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共同名義不動産の賃貸収入分配と分割訴訟の可能性:母親と娘のケース

【背景】
* 母親と娘が不動産を共同名義(1:1)で所有しています。
* それぞれ別の不動産管理会社(A社:母親、B社:娘)に賃貸管理を委託しています。
* 最近、B社の管理による賃貸収入がA社より大幅に多くなっています。
* 母親の保佐人弁護士が、収入差を解消しない場合、不動産の分割と売却を訴訟で主張しています。

【悩み】
母親と娘の経営能力の差によって生じた収入格差は、弁護士の主張する不動産分割・売却の法的根拠となるのでしょうか?弁護士の主張は正当でしょうか?

弁護士の主張は必ずしも法的根拠があるとは限りません。状況次第です。

1.共同名義と共有不動産の基礎知識

不動産を共同名義で所有する場合、所有権は共有(きょうゆう)となります。共有とは、複数の者が同一の財産を所有する状態を指します(民法85条)。今回のケースでは、母親と娘が不動産の共有者であり、それぞれ1/2ずつ所有権を有しています。共有者の間では、原則として、共有物(この場合は不動産)の利益をその持分に応じて享受する権利があります。賃貸収入も例外ではありません。

2.今回のケースへの直接的な回答

弁護士の主張する「資産の二分割の上これを売却」は、必ずしも法的に正当とは限りません。 賃貸収入の分配は、共有者の合意に基づいて行われるのが原則です。 しかし、一方的な不利益を被っている場合、裁判所に「共有物分割請求」(民法257条)を行うことができます。 しかし、分割請求は、共有が維持できない場合に認められるものであり、必ずしも収入格差だけで認められるわけではありません。 今回のケースでは、A社とB社の営業能力の差が収入格差の原因であり、娘側に故意や過失がないとすれば、分割請求は認められない可能性が高いです。

3.関係する法律や制度

関係する法律は民法です。特に、共有に関する規定(民法第85条以降)と共有物分割請求に関する規定(民法第257条)が重要になります。 また、母親が保佐宣告を受けている場合は、成年後見制度に関する法律も関係してきます。

4.誤解されがちなポイントの整理

* **収入格差=不当ではない:** A社とB社の営業能力の差は、娘の経営能力の高さによる結果であり、必ずしも不当な行為ではありません。
* **分割請求は容易ではない:** 共有物分割請求は、裁判所が共有関係の維持が困難と判断した場合に認められます。単なる収入格差では、請求が認められない可能性が高いです。
* **弁護士の主張はあくまで主張:** 弁護士の主張は、法的根拠に基づいて行われるべきです。しかし、主張が必ずしも認められるとは限りません。

5.実務的なアドバイスや具体例の紹介

まず、A社とB社の賃貸管理契約内容を確認する必要があります。契約内容に、収入分配方法に関する規定があるか確認しましょう。 もし、規定がない場合は、母親と娘で話し合い、公平な収入分配方法を合意する必要があります。 話し合いがまとまらない場合は、調停(ちょうてい)や裁判という手段も考えられますが、その前に、不動産鑑定士に不動産の適正な賃貸価格を査定してもらうのも有効です。 これにより、B社の高い収入が、娘の優れた経営能力によるものか、それとも不当な価格設定によるものかを客観的に判断できる材料となります。

6.専門家に相談すべき場合とその理由

話し合いがまとまらず、法的措置を検討する必要がある場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。 不動産に関する法律は複雑であり、専門家のアドバイスを受けることで、適切な対応を取ることができます。 特に、母親が保佐宣告を受けている場合は、成年後見人との連携も重要になります。

7.まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

共同名義不動産の賃貸収入分配は、共有者の合意に基づいて行われます。 収入格差が生じたとしても、それが不当な行為によるものでない限り、共有物の分割請求は認められない可能性が高いです。 話し合いが困難な場合は、専門家(弁護士、司法書士)に相談することが重要です。 また、不動産鑑定士による査定も、客観的な判断材料となります。 感情的な対立ではなく、冷静な事実関係の確認と、専門家の助言に基づいた対応が求められます。

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