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共有不動産を「内緒で」売ることはできる?法律と実務の現実
バレずに売るのは無理。揉めずに売る準備がカギ。
共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック「できれば黙って、自分の持分だけでも売りたい」――そう考えていませんか?
相続や離婚などで取得した共有名義の不動産
・他の共有者と話すのが気まずい
・話し合いがこじれるのが怖い
・とにかく維持の負担から解放されたい
このような思いから、「できれば内緒で売却できないか」と考える方は少なくありません。
この記事では、そのような方のために、以下のポイントをわかりやすく整理してご紹介します。
・法律上、内緒で売却は可能なのか
・実際に売却する際の流れと準備
・注意点とリスク
・実際にあったトラブルの事例
納得のいく判断ができるよう、ぜひ参考にしてください。
共有不動産において、自分の持分は他の共有者に黙って売却可能です。
これは民法第249条で明確に認められており、共有者は自己の持分を自由に処分することができます。
ただし注意が必要なのは、売却できるのは「自分の持分だけ」であり、不動産全体を勝手に売ることはできないという点です。
また、法律上は可能でも、実際にはさまざまな実務上のハードルがあることを理解しておきましょう。
▼主な買い手は専門業者
個人が共有持分だけを購入することはほとんどなく、実際の売却先は共有持分専門の買取業者になります。
相場より安くなることは避けられませんが、手続きを進める上では現実的な選択肢です。
▼必要書類の準備
売却には、以下のような書類が必要になります。
・登記識別情報(または登記済権利証)
・本人確認書類
・印鑑証明書
・固定資産税納税通知書 など
不備があると手続きに支障が出るため、事前に確認を。
▼売却後、登記情報は公開される
名義変更後の登記情報は、法務局で誰でも閲覧できる状態になります。
そのため、売却を完全に「内緒」で貫くのは現実的に不可能です。いずれ共有者に知られる前提で準備を整えておく必要があります。
①完全な「秘密売却」はできない
登記が公開情報となるため、いずれ他の共有者に知られることを想定し、感情的対立を避ける備えが必要です。
②売却価格は相場より安くなる
共有持分は利用や処分に制限があるため、通常の市場価格より2〜5割程度安くなるケースが多くなります。
③信頼できる相手に売却すること
トラブル回避のためには、実績のある専門業者への相談が安心です。個人間でのやりとりや不透明な業者は避けるべきです。
④事前に専門家と対策を検討する
「後から揉めたらどうするか」「そもそも売却が最適か」など、事前に専門家とシミュレーションしておくと安心です。
事例①|黙って売却し、兄妹で感情的対立に
・地方にある祖父の遺産を兄妹で共有
・兄が「どうせ相談しても無駄」と判断し、黙って業者に持分を売却
・妹が登記情報で売却を知り、激怒
妹は、業者に対して使用料の請求や家庭裁判所での分割請求を行い、兄は弁護士費用や裁判費用を差し引かれた結果、売却益の大半を失うことに。
事例②|実家に住む共有者と売却後に対立
・相続後、長男が地方在住・実家管理は弟が担っていた
・長男が「もう不要だ」として、弟に知らせずに業者へ持分を売却
・弟が後から事実を知り、「生活の場に外部が入るのは困る」と反発
その後、話し合いは調停に発展。解決まで1年以上を要し、長男は精神的・時間的な負担を抱えることとなった。
「揉めたくないが、現金化したい」
「どんな選択肢があるのか整理したい」
「法的に大丈夫か心配」
こうした悩みを一人で抱え込むと、判断を誤りトラブルの元になります。
不動産や共有名義に詳しい専門家(弁護士・買取業者)に相談することで、安全に次の一手を選ぶことができます。
共有持分の売却は、法律上は可能であっても、現実には多くの注意点やリスクが伴います。
特に「内緒」で進めようとするほど、あとからのトラブルや感情的対立が起きやすくなります。
大切なのは、黙って進めるかどうかではなく、納得して進められる方法を見つけることです。
まずは信頼できる専門家に相談し、焦らず冷静に選択肢を整理することが、後悔しないための第一歩です。
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