テーマの基礎知識:任意売却と自己破産とは?
マンションのローン返済に行き詰まった際、選択肢となるのが「任意売却」と「自己破産」です。
それぞれの言葉の意味と、基本的な仕組みを理解しておきましょう。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった場合に、債権者(お金を貸した人、通常は金融機関)の合意を得て、マンションを売却する方法です。
市場価格で売却を目指せるため、自己破産よりも高く売れる可能性があります。
売却代金はローンの残債に充当され、残った債務(ローンの未払い分)は、分割で支払うか、債権者との交渉によって減額されることもあります。
一方、自己破産は、裁判所に申し立てを行い、借金の返済を免除してもらう手続きです(免責)。
自己破産が認められると、原則としてすべての借金の返済義務がなくなります。
ただし、一定の財産(マンションなど)は処分されることになります。
自己破産は、借金が多額で返済の見込みがない場合に有効な手段ですが、信用情報に影響が出るなどのデメリットもあります。
今回のケースへの直接的な回答
ご相談者様の状況を考慮すると、どちらの選択肢にもメリットとデメリットが存在します。
専門業者から自己破産を勧められたとのことですが、最終的な判断は、ご自身の状況と将来のライフプランを総合的に考慮して行う必要があります。
任意売却を選択した場合、マンションを売却し、残債を分割で支払うことになります。
個人再生の支払いも残っているため、経済的な負担は続きますが、自己破産による信用情報への影響を避けることができます。
結婚を控えているとのことですので、今後のライフプランを考慮すると、信用情報への影響は、住宅ローンやクレジットカードの利用に影響を与える可能性があります。
自己破産を選択した場合、ローンの残債と個人再生の支払いが免除され、経済的な負担は軽減されます。
しかし、信用情報に記録が残り、一定期間(5年から10年程度)は、新たな借り入れやクレジットカードの利用が難しくなります。
また、マンションは処分されることになります。
ご自身の収入と支出、将来のライフプラン、そして信用情報への影響などを総合的に考慮し、専門家とよく相談して、最適な選択肢を見つけることが重要です。
関係する法律や制度
任意売却と自己破産には、関連する法律や制度があります。
- 民法:債権(お金を貸した権利)と債務(お金を返す義務)に関する基本的なルールを定めています。
- 破産法:自己破産の手続きや、破産者の権利と義務について定めています。
- 個人再生:借金が返済困難な人が、裁判所の認可を得て、借金を減額し、原則3年かけて分割で返済する制度です。
- 住宅ローン特別条項:個人再生を行う際に、住宅ローンを支払い続けるための特別な取り決めです。
これらの法律や制度を理解しておくことで、任意売却や自己破産の手続きをスムーズに進めることができます。
誤解されがちなポイントの整理
任意売却と自己破産について、誤解されがちなポイントを整理します。
- 自己破産をすると、すべての借金がなくなるわけではない:税金や養育費など、自己破産しても免除されない債務もあります。
- 任意売却は必ず成功するわけではない:債権者の合意が得られない場合や、買い手が見つからない場合は、任意売却が成立しないこともあります。
- 自己破産をすると、すべての財産が没収されるわけではない:生活に必要な最低限の財産(現金や家財など)は、手元に残すことができます。
- 任意売却は、自己破産よりも手続きが簡単:任意売却は、専門業者に依頼すれば、手続きを代行してもらうことができます。自己破産は、裁判所の手続きが必要となり、複雑です。
これらの誤解を解き、正しい知識を持つことが、適切な判断をするために重要です。
実務的なアドバイスや具体例の紹介
任意売却と自己破産に関する、実務的なアドバイスと具体例を紹介します。
- 任意売却の手続きの流れ:専門業者に相談し、査定を受け、売却価格を決定します。債権者との交渉を行い、売買契約を締結し、引き渡しを行います。
- 自己破産の手続きの流れ:弁護士に相談し、破産申立書を作成し、裁判所に提出します。裁判所の審尋(事情を聞き取ること)を受け、免責許可を得ます。
- 任意売却のメリット:市場価格で売却できる可能性があり、残債を分割で支払うことで、自己破産による信用情報への影響を避けることができます。
- 自己破産のメリット:すべての借金の返済義務が免除され、経済的な負担が軽減されます。
- 任意売却のデメリット:売却価格がローンの残債を下回る場合、残債を分割で支払う必要があります。
- 自己破産のデメリット:信用情報に記録が残り、一定期間は新たな借り入れやクレジットカードの利用が難しくなります。
具体例として、ご相談者様のケースを考えてみましょう。
手取り収入31万円、ローンの返済6.3万円、共益費2.5万円、個人再生の支払い5.7万円、固定資産税1.5万円。
自由に使えるお金は2.5万円です。
この状況では、貯金をする余裕がなく、将来の生活に不安を感じるのは当然です。
任意売却を選択した場合、マンションを売却し、残債を分割で支払うことになります。
自己破産を選択した場合、ローンの残債と個人再生の支払いが免除され、経済的な負担は軽減されますが、信用情報への影響は避けられません。
専門家に相談すべき場合とその理由
任意売却と自己破産に関する問題は、専門的な知識が必要となるため、専門家への相談が不可欠です。
- 弁護士:自己破産の手続きや、債務整理に関する法的アドバイスを行います。
- 不動産鑑定士:マンションの適正な売却価格を評価します。
- ファイナンシャルプランナー:家計の見直しや、将来のライフプランに関するアドバイスを行います。
- 任意売却専門業者:任意売却に関する手続きを代行し、債権者との交渉を行います。
専門家への相談は、以下のような場合に特に重要です。
- 借金の状況が複雑で、自分だけでは解決できない場合。
- 任意売却と自己破産のどちらを選択すべきか、判断に迷う場合。
- 将来のライフプランについて、具体的なアドバイスが必要な場合。
専門家は、個別の状況に合わせて、最適なアドバイスを提供してくれます。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回の相談内容から、重要なポイントをまとめます。
- 任意売却と自己破産は、それぞれメリットとデメリットがある。
- ご自身の収入、支出、将来のライフプランを考慮して選択する。
- 専門家(弁護士、不動産鑑定士、ファイナンシャルプランナーなど)に相談する。
- 自己破産を選択した場合、信用情報への影響を考慮する。
- 任意売却を選択した場合、残債の分割払いの計画を立てる。
ご相談者様は、結婚を控えており、将来の生活への不安を抱えています。
まずは、専門家と相談し、ご自身の状況を詳しく説明しましょう。
そして、それぞれの選択肢のメリットとデメリットを理解し、将来のライフプランに合った、最適な選択をしてください。
ご自身の状況を客観的に把握し、専門家の意見を参考にしながら、慎重に判断することが重要です。

