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マンション管理組合における持分の処分と対抗力:民法676条1項の解説と事例

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具体的にどのような状況で、組合や第三者に対抗できないのか、事例を通して知りたいです。また、総合財産を処分してしまった場合、それを取り消すようなことはできるのでしょうか?
マンションは、区分所有という制度に基づいて建てられています。これは、建物の各部分を個人が所有し、共用部分(廊下やエントランスなど)を全員で共有する仕組みです。マンションの管理組合は、区分所有者全員で構成される団体で、共用部分の管理や修繕などを目的としています。
各区分所有者は、自分の所有する区分(部屋)だけでなく、共用部分にも一定の持分(持分権)を有しています。この持分は、建物の全体の価値に対する割合で表され、組合運営や管理に係わる権利・義務を有します。 民法676条1項は、この持分に関する重要な規定です。
民法676条1項は、「組合員は、その持分を処分(売買、贈与など)しても、組合又は第三者に対抗することができない」と定めています。 これは、組合員が自分の持分を売却したり、贈与したりしても、その処分が組合や他の区分所有者(第三者)に直接的な影響を及ぼさないことを意味します。
簡単に言うと、Aさんが自分の持分をBさんに売却したとしても、その売買によって、Bさんが自動的に組合の運営に参加したり、共用部分の使用権を得たりすることはできません。 Bさんは、組合への加入や共用部分の使用に関して、改めて組合の承認を得る必要があります。
ある組合員が自分の持分を売却した場合、その売買契約自体は有効です。しかし、その売買によって、買主が自動的に組合員になったり、共用部分の使用権を得たりすることはできません。買主は、組合への加入手続きを行い、組合の承認を得なければなりません。
組合は、買主の加入を拒否する権利は原則としてありません。ただし、買主が組合規約に反する行為を行う可能性があるなど、正当な理由があれば、拒否できる場合があります。
民法676条1項は、区分所有法と密接に関連しています。区分所有法は、区分所有に関する様々なルールを定めており、マンションの管理組合の運営や区分所有者の権利義務を規定しています。 民法676条1項は、区分所有法の枠組みの中で、組合員による持分の処分の効果を明確にしています。
持分の処分と組合員資格は別物です。持分を売却しても、自動的に組合員資格を失うわけではありません。 ただし、売買契約によって、売主は組合員としての権利・義務を放棄し、買主が新たな組合員となる手続きが必要となります。
組合員が持分を処分する場合は、速やかに組合にその旨を届け出る必要があります。組合は、買主の身元確認や組合規約への遵守などを確認し、承認の手続きを行います。 この手続きを怠ると、組合運営に支障をきたす可能性があります。
例えば、Aさんが自分の持分をBさんに売却した場合、Aさんは組合に売買契約書を提出する必要があります。組合は、Bさんの身元や信用性を確認し、Bさんが組合規約を遵守することを確認した上で、Bさんの組合加入を承認します。
持分の処分に関する手続きが複雑であったり、組合員間で紛争が発生した場合、弁護士などの専門家に相談することが重要です。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、紛争解決を支援します。特に、組合が買主の加入を拒否した場合や、持分の処分に関する解釈に異議がある場合は、専門家の助言が必要となります。
民法676条1項は、マンション管理組合における持分の処分の効果を規定する重要な条文です。組合員は、持分を処分しても、組合や第三者に対抗できないことを理解し、適切な手続きを行う必要があります。 疑問点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。 この条文は、組合の安定的な運営を確保するために不可欠なものです。
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