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不動産相続と生前贈与:遺産分割における価格と特別受益の立証方法
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* 父は自宅(不動産)と預貯金を残して亡くなりました。
* 遺産分割協議をしているのですが、不動産の価格設定で兄弟間で意見が分かれています。
* また、兄が以前父から多額の資金援助を受けていることを知りました。それが特別受益にあたるのか、どのように立証すればいいのか悩んでいます。
【悩み】
不動産の遺産分割における価格は、評価額と実勢価格のどちらを使うのが正しいのでしょうか?また、兄の生前贈与(特別受益)を証明するには、どうすれば良いのでしょうか?父の承認を得られそうにない点が心配です。
遺産分割において、不動産の価格はどのように決定されるのでしょうか?まず、重要なのは「評価額」と「実勢価格」の違いを理解することです。
* **評価額**: 公的機関(例:税務署)が算定する不動産の価格です。固定資産税の評価額などがこれに当たります。評価額は、過去の取引価格や周辺の不動産価格などを基に算出されますが、必ずしも現在の市場価格を正確に反映しているとは限りません。(時価とは異なる点に注意が必要です)
* **実勢価格**: 市場における実際の取引価格です。不動産会社による査定額などがこれに当たります。不動産の状況(築年数、リフォーム状況など)や市場の動向によって大きく変動します。
遺産分割では、原則として**実勢価格**を基準に不動産の価格を決定します。ただし、実勢価格を正確に把握することが難しい場合もあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼したり、裁判所の鑑定を仰ぐことも検討する必要があります。
相続において、被相続人(亡くなった方)から生前に財産を受け取っていた場合、その財産は「特別受益」として相続分を算定する際に考慮されます。今回のケースでは、ご兄弟が父から多額の資金援助を受けていた可能性があり、これが特別受益に該当するかどうかが問題となります。
特別受益の立証には、贈与された事実を明確に示す証拠が必要です。例えば、以下の様な証拠が考えられます。
* **銀行の送金明細書**: 資金の授受を証明する最も有力な証拠です。
* **領収書**: 資金の授受があったことを証明する証拠となります。
* **証人証言**: 資金の授受を目撃した人の証言です。
* **契約書**: 資金援助に関する契約書があれば、最も確実な証拠となります。
被相続人の承認を得られない場合でも、これらの証拠を積み重ねることで、特別受益があったことを立証できます。ただし、証拠が不十分な場合は、裁判で争う必要が生じる可能性もあります。
遺産分割に関する法律は、民法が中心となります。特に、民法第900条以降の規定が重要です。また、生前贈与に関する規定も、相続分計算に影響を与えます。これらの法律は専門用語が多く、理解が難しい部分も多いので、専門家への相談がおすすめです。
遺産分割において、感情的な対立が起きやすいのは、不動産の価格設定と生前贈与の有無です。感情的な対立は、冷静な判断を阻害し、相続手続きを複雑化させる可能性があります。客観的な証拠に基づいて話し合うことが重要です。
不動産の価格については、複数の不動産会社に査定を依頼し、その平均額を基準にするのが良いでしょう。生前贈与については、可能な限り証拠を集め、弁護士などの専門家に相談して、法的にも問題のない方法で対応しましょう。
遺産分割は複雑な手続きであり、法律の知識が求められます。特に、相続人間で意見が対立したり、高額な不動産や複雑な生前贈与があった場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。
不動産の遺産分割では実勢価格を基準に、生前贈与(特別受益)については明確な証拠に基づいて対応することが重要です。相続は感情的な問題になりがちですが、客観的な証拠と専門家のアドバイスを基に、冷静に話し合いを進めることが大切です。困難な場合は、専門家への相談を検討しましょう。
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