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  • 親族からの資金援助で家を建て替え!贈与税を回避する「借用書」の作り方と相続の落とし穴

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親族から資金援助を受けて家を建て替える際、贈与税を回避しながら安全に進めるにはどうすれば良いですか?

結論から言うと、正式な「金銭消費貸借契約書」を交わして『借入』の形にすることで、贈与税を回避することは可能です。しかし、契約内容が曖昧だと税務署から「名ばかりの借金=贈与」とみなされるリスクや、ご親族の複雑な相続関係が将来の大きなトラブルに発展する危険性もはらんでいます。

この記事では、その理由と具体的な注意点について詳しく解説していきます。

「借りる」と「もらう」の大きな違い:贈与税の基本

そもそも、なぜ「借入」という形にこだわる必要があるのでしょうか。それは「贈与税」という高額な税金を避けるためです。

贈与税とは?

贈与税は、個人から年間110万円を超える財産を「もらった」場合にかかる税金です。例えば、伯母様から建て替え資金として1,000万円をそのまま受け取ると、基礎控除の110万円を差し引いた890万円に対して、非常に高額な贈与税が課せられてしまいます。

一方で、あくまで「借りた」お金であり、将来的に返済する意思と事実があれば、それは贈与にはあたりません。この「返済の意思と事実」を客観的に証明するために、契約書が不可欠となるのです。

税務署に「贈与」とみなされる危険なケース

口約束だけで「借りたことにしよう」というのは非常に危険です。税務署は親子間・親族間の金銭のやり取りを厳しく見ています。以下のようなケースは「実質的な贈与」と判断され、後から追徴課税される可能性があります。

  • 契約書が存在しない
  • 利息が全くない(無利子である)
  • 返済計画が曖昧で、実際に返済した形跡がない
  • 借りた側に、そもそも返済能力がない

安全な「金銭消費貸借契約書」を作成する5つのポイント

税務署に「贈与」と判断されないためには、第三者が見ても「これは正当な借金である」と納得できる証拠、つまり「金銭消費貸借契約書(借用書)」を作成する必要があります。以下の5つのポイントを必ず押さえてください。

  1. 契約書の作成は必須
    「金銭消費貸借契約書」という表題で、貸主(伯母様)、借主(あなたと父上)、借入額、契約日などを明記し、双方が署名・捺印します。
  2. 返済期間と返済方法を明確に
    「毎月末日に5万円ずつ、貸主の指定する銀行口座に振り込む方法で返済する」など、誰が見ても分かるように具体的に記載します。
  3. 利息を設定する(最重要)
    親族間であっても、無利子だと「利息分を贈与された」と見なされる可能性があります。現在の市場金利を参考に、年1.0%程度の利息を設定しておくのが安全です。
  4. 実際に返済した「証拠」を残す
    現金での手渡しは避け、必ず銀行振込で返済しましょう。通帳の記録が、返済している事実を示す何よりの証拠になります。
  5. 公証役場で「確定日付」をもらう(強く推奨)
    契約書を公証役場に持っていくと、「確定日付印」というスタンプを押してもらえます。これは「この日に、この契約書が確かに存在した」ということを法的に証明するもので、契約の信頼性を飛躍的に高めます。

この記事の重要ポイント

  • ポイント1:親族からの資金援助を贈与税の対象にしないためには、利息や返済計画を明記した正式な「金銭消費貸借契約書」が不可欠です。
  • ポイント2:契約書を作るだけでなく、実際に銀行振込などで「返済している事実」を記録として残し続けることが重要です。
  • ポイント3:契約だけでは解決できない「相続」のリスクが潜んでいます。特に、貸主(伯母様)の相続や、建て替えた家の共有名義問題は要注意です。

契約書だけでは防げない!潜んでいる3つの相続リスク

さて、ここからが今回のケースで最も注意すべき点です。たとえ完璧な契約書を作成しても、防ぎきれない「相続」という大きなリスクが3つ存在します。

リスク1:伯母様の相続と「貸したお金」の行方

伯母様が亡くなられた場合、あなた方に対する「貸付金(お金を返してもらう権利)」は、伯母様の相続財産になります。ご相談のケースでは、その財産を相続するのは、伯父様の前妻のお子さんたちです。彼らが「契約書通り、残額をすぐに返してください」と要求してきた場合、法的には断ることができません。急な資金返済に迫られるリスクがあるのです。

リスク2:建て替えた家の「共有名義」問題

新しい家をあなたと父上の共有名義にする予定とのことですが、将来、父上が亡くなられた際の相続を考えておく必要があります。もし、あなた以外にも相続人(ご兄弟など)がいる場合、家の持分がさらに細分化され、将来の売却やリフォームの際に全員の同意が必要になるなど、トラブルの火種になりかねません。

リスク3:借地権そのものの相続

建物だけでなく、その土台である「借地権」も相続財産です。これも共有名義になると、地主との更新交渉や地代の支払いなどで意見がまとまらず、最悪の場合、大切な借地権を手放さなければならない事態にも繋がりかねません。

まとめ:問題解決の鍵は、税金対策と相続対策の同時進行

最後に、今回のポイントを整理します。

  • 贈与税対策は可能:利息や返済計画を盛り込んだ正式な契約書を作成し、実際に返済を続けることで、贈与税を回避することは可能です。
  • 真のリスクは相続にある:しかし、本当の課題は契約書だけでは解決できない「相続問題」にあります。貸主である伯母様の相続、そしてご自身の家族の相続という、二重の相続リスクを直視する必要があります。
  • 専門家への相談が最善手:これらの問題を一挙に解決するには、税務、法律、不動産の専門知識が不可欠です。

ご覧いただいたように、「親族からお金を借りて家を建てる」という一見シンプルな行為の裏には、多くの法律上・税務上の論点と、将来の深刻なトラブルに発展しかねないリスクが隠されています。

法的に有効な契約書の作成はもちろんのこと、将来の相続まで見据えた総合的なプランを設計するには、高度な専門知識が不可欠です。ご家族の大切な資産を守り、円満な関係を維持するためにも、まずは不動産と相続問題に精通した専門家に相談し、全体像を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

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