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サラリーマン夫と専業主婦の相続と離婚:賃貸不動産収入の扱い方と財産分与

【背景】
亡くなった父から不動産を相続しました。その不動産を賃貸に出して収入を得ています。夫はサラリーマンで、私は専業主婦です。将来、離婚することになった場合のことを考えています。

【悩み】
相続で得た不動産からの賃貸収入は、私の固有の財産でしょうか?もし離婚することになったら、夫は婚姻中に得た私の賃貸収入を共有財産として請求できるのでしょうか?また、夫の婚姻中の収入は夫婦共有財産として分割されることは理解していますが、私の賃貸収入は共有財産にはならないのでしょうか?

相続した不動産の賃貸収入は原則、あなたの固有財産です。離婚時の財産分与では、婚姻期間中に得た収入が考慮されますが、相続財産からの収入は対象外となる可能性が高いです。

相続と財産分与の基本

まず、相続と財産分与の違いを理解することが重要です。相続とは、亡くなった方の財産が、法律で定められた相続人に引き継がれることです(民法第876条)。一方、財産分与は、離婚の際に夫婦が築いた共有財産を分割することです(民法第760条)。

今回のケースでは、ご質問者様が亡き父から相続した不動産は、相続によって取得された財産です。相続によって取得した財産は、相続開始時点(被相続人が亡くなった時点)で既にあなたのものとなります。

賃貸収入はあなたの固有財産

相続によって取得した不動産から得られる賃貸収入は、原則としてあなたの固有財産(あなただけの財産)です。これは、あなたが相続した不動産を管理・処分する権利を有しているためです。夫は、この不動産やその賃貸収入に対して、直接的な権利を有していません。

婚姻中の収入と財産分与

離婚の際に問題となるのは、婚姻期間中に得られた収入や財産です。民法では、夫婦の財産について、共有財産と別財産を区別しています。

一般的に、婚姻期間中に得られた収入(サラリーマンの給与など)は、夫婦の共有財産とみなされます。これは、夫婦が協力して生活を営む中で得られた成果であるという考えに基づいています。

しかし、相続によって得られた財産やその収入は、原則として共有財産にはなりません。これは、相続財産は夫婦の共同生活とは独立したものであり、夫の貢献とは直接関係がないとみなされるためです。

法律上の根拠:民法

この点については、民法760条の財産分与に関する規定が関係します。この条文は、離婚の際に夫婦の共有財産を分割することを定めていますが、相続財産は共有財産の対象外と解釈されるのが一般的です。

誤解されやすい点:婚姻期間中の取得

相続した不動産を婚姻中に取得したとしても、その収入は共有財産とはなりません。重要なのは、その財産の取得原因が相続であるということです。婚姻期間中に取得したとしても、相続という取得原因が優先されます。

実務的なアドバイス:明確な証拠を残す

離婚に備えて、相続した不動産とその賃貸収入に関する証拠をきちんと残しておくことが大切です。例えば、相続登記簿謄本(不動産の所有権を証明する書類)、賃貸借契約書、家賃領収書などを保管しておきましょう。これらの書類は、将来、財産分与の際にあなたの権利を主張する上で重要な証拠となります。

専門家に相談すべき場合

離婚が複雑なケース(高額な財産がある場合、夫婦間に大きな争いがある場合など)や、財産分与について不安がある場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。専門家は、あなたの状況を詳しく聞き取り、適切なアドバイスをしてくれます。

まとめ:相続財産は原則、固有財産

相続によって取得した不動産とその賃貸収入は、原則としてあなたの固有財産であり、離婚時の財産分与の対象とはなりません。ただし、状況によっては複雑な問題となる可能性もあるため、不安な場合は専門家に相談することをお勧めします。 明確な証拠を保管しておくことで、将来のトラブルを回避できる可能性が高まります。

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