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【宅建過去問解説】兄弟共有不動産の単独相続登記と共有持分権の対抗力:嘘の登記は無効?

【背景】
宅建の過去問を解いていたら、「平成19年問6 甲不動産につき兄と弟が各自2分の1の共有持分で共同相続した後に、兄が弟に断ることなく単独で所有権を相続取得した旨の登記をした場合、弟は、その共同相続の登記をしなければ、共同相続後に甲不動産を兄から取得して所有権移転登記を経た第三者に自己の持分権を対抗できない。答え ✖️ 」という問題に遭遇しました。

【悩み】
問題の答えが✕であることは理解できたのですが、兄の単独登記が嘘の登記であっても、登記されている以上有効なのか、それとも弟の本当の持ち主としての権利が優先されるのか、その仕組みがよく分かりません。嘘の登記は、登記してあっても意味がなく、本当の持ち主が力を持っている、ということなのでしょうか?

弟の共有持分権は対抗力を持つ

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

この問題は、不動産の共有(複数の者が所有権を共有すること)と、所有権移転登記(所有権の移転を公示する登記)に関する知識が問われています。 不動産の所有権は、登記簿に記載された者にあると推定されます(登記公信力)。しかし、登記が真実の所有状況と一致しない場合もあります。この問題では、兄が不正に単独登記を行った点がポイントです。

また、「対抗力」とは、自分の権利を第三者に対抗できる力のことです。例えば、AさんがBさんから土地を購入し、所有権移転登記を済ませた場合、Aさんはその土地の所有者として、他の誰でもなく、その土地に関する権利を主張できます。これが対抗力です。

今回のケースへの直接的な回答

問題の解答が✕である理由は、弟が共同相続の登記をしなくても、弟の共有持分権は、兄から甲不動産を取得した第三者に対抗できるからです。兄の単独登記は、弟の権利を消滅させるものではありません。弟の共有持分は、登記されていないとしても、法律上は存在し、保護されます。

関係する法律や制度がある場合は明記

この問題は、民法(特に共有に関する規定)と不動産登記法に関係します。民法では、共有者の1人が他の共有者の承諾なく単独で処分(売買など)することは原則としてできません。また、不動産登記法では、登記は所有権の移転を公示する役割を果たしますが、登記が不正な場合は、登記の内容が真実とは限らないということです。

誤解されがちなポイントの整理

誤解されやすいのは、「登記されたものが全て正しい」という点です。登記はあくまで公示の手段であり、登記がされていても、その内容が真実とは限りません。不正な登記は、無効とはならないものの、その登記に基づいて権利主張を行うことはできません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

例えば、兄が甲不動産をCさんに売却し、Cさんが所有権移転登記をしたとしても、弟はCさんに対して、自分の共有持分を主張できます。この場合、弟は、裁判を通して自分の共有持分を主張し、Cさんに対して、その持分相当分の代金を請求することができます。

専門家に相談すべき場合とその理由

不動産に関する紛争は複雑になる可能性があります。今回のケースのように、不正な登記や共有に関する問題が発生した場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが重要です。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、紛争解決を支援してくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

* 登記は所有権を証明する重要な手段ですが、登記された内容が必ずしも真実とは限りません。
* 不正な登記は、無効とはなりませんが、その登記に基づいた権利主張は認められません。
* 共有不動産においては、共有者の1人が他の共有者の承諾なく単独で処分することは原則としてできません。
* 不動産に関する紛争が発生した場合は、専門家への相談が重要です。

この問題を通して、不動産登記の重要性と、登記された内容が必ずしも真実を反映していない可能性があることを理解することが大切です。 共有不動産に関するトラブルを避けるためには、事前に共有関係を明確にしておくことが重要です。 また、何か問題が発生した際には、専門家の助言を求めることをお勧めします。

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