住宅ローンの返済が滞るとどうなる?基礎知識を解説

住宅ローンは、家を購入する際に、金融機関からお金を借りる契約です。毎月決められた日に、決められた金額を返済していくのが一般的です。しかし、何らかの事情で返済が滞ってしまうことがあります。

返済が滞ると、金融機関はまず「督促(とくそく)」を行います。督促とは、期日までに返済がない場合に、返済を促すことです。通常は、電話や書面(督促状)で行われます。督促状には、未払い金額、遅延損害金(返済が遅れたことに対するペナルティ)、今後の対応などが記載されています。

この督促を無視し続けると、事態は深刻化します。金融機関は、最終的に「担保(たんぽ)」となっている家を差し押さえ、競売(けいばい)にかける可能性があります。担保とは、住宅ローンを借りる際に、万が一返済できなくなった場合に備えて、金融機関に提供するものです。通常は購入した家そのものが担保となります。

住宅ローン滞納への直接的な回答:督促を無視するとどうなる?

督促を無視し続けると、最終的には家を失う可能性が高まります。具体的には、以下のような流れで事態が進行します。

  1. 督促状の送付: 返済が遅れると、金融機関から督促状が届きます。
  2. 期限の利益の喪失: 返済が滞ると、金融機関は「期限の利益」を失います。これは、分割払いの権利を失い、残りのローンを一括で返済しなければならない状態になることを意味します。
  3. 保証会社からの代位弁済: ローンを保証する会社(保証会社)が付いている場合、保証会社が代わりに金融機関に返済を行います(代位弁済)。
  4. 担保物件の差押え: 金融機関または保証会社は、担保となっている家を差し押さえます。
  5. 競売の実施: 差し押さえられた家は、裁判所を通じて競売にかけられます。
  6. 売却と債権回収: 競売で売却された代金から、金融機関または保証会社は未払い金や遅延損害金を回収します。

この過程で、ご自身の信用情報にも傷がつき、新たな借り入れが難しくなる可能性もあります。

関係する法律と制度:住宅ローンの滞納に関わる法律

住宅ローンの滞納には、いくつかの法律が関係しています。

  • 民法: 債権(お金を貸した権利)と債務(お金を返す義務)に関する基本的なルールが定められています。
  • 民事執行法: 債権者が、債務者の財産を差し押さえ、競売にかける手続きについて定めています。
  • 破産法: 借金が返済不能になった場合に、裁判所に破産を申し立てる手続きを定めています。

また、住宅ローンに関する制度としては、以下のようなものがあります。

  • 住宅ローン控除: 住宅ローンを利用している人が、所得税や住民税を軽減できる制度です。滞納すると、この控除が受けられなくなる可能性があります。
  • フラット35: 住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローンです。

誤解されがちなポイント:物件を引き渡せば借金はチャラになる?

多くの人が誤解しがちな点として、「家を引き渡せば、借金はすべてなくなる」という考えがあります。しかし、これは必ずしも正しいとは限りません。

競売で家が売却されたとしても、売却代金がローンの残高を下回る場合があります。この場合、残りの借金は「債務(さいむ)」として残ります。これを「アンダーローン」などと呼ぶこともあります。債務が残った場合、金融機関や保証会社は、残りの債務を回収するために、給与やその他の財産を差し押さえる可能性があります。

一方、任意売却という方法もあります。これは、金融機関の同意を得て、競売にかける前に、自分で家を売却する方法です。任意売却の場合、競売よりも高い価格で売却できる可能性があり、債務を減らすことができる場合があります。

実務的なアドバイス:住宅ローン滞納への具体的な対策

住宅ローンの返済が難しくなった場合は、早急に対策を講じることが重要です。以下に、具体的な対策をいくつかご紹介します。

  • 金融機関への相談: まずは、住宅ローンを借りている金融機関に相談しましょう。返済計画の見直しや、一時的な返済猶予(ゆうよ)などの支援を受けられる可能性があります。
  • 専門家への相談: 弁護士や、住宅ローン問題に詳しいファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも有効です。
  • 任意売却の検討: 競売になる前に、任意売却を検討しましょう。
  • 自己破産: 借金が返済不能な状態になった場合は、自己破産も選択肢の一つです。ただし、自己破産は、信用情報に大きな影響を与えるため、慎重に検討する必要があります。

これらの対策を講じることで、最悪の事態を避けることができる可能性があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

住宅ローンに関する問題は、複雑で専門的な知識が必要となる場合があります。以下のような場合は、専門家への相談を強くお勧めします。

  • 返済が滞り、督促が始まった場合: 早期に専門家に相談することで、適切な対応策を講じることができます。
  • 競売の手続きが始まった場合: 競売に関する手続きは複雑であり、専門家のサポートが不可欠です。
  • 任意売却を検討している場合: 任意売却は、専門的な知識と交渉力が必要となります。
  • 自己破産を検討している場合: 自己破産は、法律的な手続きが必要であり、専門家のサポートが不可欠です。

相談先としては、弁護士、司法書士、住宅ローン問題に詳しいファイナンシャルプランナーなどが挙げられます。これらの専門家は、あなたの状況に合わせて、最適なアドバイスとサポートを提供してくれます。

まとめ:住宅ローン滞納問題の重要ポイント

住宅ローンの返済が滞ると、様々な問題が発生します。督促を無視し続けると、最終的には家を失う可能性が高まります。しかし、家を引き渡しても、借金がすべてなくなるわけではありません。売却代金がローンの残高を下回る場合は、残りの債務を支払う必要があります。

住宅ローンに関する問題は、早期に対処することが重要です。返済が難しくなった場合は、まず金融機関に相談し、専門家にも相談することを検討しましょう。任意売却や自己破産といった選択肢もありますが、それぞれメリットとデメリットがあります。専門家とよく相談し、ご自身の状況に合った最適な解決策を見つけるようにしましょう。