交通事故における人身事故と物損事故の違い

交通事故は、大きく分けて「物損事故」と「人身事故」の2つに分類されます。この違いは、事故によって「人が怪我をしたかどうか」にあります。

物損事故(ぶっそんじこ)は、車や物(ガードレールなど)が壊れただけの事故を指します。一方、人身事故(じんしんじこ)は、人(歩行者、運転手、同乗者など)が怪我をした事故を指します。今回のケースのように、最初は物損事故として処理されていても、後から怪我が見つかり、人身事故に切り替わることもあります。

人身事故になると、警察への届け出だけでなく、加害者は刑事責任、行政責任、民事責任を負う可能性があります。これは、怪我をさせたことに対する責任の重さの違いから生じます。

人身事故に切り替わった場合の相手の責任

人身事故に切り替わると、加害者(今回のケースでは信号無視をした相手)は、主に以下の3つの責任を負う可能性があります。

  • 刑事責任(けいじせきにん):刑事上の責任。罰金や懲役刑が科せられる可能性があります。
  • 行政責任(ぎょうせいせきにん):運転免許に関する責任。免許停止(免停)や免許取り消しなどの処分が科せられる可能性があります。
  • 民事責任(みんじせきにん):損害賠償責任。被害者の治療費や車の修理費、慰謝料などを賠償する責任です。

刑事責任:加害者が負う可能性のある処罰

人身事故を起こした場合、加害者は刑事責任を問われる可能性があります。これは、加害者の過失の程度や、被害者の怪我の程度によって異なります。

今回のケースのように、信号無視という交通ルール違反があった場合、加害者は過失運転致傷罪(かしつうんてんちしょうざい)に問われる可能性があります。この罪は、7年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

ただし、刑事責任は、警察の捜査や検察官の判断によって、起訴されるかどうか、またどのような刑罰になるかが決定されます。被害者の怪我の程度や、加害者の反省の度合いなども考慮されます。

行政責任:運転免許への影響

人身事故を起こした場合、加害者は行政責任として、運転免許に関する処分を受ける可能性があります。この処分は、違反点数と、過去の違反歴などによって決定されます。

今回のケースでは、信号無視という違反行為があったため、違反点数が加算されます。また、被害者の怪我の程度によっては、さらに高い点数が加算される可能性があります。

累積点数によっては、免許停止(免停)や免許取り消しになる可能性があります。免停になると、一定期間、運転することができなくなります。免許取り消しになると、免許を失い、再び運転するためには試験を受け直す必要があります。

民事責任:損害賠償について

人身事故の場合、加害者は被害者に対して民事上の責任を負い、損害賠償をしなければなりません。損害賠償には、以下のようなものが含まれます。

  • 治療費:病院での治療にかかった費用
  • 休業損害:怪我のために仕事を休んだことによる収入の減少分
  • 慰謝料:精神的な苦痛に対する賠償
  • 車の修理費:事故によって壊れた車の修理にかかる費用
  • その他の損害:通院にかかる交通費など

損害賠償の金額は、事故の状況や被害者の怪我の程度、治療期間などによって大きく異なります。加害者側の加入している自動車保険から支払われるのが一般的ですが、保険でカバーしきれない部分については、加害者自身が負担することになります。

今回のケースへの具体的な対応

今回のケースでは、まず人身事故に切り替えたことが重要です。警察に人身事故として届け出ることにより、加害者の刑事責任、行政責任を問うことができます。

また、ご自身の加入している自動車保険会社に連絡し、今後の対応について相談しましょう。保険会社は、治療費の支払い、加害者との示談交渉など、さまざまなサポートをしてくれます。

弁護士に相談することも有効です。弁護士は、損害賠償請求や、加害者との交渉について、専門的なアドバイスをしてくれます。特に、後遺症が残る可能性がある場合や、示談交渉が難航している場合には、弁護士に相談することをおすすめします。

誤解されがちなポイントの整理

人身事故に関する誤解として、以下のようなものがあります。

  • 「人身事故にすると、加害者は必ず逮捕される」:必ずしもそうではありません。加害者の過失の程度や、被害者の怪我の程度、逃亡の恐れなどによって、逮捕の必要性が判断されます。
  • 「物損事故から人身事故に切り替えると、加害者の刑罰が重くなる」:必ずしもそうとは限りません。ただし、人身事故に切り替えることで、加害者の刑事責任を追及できる可能性が出てきます。
  • 「保険会社がすべてやってくれる」:保険会社は、治療費の支払いなど、さまざまなサポートをしてくれますが、すべての問題を解決してくれるわけではありません。特に、示談交渉など、専門的な知識が必要な部分については、弁護士に相談する必要がある場合があります。

実務的なアドバイスと具体例

交通事故に遭われた場合、以下の点に注意しましょう。

  • 事故直後の対応:警察に届け出て、事故の状況を記録しましょう。また、怪我をしている場合は、すぐに病院を受診しましょう。
  • 証拠の確保:事故現場の写真や、ドライブレコーダーの映像など、事故の証拠となるものをできるだけ多く残しておきましょう。
  • 保険会社との連携:加入している自動車保険会社に連絡し、今後の対応について相談しましょう。
  • 弁護士への相談:損害賠償請求や、加害者との交渉について、弁護士に相談しましょう。

例えば、信号無視の車に衝突された場合、ドライブレコーダーの映像は、事故の状況を証明する重要な証拠となります。また、事故直後に警察に届け出ていないと、人身事故への切り替えが難しくなる可能性があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

以下のような場合には、専門家(弁護士)に相談することをおすすめします。

  • 後遺症が残る可能性がある場合:後遺症の程度によっては、高額な賠償金が発生する可能性があります。
  • 過失割合で争いがある場合:過失割合によって、賠償金の金額が大きく変わることがあります。
  • 示談交渉が難航している場合:加害者側との交渉がうまくいかない場合、弁護士に依頼することで、スムーズに解決できる可能性があります。

弁護士は、法律の専門家として、あなたの権利を守り、適切な賠償金を受け取れるようにサポートしてくれます。

まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回の質問に対する重要なポイントをまとめます。

  • 人身事故に切り替えることで、加害者の刑事責任、行政責任を追及できる可能性があります。
  • 加害者は、罰金や免停などの処分を受ける可能性があります。
  • 損害賠償請求を行うことで、治療費や慰謝料などを請求できます。
  • 保険会社や弁護士に相談し、適切な対応を取りましょう。

交通事故に遭われた際は、ご自身の権利を守り、適切な対応を取ることが大切です。今回の情報が、少しでもお役に立てれば幸いです。