権利の保存とは?基礎知識をわかりやすく解説
不動産登記の世界へようこそ! 難しい言葉がたくさん出てきますが、一つずつ紐解いていきましょう。「権利の保存」とは、簡単に言うと、あなたがすでに持っている不動産に関する権利を、きちんと守るための手続きのことです。
例えば、あなたが家を建てたとします。この家はあなたのものです。しかし、この事実を誰もが知っているわけではありません。もし、誰かが「その家は私のものだ!」と言い出したら、どうなるでしょうか?
そこで登場するのが「登記」です。登記は、不動産の権利関係を公に記録する制度です。この記録によって、あなたの権利を証明し、第三者(あなた以外のすべての人)に対して「この家はあなたのものです」と主張できるようになるのです。
「権利の保存」という言葉は、主に2つの場面で使われます。
- 初めて不動産の権利を取得した場合:例えば、家を新築した場合、最初にその家の所有権を登記することを「所有権保存登記」と言います。
- 権利を維持・保護する場合:例えば、抵当権(住宅ローンを借りたときに設定される権利)を登記することで、万が一の事態(ローンの未払いなど)からあなたの権利を守ることができます。
つまり、「権利の保存」は、あなたの権利を守るための重要な手続きなのです。
今回のケースへの直接的な回答
ご質問の「登記によって権利を得られたのに、その権利を確保するためにまた登記するっていうことですか??」に対する答えは、「はい、場合によってはそうなる」です。
具体的に見ていきましょう。
例えば、あなたが土地を購入し、その土地の所有権移転登記(売買によって所有権が変わったことを記録する登記)を済ませたとします。これで、あなたは土地の所有者として認められます。しかし、それだけでは、あなたの権利が完全に守られているとは限りません。
もし、その土地に誰かが勝手に建物を建てたり、他の人に売ろうとしたりした場合、あなたの権利が侵害される可能性があります。このような事態を防ぐために、あなたの権利を「保存」するための登記が必要になる場合があります。例えば、
- 所有権に関する事項:所有権登記名義人表示変更登記(氏名や住所が変わった場合)や、所有権保存登記(未登記の建物を所有した場合)などです。
- 担保権に関する事項:抵当権設定登記など。
このように、登記は一度すれば終わりではなく、状況に応じて適切な登記を行うことで、あなたの権利を継続的に保護していく必要があるのです。
関係する法律や制度
不動産登記に関する法律として、最も重要なのは「不動産登記法」です。この法律は、不動産登記に関する基本的なルールを定めています。例えば、
- 登記の対象となる不動産(土地、建物など)
- 登記の手続き
- 登記の効果
- 登記簿の構成
などについて規定されています。
また、不動産登記は、民法とも密接な関係があります。民法は、財産権や契約など、私的な権利に関する基本的なルールを定めています。不動産に関する権利も、民法の規定に基づいて発生し、登記によって保護されます。
その他、関連する制度としては、
- 固定資産税:不動産の所有者に課税される税金。登記されている情報を基に課税されます。
- 都市計画法:不動産の利用に関する規制。登記された情報が、都市計画の基礎資料として活用されることがあります。
などがあります。
誤解されがちなポイントの整理
不動産登記について、よくある誤解を整理しておきましょう。
誤解1:登記をすれば、必ず権利が守られる
登記は、あくまで権利を公に示すための手段です。登記をしたからといって、必ずしも権利が完全に守られるわけではありません。例えば、詐欺によって不動産を売買した場合、登記があっても権利が覆される可能性があります。
誤解2:登記は難しい手続きで、専門家しかできない
確かに、専門的な知識が必要な登記もありますが、自分で行える手続きもあります。例えば、住所変更登記など、比較的簡単な手続きは、自分で申請することも可能です。ただし、重要な登記や複雑な手続きの場合は、専門家(司法書士など)に依頼することをおすすめします。
誤解3:登記は一度すれば、もうしなくて良い
不動産の状況や権利関係は、時間の経過とともに変化します。結婚して名字が変わったり、建物を増築したり、住宅ローンを完済したり、様々な変化に対応するために、定期的に登記を見直し、必要に応じて手続きを行う必要があります。
実務的なアドバイスや具体例の紹介
実際に不動産に関する手続きを行う際の、具体的なアドバイスや事例を紹介します。
1. 不動産を購入する場合
不動産を購入する際には、必ず売買契約を締結する前に、登記簿謄本(全部事項証明書)を確認しましょう。登記簿謄本には、その不動産の権利関係や、抵当権などの担保権の有無が記載されています。これにより、その不動産に問題がないかを確認できます。また、売買契約締結後には、速やかに所有権移転登記を行う必要があります。
2. 住宅ローンを利用する場合
住宅ローンを利用する際には、金融機関が抵当権を設定します。抵当権設定登記を行うことで、万が一、あなたがローンの返済を滞った場合に、金融機関は不動産を競売にかけて、貸付金を回収することができます。住宅ローンを完済した際には、抵当権抹消登記を行う必要があります。
3. 建物を新築する場合
建物を新築した場合には、まず所有権保存登記を行う必要があります。この登記を行うことで、その建物の所有権を公にすることができます。その後、固定資産税の課税や、売買などの取引を行う際に必要となります。
4. 住所や氏名が変わった場合
住所や氏名が変わった場合には、所有権登記名義人表示変更登記を行う必要があります。この登記を怠ると、将来的に不動産を売却する際などに、手続きが複雑になる可能性があります。
専門家に相談すべき場合とその理由
不動産登記について、専門家(司法書士など)に相談すべきケースをいくつかご紹介します。
- 複雑な権利関係がある場合:相続や共有など、権利関係が複雑な場合は、専門的な知識が必要になります。
- 高額な不動産の取引:高額な不動産の売買や、住宅ローンの借り入れなど、重要な取引を行う場合は、専門家のサポートを受けることで、リスクを軽減できます。
- トラブルが発生した場合:権利に関するトラブルが発生した場合は、専門家のアドバイスを受けることで、適切な解決策を見つけることができます。
- 自分で手続きをするのが難しい場合:登記の手続きは、専門的な知識や書類作成が必要となる場合があります。自分で手続きをするのが難しい場合は、専門家に依頼することをおすすめします。
司法書士は、不動産登記に関する専門家です。彼らは、登記手続きの代行だけでなく、権利に関する相談にも対応してくれます。安心して相談できる専門家を見つけて、積極的に活用しましょう。
まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)
今回の話をまとめます。
- 「権利の保存」とは、あなたが持っている不動産の権利を守るための手続きのこと。
- 主に、所有権保存登記(新築の場合)や、既存の権利を保護するための登記を指す。
- 不動産登記法に基づいて行われ、民法とも密接な関係がある。
- 登記をすることで、あなたの権利を第三者に対抗できるようになる。
- 状況に応じて、様々な登記手続きが必要となる。
- 複雑なケースや、重要な取引の場合は、専門家(司法書士)に相談することが望ましい。
不動産登記は、あなたの大切な権利を守るための重要な手続きです。難しいと感じるかもしれませんが、一つずつ理解していけば、必ずあなたの役に立つでしょう。

