根抵当権と保証人…複雑な状況を整理しましょう
今回のケースは、会社の倒産、保証、根抵当権といった複数の要素が絡み合い、非常に複雑な状況です。まずは、それぞれの要素について基本的な知識を整理し、今回のケースにどのように当てはまるのかを理解していきましょう。
テーマの基礎知識:根抵当権と保証人
根抵当権(ねていとうけん)とは、継続的な取引から生じる不特定多数の債権を担保するための権利です。簡単に言うと、お金を貸す側(債権者)が、お金を借りる側(債務者)の不動産に設定する権利で、将来的に発生する可能性のある借金もまとめて担保できます。
通常の抵当権と異なり、借金の額が変動しても、一定の範囲内であれば、この根抵当権で担保され続けるのが特徴です。
保証人とは、債務者が借金を返済できなくなった場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。保証人には、連帯保証人という種類もあり、これは債務者と同等の責任を負います。今回のケースでは、B社社長が市保証協会の保証人だったため、A社の借金を肩代わりしたという状況です。
今回のケースへの直接的な回答:B社社長が取るべき行動
今回のケースで、B社社長がまず行うべきことは、以下の2点です。
- 物件の価値を正確に把握する: 不動産鑑定士などに依頼して、マンションの部屋の現在の価値を査定してもらいましょう。
- 権利放棄の条件を交渉する: 不動産屋から提示された「ハンコ代」が、物件の価値に見合っているか検討し、必要であれば、より良い条件での権利放棄を交渉しましょう。
権利放棄をしないという選択肢もありますが、放置すると、後々、競売にかけられたり、思わぬ形で損害を被る可能性もあります。専門家と相談しながら、慎重に進めることが重要です。
関係する法律や制度:債権者と保証人の関係
今回のケースで関係してくる主な法律や制度は以下の通りです。
- 民法: 根抵当権や保証に関する基本的なルールを定めています。
- 破産法: 債務者が破産した場合の手続きや、債権者の権利について定めています。
- 保証協会: 信用保証協会は、中小企業などが金融機関から融資を受ける際に、保証人となって倒産時のリスクを軽減する制度です。
A社が倒産し、社長と家族が自己破産したことで、県保証協会は債権を回収できなくなる可能性があります。B社社長が市保証協会の借金を返済したことで、B社社長はA社に対して求償権(きゅうしょうけん)を持つことになります。これは、B社社長が代わりに支払ったお金をA社に請求できる権利です。しかし、A社が自己破産しているため、この求償権を行使できる可能性は低いと考えられます。
誤解されがちなポイント:県保証協会とB社社長の関係
今回のケースで、誤解されやすいポイントとして、県保証協会が「降りた」という点があります。これは、正確な表現ではありません。
A社と社長・家族が自己破産したことで、県保証協会は債権を回収できなくなる可能性が高く、事実上、債権を放棄せざるを得ない状況になったと考えられます。しかし、これは、B社社長に権利が移ったということではありません。根抵当権は、あくまでもA社が所有していたマンションの部屋に設定されており、B社社長が返済した市保証協会の債権とは別のものです。
実務的なアドバイスと具体例:物件の価値を調べる方法
物件の価値を調べる方法はいくつかあります。以下に、具体的な方法と注意点を紹介します。
- 不動産鑑定士への依頼: 専門的な知識と経験を持つ不動産鑑定士に依頼するのが最も確実です。詳細な調査を行い、客観的な価値を算出してもらえます。費用はかかりますが、その後の交渉や判断の根拠となります。
- 不動産会社の査定: 近隣の不動産会社に査定を依頼することも可能です。複数の会社に見積もりを取ることで、相場を把握できます。ただし、不動産会社は売却を前提とした査定を行う場合があるため、注意が必要です。
- インターネットでの情報収集: 近隣の類似物件の売買事例などを参考にすることもできます。ただし、あくまで参考情報であり、個別の物件の状況とは異なる場合があります。
これらの情報を総合的に判断し、適切な物件の価値を把握しましょう。
専門家に相談すべき場合とその理由:弁護士と不動産鑑定士の活用
今回のケースでは、以下の専門家への相談を強く推奨します。
- 弁護士: 根抵当権に関する法的な問題や、権利放棄の交渉について、適切なアドバイスとサポートを受けられます。また、破産手続きや債権回収に関する知識も豊富です。
- 不動産鑑定士: 客観的な物件の価値を評価してもらうことで、権利放棄の条件交渉や、今後の対応の判断材料となります。
専門家に相談することで、法的リスクを回避し、より有利な条件で解決できる可能性が高まります。また、精神的な負担も軽減されるでしょう。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回のケースは、根抵当権、保証、倒産が複雑に絡み合った難しい状況です。以下に、重要なポイントをまとめます。
- 物件の価値を正確に把握する: 不動産鑑定士などに依頼して、マンションの部屋の現在の価値を査定してもらいましょう。
- 権利放棄の条件を交渉する: 不動産屋から提示された条件が妥当かどうか検討し、必要であれば、より良い条件での権利放棄を交渉しましょう。
- 専門家への相談を検討する: 弁護士や不動産鑑定士に相談し、法的アドバイスや物件の価値評価を受けましょう。
今回のケースは、専門的な知識が必要となるため、一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けながら、慎重に進めていくことが重要です。

