事故の状況と、人身事故への切り替え

今回のケースは、車同士の交通事故で、当初は物損事故として処理されそうだったものが、相手の負傷により人身事故に切り替わったという状況です。まずは、事故の状況と、人身事故に切り替わることによる影響について、基本的な知識から見ていきましょう。

物損事故(ぶっそんじこ)とは、車や物への損害のみが発生し、人身傷害がない事故のことです。一方、人身事故(じんしんじこ)は、人の死傷を伴う事故を指します。人身事故に切り替わると、警察への届け出、加害者(自分)と被害者の対応、そして保険金の支払いに大きな違いが生じます。

人身事故に切り替わると何が変わる?

物損事故から人身事故に切り替わると、主に以下の点が変化します。

  • 警察の捜査: 人身事故の場合、警察は事故の原因や過失割合を詳しく捜査します。実況見分や、場合によっては捜査書類の作成も行われます。
  • 刑事責任: 加害者は、過失運転致死傷罪(かしつうんてんちししょうざい)などの刑事責任を問われる可能性があります。
  • 行政処分: 運転免許の違反点数が加算され、免許停止や免許取り消しになる可能性があります。
  • 民事上の責任: 被害者の治療費、休業損害、慰謝料などの損害賠償責任が発生します。これが、保険金の支払いに大きく影響する部分です。

今回のケースへの直接的な回答

ご自身のケースでは、人身事故に切り替わったことにより、保険会社からの支払額が増える可能性が高いです。具体的には、以下のような費用が支払いの対象となる可能性があります。

  • 治療費: 病院での診察料、治療費、入院費など。
  • 通院交通費: 病院までの交通費。
  • 休業損害: 事故によって仕事を休んだ場合の収入の損失。
  • 慰謝料: 精神的な苦痛に対する賠償。
  • 弁護士費用: 弁護士に依頼した場合の費用。

保険会社は、これらの費用を、加入している自動車保険の対人賠償保険や人身傷害保険などから支払います。今回の事故で、ご自身に9割の過失があるということですので、これらの費用は、基本的には、ご自身の加入している保険から支払われることになります。ただし、保険の種類や契約内容によって、補償される範囲や金額が異なります。

関係する法律や制度

交通事故に関係する主な法律としては、

  • 道路交通法: 交通ルールを定めています。
  • 自動車損害賠償保障法(自賠法): 交通事故の被害者を保護するための制度です。自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)への加入を義務付けています。
  • 刑法: 事故による刑事責任について定めています。

また、今回のケースで重要となるのは、民法です。民法では、不法行為(交通事故など)によって損害を与えた場合に、損害賠償責任が発生すると定められています。

誤解されがちなポイントの整理

人身事故に関する誤解として、よくあるのが「物損事故なら保険料は上がらない」というものです。実際には、物損事故であっても、保険会社は事故の状況や過失割合に応じて保険金を支払うため、翌年度の保険料が上がる可能性があります。人身事故の場合は、さらに保険料が上がる可能性が高くなります。

また、「相手に診断書を提出させなければ、人身事故にならない」という考え方も誤解です。人身事故になるかどうかは、被害者の負傷の程度や、警察への届け出によって決まります。相手が診断書を提出し、警察が人身事故として処理した場合、人身事故として扱われます。

実務的なアドバイスと具体例

今回のケースで、相手の方に「診断書を提出しないでほしい」とお願いすることは、状況によっては難しいかもしれません。相手の方の怪我の程度や、その後の対応によっては、警察に届け出る可能性は十分にあります。
人身事故として処理された場合、まずは、ご自身の加入している保険会社に連絡し、事故の状況を詳しく説明してください。保険会社は、被害者との示談交渉や、損害賠償に関する手続きをサポートしてくれます。

具体例

例えば、相手の方の怪我が軽傷で、治療期間が短く、後遺症も残らないような場合、保険会社は、治療費、通院交通費、慰謝料などを合わせて、数十万円程度の保険金を支払う可能性があります。
一方、相手の方の怪我が重傷で、長期の入院や治療が必要となり、後遺症が残るような場合、保険金の支払額は数百万円、あるいはそれ以上になることもあります。

保険会社との連携を密にし、適切な対応を行うことが重要です。

専門家に相談すべき場合とその理由

以下のような場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

  • 過失割合について争いがある場合: 相手との過失割合について意見の相違がある場合、弁護士に相談することで、適切な解決策を見つけることができます。
  • 損害賠償額が高額になる場合: 相手の怪我の程度が重く、損害賠償額が高額になる可能性がある場合、弁護士に依頼することで、適切な賠償額を算出し、交渉を進めることができます。
  • 相手との示談交渉が難航している場合: 相手との示談交渉がうまくいかない場合、弁護士に依頼することで、スムーズな解決を目指すことができます。

弁護士費用はかかりますが、適切な賠償を受けるためには、専門家のサポートが不可欠な場合があります。

まとめ

今回の事故では、人身事故に切り替わったことで、保険金の支払額が増える可能性があります。保険会社との連携を密にし、適切な対応を行うことが重要です。また、過失割合や損害賠償額について争いがある場合、または相手との示談交渉が難航している場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

今回のポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 人身事故に切り替わると、治療費、休業損害、慰謝料など、保険金の支払いが増える可能性がある。
  • ご自身の加入している保険会社に連絡し、事故の状況を詳しく説明し、指示に従う。
  • 過失割合や損害賠償額について争いがある場合は、弁護士に相談する。