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公正証書遺言と家賃収入:相続開始から登記完了までの賃料の扱い方

【背景】
父が亡くなり、不動産を相続することになりました。父は公正証書遺言を残しており、その遺言書通りに相続人が不動産を相続することになっています。相続人間で揉めることなく、スムーズに相続手続きを進められると思っていたのですが、不動産から発生する家賃収入の扱いについて、少し疑問がでてきました。

【悩み】
遺言書通りに相続が進むとしても、不動産の登記が完了するまでに発生する家賃収入はどうなるのでしょうか?最高裁判例では、遺産分割協議までに生じた賃料収入は準共有として、法定相続分に応じて分けると聞きましたが、遺言書がある場合はどうなのでしょうか?また、遺産分割協議自体がない場合、家賃収入の発生基準日はいつになるのでしょうか?

遺言執行者による分配が原則です。

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

まず、相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産が相続人(法律で定められた相続権を持つ人)に承継されることです。相続財産には、不動産、預金、株式など様々なものが含まれます。不動産を相続する場合、家賃収入も相続財産の一部となります。

遺産分割協議とは、相続人全員が話し合って、相続財産の分け方を決める手続きです。協議がまとまれば、その内容に基づいて相続財産が分割されます。しかし、協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判を請求することができます。

公正証書遺言は、公証役場で作成された遺言書で、法的効力が強く、紛争リスクが低いとされています。遺言書には、相続財産の分け方だけでなく、遺言執行者(遺言の内容を実行する人)を指定することもできます。

今回のケースへの直接的な回答

質問者さんのケースでは、公正証書遺言があり、相続人同士で揉めることなく相続が進むことが決まっています。この場合、遺産分割協議は不要です。

最高裁判例で言及されている「遺産分割協議までに生じた賃料収入は準共有として、法定相続分に応じて分けられる」というのは、遺産分割協議が必要なケースの話です。質問者さんのケースでは、遺言書で相続の仕方が明確に定められているため、この判例は直接適用されません。

登記完了までに発生した家賃収入は、原則として遺言書に従い、遺言執行者が指定された相続人に分配します。

関係する法律や制度がある場合は明記

民法(相続に関する規定)が関係します。特に、第900条以降の遺産分割に関する規定が重要です。また、遺言執行者の役割や権限についても、民法の規定に基づいて判断されます。

誤解されがちなポイントの整理

「公正証書遺言があれば、すべてがスムーズに進む」と誤解されがちですが、家賃収入の分配方法については、遺言書に明記されていない限り、遺言執行者の判断が必要になります。遺言書に具体的な記述がない場合は、遺言執行者が相続人の間で公平に分配するよう努める必要があります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

例えば、遺言書に「不動産Aから発生する家賃収入は、相続人甲が全額受け取る」と記載されていれば、甲が全額受け取ります。しかし、記載がない場合は、遺言執行者が相続開始日(被相続人の死亡日)から登記完了日までの家賃収入を、遺言書の意図を汲み取り、法定相続分を考慮しつつ、相続人へ分配することになります。 この際、家賃収入の発生時期を明確にするために、賃貸借契約書などの証拠書類をきちんと保管しておくことが重要です。

専門家に相談すべき場合とその理由

遺言書の内容が複雑であったり、相続財産に高額な不動産が含まれている場合、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、相続手続きを円滑に進めるためのサポートをしてくれます。特に、遺言書に家賃収入の取り扱いについて具体的な記述がない場合、専門家の助言は不可欠です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

公正証書遺言がある場合、遺産分割協議は不要です。登記完了までに生じた家賃収入は、原則として遺言書に従い、遺言執行者が分配します。遺言書に具体的な記載がない場合は、遺言執行者の判断が重要となり、専門家の助言を受けることも検討すべきです。 相続は複雑な手続きなので、不明な点があれば、早めに専門家にご相談ください。

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