交通事故の過失割合と示談交渉について:知っておくべきこと
【背景】
- 交通事故に遭い、怪我をして現在治療中。
- 相手方の保険会社から、先に車の修理などに関する示談(物損の示談)をしたいと連絡があった。
- 過失割合について、相手方65%、自分35%で交渉中。
【悩み】
- 物損の過失割合で示談した場合、怪我の治療費など(人身)の過失割合も同じになるのか知りたい。
- 相手の過失が70%以下の場合、治療費や慰謝料が80%しか出ないというのは本当か知りたい。
- 過失割合について、どうしても納得できず、70:30の割合でなければ示談に応じない場合、裁判になったら不利になるのか知りたい。
物損と人身の過失割合は必ずしも一致しません。交渉次第で、70:30にこだわることも可能です。
交通事故の過失割合:基礎知識
交通事故における「過失割合」とは、事故の原因に対する当事者それぞれの責任の割合を数値で表したものです。この割合は、損害賠償(事故によって生じた損害を金銭で補償すること)の金額を決める上で非常に重要な要素となります。
例えば、あなたが交通事故で100万円の損害を被り、過失割合があなた30%、相手70%だった場合、相手に請求できる金額は70万円となります。これは、あなたの過失分30%(30万円)は、あなた自身で負担する必要があるからです。
過失割合は、警察の事故調査や、保険会社による聞き取り調査、事故状況の記録(ドライブレコーダー、目撃者の証言など)に基づいて決定されます。多くの場合、過去の裁判例や判例(似たような事故の判決)を参考に、当事者間の話し合い(示談交渉)によって決定されます。
今回のケースへの直接的な回答
今回の質問に対する直接的な回答を整理します。
1⃣ 物損の過失割合と人身の過失割合の関係
物損事故(車の修理費用など)と人身事故(怪我の治療費、慰謝料など)の過失割合は、必ずしも同じになるとは限りません。事故の状況によっては、物損と人身で過失割合が異なることもあります。
例えば、物損事故では、どちらが赤信号を無視したか、どちらが一時停止を怠ったかなどが重要になります。一方、人身事故では、怪我の程度や、安全運転義務違反の有無などが考慮される場合があります。
今回のケースでは、相手方の保険会社が先に物損の示談をしたいと申し出ているとのことですが、人身事故の過失割合は、物損の示談とは別に、改めて交渉する必要があります。
2⃣ 相手の過失割合と賠償金額の関係
相手の過失割合が70%以下の場合でも、治療費や慰謝料が80%しか出ないということはありません。
基本的には、相手の過失割合に応じて賠償金が支払われます。
ただし、過失割合が低い場合、ご自身の過失分については、ご自身で負担することになります。
3⃣ 過失割合への異議申し立てと裁判
過失割合についてどうしても納得できない場合は、示談に応じないで、弁護士に相談し、交渉を続けることができます。
場合によっては、裁判を起こして過失割合を争うことも可能です。
ただし、裁判には時間と費用がかかります。
裁判で必ずしも主張が認められるとは限りません。
また、裁判で過失割合が変更されたとしても、最終的な賠償額が必ずしも増えるとは限りません。
裁判を起こすかどうかは、弁護士とよく相談して慎重に判断する必要があります。
関係する法律や制度
交通事故に関連する主な法律や制度をいくつか紹介します。
- 民法:交通事故による損害賠償は、民法に基づいて行われます。民法では、不法行為(他人の権利を侵害する行為)があった場合、加害者は損害賠償責任を負うと定められています。
- 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険):すべての自動車に加入が義務付けられている保険です。人身事故による損害賠償の一部を補償します。
- 任意保険:自賠責保険だけでは補償しきれない損害を補償する保険です。加入は任意です。
- 過失相殺:被害者にも過失がある場合、その過失割合に応じて損害賠償額が減額されることをいいます。
誤解されがちなポイントの整理
交通事故の過失割合について、よく誤解されるポイントを整理します。
- 物損と人身の過失割合は必ず同じ:物損と人身の過失割合は、事故状況や過失の内容によって異なる場合があります。
- 過失割合は保険会社が決める:過失割合は、保険会社だけでなく、警察の事故調査や、事故状況の記録、過去の判例などを総合的に考慮して決定されます。最終的には、当事者間の話し合い(示談交渉)によって決定されることがほとんどです。
- 相手の過失が少ないと賠償金が大幅に減額される:相手の過失割合が少ない場合でも、賠償金は、原則として、相手の過失割合に応じて支払われます。ただし、ご自身の過失分については、ご自身で負担することになります。
実務的なアドバイスや具体例の紹介
交通事故の示談交渉に関する実務的なアドバイスや、具体的な例をいくつか紹介します。
- 事故状況の記録:事故発生直後から、事故状況を記録しておくことが重要です。写真や動画を撮影したり、目撃者の連絡先を聞いておくと、過失割合を決定する際の証拠になります。
- 弁護士への相談:過失割合や損害賠償について、少しでも疑問や不安がある場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、あなたの権利を守るために、適切なアドバイスやサポートをしてくれます。
- 示談交渉の進め方:示談交渉は、保険会社との間で、電話や書面で行われます。
交渉がうまくいかない場合は、弁護士に依頼して交渉を代行してもらうこともできます。
裁判になった場合は、弁護士があなたを代理して、裁判手続きを進めます。
- 過失割合の決定例:
- 例1:交差点での右折車と直進車の事故。直進車が優先道路を走行しており、右折車が一時停止を怠った場合、過失割合は、右折車80%、直進車20%となる可能性があります。
- 例2:信号のない交差点での事故。双方の過失が認められる場合、事故状況や道路状況に応じて、過失割合が決定されます。
専門家に相談すべき場合とその理由
以下のような場合は、専門家(弁護士)に相談することをお勧めします。
- 過失割合に納得できない場合:過失割合が、事故状況と明らかに異なると感じる場合は、弁護士に相談して、適正な過失割合を主張してもらう必要があります。
- 損害賠償額に納得できない場合:治療費や慰謝料など、損害賠償額が適正ではないと感じる場合は、弁護士に相談して、増額交渉を依頼することができます。
- 保険会社との交渉がうまくいかない場合:保険会社との交渉が難航している場合は、弁護士に依頼して、交渉を代行してもらうことができます。
- 後遺障害が残った場合:後遺障害が残った場合は、適切な後遺障害等級認定を受ける必要があります。弁護士は、後遺障害に関する専門知識を持っており、あなたの権利を守るためにサポートしてくれます。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回の質問の重要ポイントをまとめます。
- 物損と人身の過失割合は必ずしも一致しない。
- 相手の過失割合が70%以下でも、賠償金が80%しか出ないということはない。
- 過失割合に納得できない場合は、弁護士に相談し、交渉を続けることができる。
- 事故状況の記録をしっかり行い、疑問や不安があれば、専門家(弁護士)に相談する。
交通事故は、誰もが巻き込まれる可能性があるものです。
万が一のときのために、正しい知識を身につけ、適切な対応ができるようにしておきましょう。