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【相続トラブル回避ガイド】痴呆症の母と遺留分請求…遺言と現実の狭間でどうすれば?

父が亡くなり、生前に遺言を残しています。相続人は母(痴呆症)、兄、私の3人です。父の財産は土地付き家屋2軒と預金400万円です。父は借金のある兄に遺産を渡したくなかったようで、暮らしていた1軒は孫娘(私の娘)に、残りは母のためにという遺言書を残しました。執行人として私が任命されています(成年後見人ではありません)。兄が遺留分の要求をしてきました。私は相続していないので関係ないと考えますが、母の分が心配です。母は痴呆症で特養に入所しており、相続された土地家屋を売却できません。預金も生活費や医療費に必要です。遺留分は遺産総額の1/8ですが、母が払えない場合、孫娘分から1/8を払う必要があるのでしょうか?それとも他の決まりがあるのでしょうか?成年後見人は立てるつもりはありません。
母の遺留分は、他の相続人から補填請求できます。

相続と遺留分の基礎知識

相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産が相続人に引き継がれることです。相続人は、法律で定められた順位(相続順位)によって決まります。今回のケースでは、配偶者であるお母様、そしてお子様である質問者様とご兄弟が相続人となります。

遺留分とは、相続人が最低限受け取る権利のある財産の割合のことです。民法では、配偶者と子がいる場合、配偶者は相続財産の1/2、子は1/2を遺留分として最低限保障されています。ただし、子が複数いる場合は、その数で1/2を分割します。 今回のケースでは、お母様は配偶者として遺留分を有し、その割合は、遺産全体の1/2となります。

今回のケースへの回答

ご兄弟からの遺留分請求は、お母様の遺留分が侵害されているという主張に基づいています。遺言書では、お母様には土地付き家屋1軒が相続されていますが、ご兄弟の主張は、遺言の内容に関わらず、お母様には遺留分相当の財産が確実に渡るべきというものです。

お母様は痴呆症で判断能力が不十分なため、ご自身で遺留分を請求することができません。そのため、ご兄弟が代わりに請求していると考えられます。

関係する法律

このケースでは、民法(特に相続に関する規定)が関係します。具体的には、遺留分に関する規定(民法第1000条以下)が重要です。 遺留分は、相続人の権利として法律で保障されているため、遺言で完全に排除することはできません。

誤解されがちなポイント

「相続していないから関係ない」という考えは誤りです。質問者様は執行人として、相続手続きに関わっています。また、遺留分は、相続人の権利であり、遺言の内容に関わらず、一定の割合の財産を受け取る権利が保障されています。

実務的なアドバイス

まず、遺産全体の評価額を正確に算出する必要があります。土地付き家屋2軒の評価額、預金400万円を合計し、そこから借金など控除すべき費用を差し引きます。

次に、お母様の遺留分を計算します。遺産全体の1/2が、お母様の遺留分です。遺言で指定された土地付き家屋1軒の評価額が、この遺留分を満たしているか確認します。満たしていない場合、不足分を他の相続人(質問者様とご兄弟)から補填する必要があります。

お母様の生活費や医療費のために、預金を出来るだけ残したいというご希望は理解できますが、遺留分を確保した上で、残りの財産をどのように分配するかは、慎重に検討する必要があります。

専門家に相談すべき場合

相続問題は複雑で、法律の知識がなければ、誤った判断をしてしまう可能性があります。遺留分に関するトラブルは、裁判に発展する可能性もあります。そのため、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。特に、成年後見人の選任や、遺産分割協議、そして裁判の可能性などが考えられる場合は、専門家のアドバイスは不可欠です。

まとめ

痴呆症のお母様の遺留分を確保することは、法律上重要な義務です。遺言書の内容と遺留分の関係、そして相続財産の評価、分割方法など、専門家の適切なアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、円満な相続手続きを進めることが可能です。 ご自身だけで抱え込まず、専門家の力を借りることが、最適な解決への近道となります。

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