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個人事業主の開業費、まとめて計上?それとも細かく?帳簿のつけ方を解説

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【悩み】
個人事業主として事業を始めるにあたり、お金の流れを記録する「帳簿付け」は非常に重要です。帳簿付けは、あなたの事業の「健康診断」のようなもの。お金の流れを正確に把握することで、事業の現状を把握し、将来の計画を立てるための貴重な情報源となります。
帳簿付けには、大きく分けて「現金出納帳」「預金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「固定資産台帳」など様々な種類がありますが、今回質問にある「開業費」は、これらの帳簿とは少し違った性質を持っています。
「開業費」とは、事業を開始するためにかかった費用のことです。具体的には、店舗の準備費用、広告宣伝費、事業に必要な備品の購入費などが該当します。この開業費は、事業開始前に発生した費用であり、事業が軌道に乗るまでの準備期間にかかったお金を指します。
ご質問者様の場合、昨年8月から開業準備を始め、今年3月に開業されたとのこと。この期間にかかった費用は、すべて「開業費」として計上することができます。
結論から言うと、開業費は開業日にまとめて計上しても問題ありません。ただし、それぞれの費用の内容を明確にするために、摘要欄(摘要:摘要とは、帳簿に記載する取引の内容を簡潔に説明する欄のこと)に、何に使った費用なのか、詳細を記載することをおすすめします。
例えば、3月31日に開業費をまとめて計上する場合、以下のように記載できます。
そして、摘要欄には、それぞれの費用の内訳を記載します。
このように、開業日にまとめて計上しつつ、摘要欄で詳細を記載することで、税務署(税金に関する事務を行う国の機関)からの問い合わせにも対応できます。
開業費に関連する法律や制度として、所得税法と法人税法があります。これらの法律では、開業費をどのように扱うかについて規定されています。
具体的には、開業費は「繰延資産(くりのべしさん:将来の収益を得るために支出した費用で、その効果が1年以上にわたって及ぶもの)」として計上することができます。繰延資産は、原則として、その効果が及ぶ期間にわたって費用として計上することになります。
しかし、開業費については、税法上、任意で全額をその年の経費とすることも認められています。これは、開業したばかりの事業者の負担を軽減するための措置です。
なお、消費税についても、開業費が関係する場合があります。消費税の課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)になるかどうかは、開業費の金額や、その年の売上高などによって判断されます。
開業費の計上方法について、よくある誤解を整理しましょう。
誤解1:開業費は開業日にしか計上できない
いいえ、そうではありません。開業準備期間中に発生した費用は、すべて開業費として計上できます。ただし、計上するタイミングは、開業日以降でも問題ありません。
誤解2:開業費は必ず細かく分けて計上しなければならない
いいえ、必ずしもそうではありません。開業費は、まとめて計上することも、細かく分けて計上することも可能です。ただし、税務署からの問い合わせに対応できるよう、摘要欄に詳細な内訳を記載することが重要です。
誤解3:開業費は経費にならない
いいえ、そうではありません。開業費は、税法上、経費として認められます。ただし、計上するタイミングや方法によっては、税金に影響が出る場合があります。
開業費の帳簿付けに関する、実務的なアドバイスと具体例を紹介します。
1. 領収書は必ず保管する
開業費を計上するためには、領収書や請求書などの証拠書類が必要です。これらの書類は、税務調査(税務署が税金の申告内容をチェックすること)の際に必要となる場合がありますので、必ず保管しておきましょう。できれば、日付順に整理しておくと、後で探しやすくなります。
2. 経費の分類を意識する
開業費を計上する際には、それぞれの費用がどのような経費に該当するのかを意識しましょう。例えば、店舗の家賃は「地代家賃」、広告宣伝費は「広告宣伝費」といったように、適切な勘定科目(勘定科目:お金の流れを記録するための分類項目)を使用することが重要です。
3. 経理ソフトの活用
経理ソフトを利用すると、帳簿付けが格段に楽になります。多くの経理ソフトでは、領収書の画像を読み込んだり、銀行口座の情報を自動で取り込んだりする機能があります。ご自身の事業規模や、経理に関する知識に合わせて、適切な経理ソフトを選びましょう。
4. 自宅兼事務所の場合の注意点
自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費などの費用の一部を、経費として計上することができます。これを「家事関連費(かじかんれんひ:事業と家事の両方に関わる費用のこと)」といいます。家事関連費を計上する際には、事業で使用している割合(按分率:あんぶんりつ)を計算し、その割合に応じて経費を計上する必要があります。
例えば、自宅の家賃が10万円で、事務所として使用している面積が全体の20%の場合、家賃の20%である2万円を経費として計上できます。
開業費の計上方法や、帳簿付けについて、ご自身で判断できない場合は、専門家である税理士に相談することをおすすめします。税理士は、税務に関する専門知識を持っており、あなたの事業に合った適切なアドバイスをしてくれます。
以下のような場合は、税理士に相談することをおすすめします。
・開業費の範囲や、計上方法について詳しく知りたい場合
・自宅兼事務所の家事関連費の計算方法について知りたい場合
・税務調査への対応について不安がある場合
税理士に相談することで、税務上のリスクを軽減し、安心して事業を進めることができます。
今回の質問の重要ポイントをまとめます。
・開業費は、開業準備期間中に発生した費用を指し、事業開始前に発生した費用を計上します。
・開業費は、開業日にまとめて計上しても、細かく分けて計上しても問題ありません。ただし、摘要欄に詳細な内訳を記載することが重要です。
・開業費は、税法上、経費として認められます。
・領収書は必ず保管し、経費の分類を意識しましょう。
・自宅兼事務所の場合は、家事関連費の計算に注意が必要です。
・帳簿付けや税務に関する疑問がある場合は、税理士に相談しましょう。
これらのポイントを参考に、正しく開業費を計上し、スムーズな事業運営を目指しましょう。
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