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マンション共有持分の相続と特別縁故者分与:専有部分と敷地利用権の分離処分は可能?

【背景】
宅建試験のテキストで、共有持分の一人が相続人なく死亡した場合、特別縁故者(*1)への帰属がないと他の共有者に帰属すると学びました。しかし、マンション(区分建物)の場合に疑問が生じました。

【悩み】
専有部分のみを特別縁故者への分与を申し立てた場合、専有部分は特別縁故者、敷地(共有部分)は他の共有者に帰属することになりますよね? これは、専有部分と敷地利用権の分離処分禁止(*2)に反するものではないでしょうか? 専有部分と敷地利用権を同時に申し立てる規定はないように思うのですが…。

専有部分のみの分与は可能だが、法令違反の可能性あり。専門家相談を推奨。

1. 共有持分と区分所有の基礎知識

まず、共有持分と区分所有について理解しましょう。共有持分とは、複数の者が一つの不動産を共有する権利のことです。一方、区分所有とは、建物を区分してそれぞれが所有権を持つ制度で、マンションなどが該当します。マンションの場合、専有部分(各戸の部屋)と共有部分(敷地、廊下、エレベーターなど)があります。専有部分は個人が所有しますが、共有部分は区分所有者全員で共有します。

2. 特別縁故者分与とは何か?

相続人がいない場合、被相続人の財産は国庫に帰属します(民法第900条)。しかし、特別縁故者(*1)がいる場合は、彼らに財産を分与することが認められています。特別縁故者とは、被相続人と特に親密な関係にあった者で、具体的には、婚姻関係にあった者、事実上婚姻関係にあった者、生計を共にしていた者などが該当します。

3. 今回のケースへの直接的な回答

質問にあるように、専有部分のみを特別縁故者に分与する申立てがなされた場合、専有部分は特別縁故者に、敷地は他の共有者に帰属する可能性があります。しかし、これが専有部分と敷地利用権の分離処分禁止(*2)に抵触するかどうかは、ケースバイケースで判断が難しい点です。

4. 関係する法律や制度

この問題には、民法(特に相続に関する規定)と区分所有法が関係します。区分所有法では、専有部分と共有部分の利用関係について規定していますが、特別縁故者分与に関する直接的な規定はありません。そのため、民法の規定と裁判例を参考に判断する必要があります。

5. 誤解されがちなポイントの整理

「専有部分と敷地利用権の分離処分禁止」は、必ずしも専有部分と共有部分を分離して処分できないという意味ではありません。例えば、専有部分の売買は可能です。しかし、共有部分の利用に著しく支障をきたすような分離処分は認められない可能性があります。今回のケースでは、敷地利用権の分離が他の共有者の権利を著しく侵害するかどうかが問題となります。

6. 実務的なアドバイスや具体例の紹介

専有部分のみの分与が認められるか否かは、裁判所の判断に委ねられることが多いです。裁判所は、各共有者の権利、特別縁故者との関係、分与の妥当性などを総合的に考慮して判断します。そのため、事前に弁護士などの専門家に相談し、適切な手続きをとることが重要です。

7. 専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースは、法律の解釈が複雑で、裁判例も様々です。そのため、専門家の助言なしに判断を進めるのはリスクが大きいです。特に、分与の方法を誤ると、他の共有者との紛争に発展する可能性があります。専門家(弁護士、司法書士など)に相談し、適切な手続きを進めることを強くお勧めします。

8. まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

マンションの共有持分の相続において、特別縁故者への分与は、専有部分のみを対象とすることも可能ですが、敷地利用権との分離処分が他の共有者の権利を侵害する可能性があるため、法的な問題が生じる可能性があります。専門家への相談が不可欠です。

(*1)特別縁故者:相続人がいない場合に、被相続人の財産を相続できる可能性のある者。
(*2)専有部分と敷地利用権の分離処分禁止:専有部分と共有部分の利用を分離して処分することが、必ずしも禁止されているわけではないが、他の共有者の権利を著しく侵害するような処分は認められない可能性がある。

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