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【令和3年民法改正後】袋路の私道持分9分の1物件…購入はアリ?ナシ?不動産のプロが徹底解説!

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位置指定道路の共有持分が9分の1しかない物件の購入を検討していますが、購入して良いものか迷っています。令和3年の民法改正も考慮した上で、購入の可否と理由を教えてください。
まず、位置指定道路(いちしていどうろ)とは、道路法で道路として位置が指定されている道路のことです。私道(しどう)とは、個人が所有する道路のことです。今回のケースでは、位置指定道路である共有私道、つまり、複数の所有者が共有する私道が問題となっています。共有持分とは、その私道の所有権を何人でどれだけ分けるかを示す割合です。9分の1の持分とは、私道の所有権の9分の1を所有していることを意味します。
結論から言うと、この物件の購入は慎重に検討すべきです。 9分の1という小さな持分は、将来的な道路の維持管理や修繕において、意思決定に大きな影響を与えます。他の共有者との合意形成が難しく、費用負担や修繕工事の決定に苦労する可能性が高いです。特に、築古物件と築浅物件が混在している場合は、修繕に対する考え方の違いから意見が対立する可能性も考えられます。
このケースでは、道路法と民法が関係します。道路法は、道路の設置や維持管理に関する法律です。位置指定道路であっても、私道である以上、その維持管理は共有者全員の責任となります。(道路法はあくまで位置を指定しているだけで、所有権や管理責任を直接規定しているわけではありません)。民法は、共有物の管理や修繕に関する規定を定めています。共有者は、互いに協議して共有物の管理・修繕を行う義務があります。しかし、協議がまとまらない場合、裁判所に解決を求めることになります。
接道幅が2mを満たしていても、安心できません。接道幅は、建築基準法で定められた最低限の幅であり、道路の維持管理の容易さを保証するものではありません。また、通行権(つうこうけん)は、道路を使用する権利ですが、所有権とは異なります。通行権だけでは、道路の修繕や改修に積極的に関与することは難しいです。
購入前に、必ず他の共有者と連絡を取り、道路の維持管理状況や将来的な計画について確認しましょう。修繕積立金制度(しゅうぜんせきりつきんせいど)があるか、過去の修繕履歴、今後の修繕計画、費用負担の割合などを確認することが重要です。また、共有者との良好な関係を築けるかどうかも重要な判断材料です。最悪の場合、裁判沙汰になる可能性も考慮する必要があります。
共有私道の問題や、民法改正後の共有物に関する法律解釈に不安がある場合、弁護士や不動産鑑定士に相談することをお勧めします。専門家は、物件の価値やリスクを的確に評価し、適切なアドバイスをしてくれます。特に、共有者とのトラブルが発生した場合、専門家の助言は不可欠です。
位置指定道路の共有私道に接する物件の購入は、多くのリスクを伴います。共有持分が小さいほど、リスクは高まります。購入を検討する際は、共有者との関係、道路の維持管理状況、将来的な費用負担などを十分に検討し、必要に応じて専門家の意見を聞くことが重要です。安易な判断は、将来大きなトラブルにつながる可能性があります。 令和3年の民法改正は、共有物の管理に関する規定を明確化しましたが、それでも共有者間の合意形成が不可欠であることに変わりはありません。慎重な判断をお願いします。
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