるかどうかを確認し、賃貸条件をしっかりと取り決めておきましょう。

共有不動産に住んでいる人がいる場合の注意点

注意点①：感情面への配慮
住み慣れた家の売却は、住人にとって大きなストレスです。
一方的に手続きを進めるのではなく、事情の丁寧な説明と気持ちへの配慮が必要です。
良好な人間関係を保ちながら進めることが、結果としてトラブルを防ぎ、売却成功につながります。

注意点②：法的手続きと専門家の活用
売却には法律上の手続きや契約が伴います。
特に住んでいる人がいるケースでは、以下のような点に注意しながら、慎重に進める必要があります。

・立ち退き交渉
・賃貸契約の設定
・共有者間の同意

複雑な状況においては、不動産に詳しい専門家（弁護士や専門業者）と連携することが、トラブルを避ける近道になります。

【まとめ】配慮と準備が、円満な売却のカギ

住んでいる人がいる共有不動産でも、丁寧に対応すれば売却は可能です。

・同意の取得
・引っ越し支援や代替案の提示
・法的な整備や専門家の協力

こうした配慮と段取りの積み重ねが、トラブルを避け、円満な売却へとつながります。
不安なときは、一人で抱え込まずに専門家に相談することが、最初の一歩です。