マンション管理士試験対策！団地の一括建替え承認決議を徹底解説

１．区分所有法と建替え

マンション（区分所有建物）の建替えは、区分所有法（民法の特別法）に基づいて行われます。区分所有法は、マンションを構成する個々の区分所有者（マンションの一室の所有者）の権利と義務、そしてマンション全体の管理運営について定めた法律です。建替えは、マンション全体の改築・更新にあたり、非常に重要な手続きを伴います。

２．今回のケースへの直接的な回答

質問にあるケースでは、A棟とB棟の一括建替えについて、以下の2つの決議が必要になります。

• A棟とB棟それぞれの区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成を得る。 これは、それぞれの棟の建替えについて、個々の所有者の同意を得る必要があることを意味します。
• A棟、B棟、C棟を含む全体区分所有者集会において、区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成を得る。 これは、建替えによってC棟にも影響が出る可能性があるため、全体としての合意が必要となるからです。例えば、工事中の騒音や、建替え後の景観の変化などが影響します。

つまり、質問者様の理解は正しいです。「一括建替え承認」とは、複数の棟を同時に建替えする場合に、それぞれの棟と全体で必要な議決要件を満たすことを指します。

３．関係する法律・制度

関係する法律は、主に区分所有法です。特に、第34条（建替え）及び第35条（建替えに係る契約）が重要になります。これらの条文は、建替えに必要な手続きや、区分所有者間の合意形成の方法について規定しています。

４．誤解されがちなポイントの整理

誤解されやすい点は、「一括建替え」だからといって、全体での議決だけで済むわけではない点です。それぞれの棟で個別の合意（5分の4）が必要な点と、全体での合意（4分の3）が必要な点の両方を理解することが重要です。これは、個々の棟の所有者にとって、建替えは大きな影響を与えるため、個別の同意が必要となるからです。

５．実務的なアドバイスと具体例

建替えは、非常に複雑で、多くの手続きを伴います。専門家のアドバイスを受けることが不可欠です。弁護士や不動産鑑定士、建築士など、それぞれの専門分野の専門家からアドバイスを受けることが、スムーズな建替えを進める上で重要です。

例えば、建替え計画の策定、費用負担の算出、工事期間中の生活の確保、そして法的な手続きなど、多くの課題があります。専門家と綿密に連携することで、これらの課題を解決し、円滑な建替えを進めることができます。

６．専門家に相談すべき場合とその理由

以下の様な場合は、専門家に相談することを強くお勧めします。

• 区分所有者間の意見が大きく対立している場合
• 建替え計画の策定に困難を感じている場合
• 法律や手続きについて不明な点がある場合
• 費用負担について合意形成が難しい場合

専門家は、法律的な知識や実務的な経験に基づいて、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。

７．まとめ

団地の一括建替えは、区分所有法に基づき、それぞれの棟と全体で議決要件を満たす必要があります。A棟とB棟の建替えであれば、A棟とB棟それぞれで区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成、さらにA棟、B棟、C棟全体で区分所有者及び議決権の4分の3以上の賛成を得ることが必要です。複雑な手続きを伴うため、専門家のアドバイスを受けることが非常に重要です。 この点をしっかり理解し、試験勉強に役立ててください。