セール・アンド・リースバックとは?基礎知識をわかりやすく解説
「セール・アンド・リースバック」とは、自社で所有している資産(不動産、機械、設備など)をいったん売却し、売却した相手から再びリース(賃貸借)という形で借り受ける取引のことです。簡単に言うと、「売って借りる」という行為です。
この取引の大きな特徴は、資産を売却することでまとまった資金を調達できる点です。同時に、資産を使い続けることができ、事業活動への影響を最小限に抑えられます。一見すると不思議な取引ですが、企業にとっては様々なメリットがあるため、広く利用されています。
ポイント:
- 資産を「売却」して現金を得る
- 売却した資産を「リース」で借りて使い続ける
この二つのステップがセール・アンド・リースバックの基本的な流れです。
なぜ?セール・アンド・リースバックの直接的な目的を理解する
では、なぜ企業はわざわざこのような取引を行うのでしょうか?主な目的は、大きく分けて以下の2点です。
- 資金調達:
一番の目的は、資金を調達することです。保有している資産を売却することで、まとまった現金を手に入れることができます。この資金は、運転資金の確保、借入金の返済、新たな事業への投資など、様々な用途に利用できます。
- 財務体質の改善:
資産を売却することで、企業のバランスシート(貸借対照表)が変化します。資産が減少し、負債が減少(または自己資本が増加)することで、自己資本比率が向上し、財務体質が改善される可能性があります。これにより、金融機関からの信用力が高まり、資金調達がしやすくなることもあります。
質問者様が疑問に思われたように、資産を売却してリース料を支払うことは、一見すると損をするように感じるかもしれません。しかし、企業の状況によっては、資金調達や財務体質の改善によるメリットの方が大きい場合があります。
セール・アンド・リースバックに関連する法律や制度
セール・アンド・リースバックは、様々な法律や制度と関連しています。主なものとして、以下の2つが挙げられます。
- 民法:
売買契約や賃貸借契約は、民法に基づいて行われます。売買契約では、資産の所有権が移転し、賃貸借契約では、資産の使用権が認められます。
- 税法:
セール・アンド・リースバックによる売却益やリース料は、税務上の取り扱いが異なります。売却益には法人税が課税される一方、リース料は損金(経費)として計上できます。税務上の影響も考慮して、取引を行う必要があります。
これらの法律や制度は、取引の法的側面や税務上の影響を理解する上で重要です。
誤解されがちなポイントを整理
セール・アンド・リースバックについて、よくある誤解を整理しましょう。
- 誤解1:売却すると資産を完全に失う。
実際は、リース契約により、引き続きその資産を使用できます。所有権は移転しますが、使用権は確保できる点が重要です。
- 誤解2:リース料は無駄なコスト。
リース料は確かにコストですが、資金調達や税務上のメリット、固定資産税の負担軽減など、様々なメリットと天秤にかける必要があります。
- 誤解3:すべての資産で利用できる。
すべての資産がセール・アンド・リースバックの対象になるわけではありません。一般的には、不動産や大型の設備など、高額で長期的に使用する資産に適しています。
これらの誤解を解くことで、セール・アンド・リースバックの本質をより深く理解できます。
実務的なアドバイスと具体例
セール・アンド・リースバックを検討する際には、以下の点に注意しましょう。
- 専門家への相談:
税理士や不動産鑑定士など、専門家への相談は必須です。税務上の影響や、資産の適正な評価額、リース条件などを検討する必要があります。
- 複数のリース会社との比較:
リース料や契約条件は、リース会社によって異なります。複数の会社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。
- 長期的な視点:
短期的な資金調達だけでなく、長期的な事業計画に基づき、総合的に判断することが大切です。将来のキャッシュフローへの影響も考慮しましょう。
具体例:
ある製造業者が、工場の土地と建物をセール・アンド・リースバックしたケースを考えてみましょう。
売却により得た資金で、最新鋭の設備を導入し、生産性を向上させました。
リース料は発生しますが、設備の導入による利益増加や、税務上のメリットを考慮すると、
結果的に企業全体の収益性が向上した、という事例もあります。
専門家に相談すべき場合とその理由
以下のような場合は、専門家への相談を強くお勧めします。
- 税務上の影響が複雑な場合:
売却益に対する課税や、リース料の損金算入など、税務上の影響は複雑です。税理士に相談し、適切な税務処理を行う必要があります。
- 資産の評価が難しい場合:
不動産や高額な設備の適正な評価額を算出することは、専門的な知識が必要です。不動産鑑定士などの専門家による評価を受けることが重要です。
- 契約条件が複雑な場合:
リース契約には、様々な条件が含まれます。弁護士に相談し、契約内容を十分に理解し、不利な条件がないか確認することが大切です。
専門家は、個別の状況に応じたアドバイスを提供し、リスクを最小限に抑えるためのサポートをしてくれます。
まとめ:セール・アンド・リースバック取引の重要ポイント
セール・アンド・リースバックは、資金調達や財務体質の改善に役立つ有効な手段です。しかし、メリットだけでなく、デメリットやリスクも理解した上で、慎重に検討する必要があります。
今回の重要ポイント:
- 資金調達と財務体質改善が主な目的
- リース料はコストだが、メリットも考慮
- 専門家への相談は必須
セール・アンド・リースバックを理解し、企業の成長に役立てましょう。

