- Q&A
令和3年民法改正と共有物分割:遺産分割前でも訴え可能?相続開始後10年経過の有無がポイント!

共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック【悩み】
令和3年民法改正で、相続開始から10年経過していれば、遺産分割が完了していなくても共有物分割の訴えが可能になったと理解しています。しかし、問題文には10年経過の記載がないため、本当に「○」で良いのか、私の理解に誤りがあるのか分からず、モヤモヤしています。
この問題は、民法上の「共有」(複数の者が共同で所有すること)、「遺産分割」(相続人が相続財産を分割すること)、「共有物分割」(共有状態にある財産を分割すること)に関するものです。
まず、「共有」とは、複数の者が同一の財産を共同で所有する状態を指します。例えば、土地をA、B、Cの3人で3分の1ずつ所有する状態が共有です。
「遺産分割」は、相続人が被相続人(亡くなった人)から相続した財産を、相続人同士で分割する手続きです。相続開始(被相続人が死亡した時点)から、相続人同士で協議して行われます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判を申し立てることができます。
「共有物分割」は、共有状態にある財産を、共有者同士で分割する手続きです。共有者全員の合意があれば任意で分割できますが、合意が得られない場合は、裁判所に共有物分割の訴えを提起できます。
問題文の状況では、Aが死亡し、FとGが相続人となっています。BとCは、Aの相続人であるFとG、そして自分たちとで甲土地を共有しています。
令和3年の民法改正(民法改正法第14条)以前は、遺産分割が完了するまでは、遺産分割に参加していない相続人(この場合FとG)に対して、他の共有者(BとC)は共有物分割の訴えを起こすことができませんでした。しかし、改正後は相続開始から10年経過していれば、遺産分割が完了していなくても、共有物分割の訴えが可能となりました。
問題文に相続開始から10年経過しているか否かの記載がないため、一概に「○」とは言えません。書籍の解答が「○」であるのは、暗黙のうちに10年経過を前提としていると考えられます。
関係する法律は、民法です。特に、民法第257条(共有物分割請求権)と、令和3年の民法改正が重要です。改正によって、相続開始後10年経過後の共有物分割請求権の行使が容易になりました。
誤解されやすいのは、「遺産分割」と「共有物分割」の違いです。遺産分割は相続人同士で行う手続きで、共有物分割は共有者同士で行う手続きです。相続開始後10年経過という条件は、共有物分割の訴えにのみ適用されます。遺産分割には適用されません。
司法書士試験の問題では、問題文にすべての事実が記載されているとは限りません。暗黙の了解や、一般的な状況を想定する必要があります。この問題も、相続開始後10年経過しているという前提条件が暗に含まれていると解釈するのが妥当です。
もし、相続開始から10年経過していない状況であれば、BとCはFとGに対して共有物分割の訴えを起こすことはできません。まずは遺産分割が完了するのを待つ必要があります。
相続や不動産に関する問題は、法律の専門知識が必要となる複雑なケースが多いです。遺産分割や共有物分割に関するトラブルを抱えている場合、または問題文の解釈に迷う場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。彼らは、個々の状況に合わせた適切なアドバイスや手続きのサポートをしてくれます。
令和3年の民法改正により、相続開始後10年経過していれば、遺産分割が完了していなくても共有物分割の訴えが可能となりました。司法書士試験の問題では、問題文に明示されていない暗黙の前提条件を理解する力も問われます。相続や不動産に関する問題には、専門家の力を借りることも検討しましょう。 不明な点があれば、躊躇せず専門家に相談することが重要です。
共有持分についてお困りですか?
おすすめ3社をチェック