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共同相続における相続分と持分の違い:不動産登記申請の注意点

【背景】
不動産登記法のテキストに、「共同相続の場合に、相続人の1人が自己の持分のみの相続登記を申請することはできない」と記載されているのを見ました。

【悩み】
相続の場面では「相続分」という言葉を使っていると思っていたのですが、「持分」という言葉が出てきて違いがよく分かりません。「相続分」と「持分」の違い、そして、なぜ相続人の1人が自分の持分だけの登記申請ができないのかを知りたいです。

相続分は法定相続分で決まり、持分は相続人が自由に決められます。単独登記はできません。

相続分と持分の違い:根本的な概念の理解

まず、「相続分」と「持分」の違いを理解することが重要です。 これは、不動産を相続する際に非常に重要な概念です。

「相続分」とは、法律で定められた相続人の相続順位と法定相続割合(民法第900条)に基づいて決まる、相続財産における各相続人の権利の割合のことです。例えば、配偶者と子が2人いる場合、配偶者が1/2、子供それぞれが1/4といった具合に、法律で自動的に決まります。これは、相続人が自由に変更できるものではありません。

一方、「持分」とは、共有物(ここでは相続した不動産)における各共有者の権利の割合のことです。相続によって不動産を相続した場合、最初は相続分に基づいて共有状態となりますが、相続人同士で合意すれば、この持分を自由に変更することができます。例えば、相続分が1/2だった相続人が、他の相続人と合意の上、自分の持分を1/3にすることも可能です。

重要なのは、相続開始時点では相続分と持分は一致しているということです。しかし、相続人同士で合意の上、持分を調整することができる点が大きな違いです。

今回のケースへの直接的な回答:単独登記の不可

質問にある「共同相続の場合に、相続人の1人が自己の持分のみの相続登記を申請することはできない」というのは、この持分の概念と密接に関係しています。

相続によって不動産を相続した場合、原則として相続人全員で共有状態となります。 相続登記においても、相続人全員の同意を得て、全員分の持分を登記簿に記載する必要があります。(例外として、遺産分割協議が成立し、特定の相続人に不動産が単独で帰属する場合は、その相続人名義での単独登記が可能です。)

単独で自分の持分だけを登記することは、登記簿の整合性を保つことが難しく、紛争の原因にもなりかねないため、認められていません。

関係する法律や制度:不動産登記法

この問題は、不動産登記法に規定されています。不動産登記法は、不動産の所有権などの権利関係を公的に記録し、その権利の安全と安定を図るための法律です。 相続登記もこの法律に基づいて行われます。 個々の相続人が勝手に登記を進めることは、法令に反する可能性があります。

誤解されがちなポイント:相続分と持分の混同

相続分と持分を混同してしまう人が多いです。 相続開始時点では同じ割合ですが、相続後、遺産分割協議によって持分は変更可能です。 この違いを理解しないと、登記申請の手続きで大きな混乱を招きます。

実務的なアドバイスや具体例:遺産分割協議の重要性

相続登記を進めるには、まず相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産の所有権の帰属を明確にする必要があります。 協議の結果、特定の相続人に不動産が帰属することになれば、その相続人名義での単独登記が可能になります。 協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることもできます。

専門家に相談すべき場合とその理由:複雑なケースへの対応

相続人の数が多い場合、不動産の種類が複雑な場合、相続人間で争いがある場合などは、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、法律に基づいた適切な手続きを案内し、紛争の解決にも尽力してくれます。

まとめ:相続登記における注意点

共同相続における不動産登記では、相続分と持分の違いを理解し、相続人全員の合意に基づいて手続きを進めることが非常に重要です。 単独での登記申請は認められないため、遺産分割協議を行い、所有権の帰属を明確にした上で、適切な手続きを進める必要があります。 複雑なケースや紛争が発生する可能性がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。

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