加害者も利用できる自賠責保険と人身事故の基礎知識

交通事故に遭われた場合、まずは落ち着いて状況を整理することが大切です。今回の質問にあるように、加害者であっても怪我をした場合は、治療費やその他の損害賠償を請求できる場合があります。その際に重要となるのが、人身事故と物損事故の違いです。

人身事故とは、交通事故によって人が怪我をしたり、死亡した場合に適用される事故のことです。この場合、加害者と被害者の間で損害賠償の話合いが行われることになります。損害賠償には、治療費、休業損害、慰謝料などが含まれます。

一方、物損事故は、車や物(ガードレールなど)が壊れた場合に適用されます。この場合、修理費などが損害賠償の対象となります。人身事故と物損事故では、警察の対応や保険の適用範囲が異なります。

今回のケースでは、加害者Aが怪我をしているため、原則として人身事故として扱われることになります。

加害者Aが治療費を受け取るために必要な手続き

加害者Aが怪我をした場合、治療費や休業損害、精神的苦痛に対する慰謝料などを請求することができます。この損害賠償を請求するためには、人身事故として警察に届け出て、その後に自賠責保険や任意保険(任意保険については後述します)の手続きを行う必要があります。

具体的には、以下の流れで手続きが進みます。

  • ・まずは警察に事故を届け出て、事故証明書(正式名称:交通事故証明書)を発行してもらいます。この事故証明書は、保険会社に保険金を請求する際に必要となります。
  • ・次に、加害者Aは、被害者Bの加入している自賠責保険会社に対して、損害賠償請求を行います。この請求には、医師の診断書や治療費の領収書、休業損害を証明する書類などが必要となります。
  • ・自賠責保険会社は、これらの書類を審査し、損害賠償金を支払います。ただし、自賠責保険は、被害者の救済を目的としているため、過失割合に応じて減額される可能性があります(過失相殺)。

今回のケースでは、加害者Aの過失割合が80%であるため、受け取れる保険金の額は、過失割合に応じて減額されることになります。

交通事故と関係する法律や制度について

交通事故に関係する法律や制度は多岐にわたりますが、今回のケースで特に関係があるのは、以下の2つです。

  • 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険):これは、すべての自動車に加入が義務付けられている保険です。交通事故の被害者を救済するために、最低限の補償を行います。自賠責保険は、対人賠償保険であり、人身事故の場合に治療費や慰謝料などを支払います。
  • 任意保険:これは、加入が任意である保険です。自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償するために加入します。任意保険には、対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険など、様々な種類があります。今回のケースでは、加害者Aが任意保険に加入していれば、その保険から治療費やその他の損害賠償を受け取れる可能性があります。

また、交通事故の損害賠償を請求する際には、民法上の不法行為(交通事故)に基づく損害賠償請求権を行使することになります。

誤解されがちなポイントの整理

交通事故に関する誤解は多くありますが、今回のケースで特に注意すべき点は以下の2つです。

  • 加害者も自賠責保険を利用できる:加害者であっても、怪我をした場合は、被害者と同様に自賠責保険から治療費などの支払いを受けることができます。
  • 人身事故と物損事故の選択:加害者自身が治療費を支払うことを選択した場合でも、人身事故として届け出ることは可能です。人身事故として届け出ることで、後遺障害が残った場合などに、より多くの損害賠償を請求できる可能性があります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

今回のケースでは、加害者Aは、まず警察に人身事故として届け出る必要があります。その後、被害者Bの加入している自賠責保険会社に損害賠償請求を行います。この際、加害者Aは、自身の怪我の治療費や休業損害などを証明する書類を提出する必要があります。

例えば、加害者Aが治療費として100万円、休業損害として50万円、慰謝料として50万円を請求するとします。この場合、過失割合が80:20であるため、加害者Aは、自賠責保険から、これらの合計額の20%(40万円)を受け取れる可能性があります。

また、加害者Aが任意保険に加入している場合、その保険会社からも、治療費や休業損害などの支払いを受けられる可能性があります。任意保険の補償内容は、加入している保険の種類や契約内容によって異なります。

専門家に相談すべき場合とその理由

交通事故に遭われた場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 適切な損害賠償額の算定:専門家は、過去の判例や法律に基づいて、適切な損害賠償額を算定することができます。
  • 保険会社との交渉:専門家は、保険会社との交渉を代行し、より有利な条件で示談を成立させることができます。
  • 法的アドバイス:専門家は、交通事故に関する法的アドバイスを提供し、適切な対応をサポートします。

特に、過失割合について争いがある場合や、後遺障害が残った場合は、専門家への相談が不可欠です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

今回の質問のポイントをまとめます。

  • ・加害者Aも、怪我をした場合は、被害者Bの自賠責保険から治療費などの支払いを受けられます。
  • ・加害者Aが治療費を自分で支払うことを選択した場合でも、人身事故として届け出ることは可能です。
  • ・交通事故に遭われた場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

交通事故は、誰にでも起こりうるものです。万が一、交通事故に遭われた場合は、落ち着いて状況を整理し、適切な手続きを行うようにしましょう。