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公正証書遺言と相続放棄:持ち家と現金の相続、3ヶ月経過後の権利はどうなる?

【背景】
父が亡くなり、公正証書遺言で兄が父の持ち家を、私が現金全てを相続することになっています。相続放棄の3ヶ月が過ぎました。

【悩み】
兄が遺言書の内容を知った後、持ち家を相続したくないと言ってきた場合、どうなるのか不安です。兄が相続放棄しなかったとしても、兄が持ち家を相続しなくても、私が持ち家を相続できるのでしょうか?

兄が相続放棄しなければ、兄が持ち家を相続します。兄が不要としても、あなたに権利は移りません。

相続と遺言の基礎知識

相続とは、人が亡くなった際に、その人の財産(不動産、預金、有価証券など)が、法律に基づいて相続人に引き継がれることです。相続人は、法律で定められた順位(民法第900条)に従って決定されます。通常は配偶者と子です。

遺言とは、自分が亡くなった後の財産の承継について、自分の意思をあらかじめ書き残しておく制度です。公正証書遺言は、公証役場(公証人によって作成される遺言で、法的効力が非常に強い遺言です)で作成された遺言で、最も法的効力が強い遺言です。遺言書があれば、その内容に従って相続が行われます。

今回のケースへの直接的な回答

ご質問のケースでは、父が公正証書遺言を作成し、兄が持ち家、あなたが現金を受け継ぐと定めています。相続放棄の3ヶ月が経過し、兄が相続放棄しなかった場合、兄は遺言に従って持ち家を相続することになります。兄が持ち家を「いらない」と言っても、それはあなたの権利にはなりません。

相続放棄の制度

相続開始(被相続人が死亡した時)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることで、相続を放棄できます。相続放棄をすると、相続財産を受け継がないだけでなく、相続債務(被相続人の借金など)も負うことがなくなります。しかし、3ヶ月を過ぎると、相続放棄はできなくなります。

誤解されがちなポイントの整理

「兄が持ち家を相続したくない」という意思表示は、相続放棄とは異なります。相続放棄は、相続そのものを放棄する意思表示ですが、「いらない」という意思表示は、相続の承継を放棄する意思表示ではありません。あくまでも、兄が持ち家を相続した上で、それを売却したり、誰かに譲渡したりする意思表示に過ぎません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

兄が持ち家を本当に不要とするなら、売却して現金化し、そのお金をあなたに譲渡する、といった方法が考えられます。しかし、これは遺言の内容とは異なるため、兄とあなたの間で合意が必要となります。その際、トラブルを防ぐために、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続は複雑な手続きを伴い、法律的な知識が必要となります。今回のケースのように、遺言の内容と相続人の意思が一致しない場合、トラブルに発展する可能性があります。弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、適切な手続きや解決策を見つけることができます。特に、遺産分割協議(相続人同士で遺産の分け方を話し合うこと)が必要となるケースでは、専門家の助言が不可欠です。

まとめ

公正証書遺言は法的拘束力が高いです。相続放棄の3ヶ月が過ぎた後、相続人は遺言に従って相続しなければなりません。兄が持ち家を相続したくないとしても、それがあなたの権利になるわけではありません。相続に関するトラブルを防ぐためにも、専門家への相談が重要です。

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