共同相続後の相続放棄と持分放棄：所有権移転登記の日付問題を徹底解説！

【背景】
共同相続で相続登記がされた後、相続人の一人が相続放棄をしました。所有権の更正登記をする際に、登記原因の日付をどうすれば良いのか分からなくなりました。相続放棄と持分放棄の違いもよく理解できていません。

【悩み】
相続放棄の場合と持分放棄の場合で、所有権移転登記の日付が異なる理由が知りたいです。相続放棄によって、なぜ所有権の移転登記ではなく、所有権の更正登記になるのか、その違いと理由を詳しく教えてほしいです。また、それぞれの登記申請における日付の扱いについても教えてください。

相続放棄は更正、持分放棄は移転登記。日付はそれぞれ放棄日。

回答と解説

テーマの基礎知識：相続放棄と持分放棄

まず、相続放棄と持分放棄の違いを理解することが重要です。

相続放棄とは、相続人が相続開始後（被相続人が亡くなった後）一定期間内に家庭裁判所に申述することで、相続の権利・義務を一切放棄することです。（民法第1000条）。相続放棄によって、相続人は最初から相続人ではなかったことになります。

一方、持分放棄とは、既に共有状態にある不動産について、共有者の一人が自分の持分を他の共有者に放棄することです。これは、相続放棄とは異なり、既に相続によって権利を取得した後に行われる行為です。放棄した持分は、他の共有者に移転します。

今回のケースへの直接的な回答

質問者さんのケースでは、既に共同相続による所有権移転登記がされている状態です。その後、相続人の一人が相続放棄をした場合、その相続人は最初から相続人ではなかったことになります。そのため、登記簿に記載されている相続人の権利関係を訂正する必要があります。これが「所有権更正登記」です。登記原因は「相続放棄」となり、日付は相続放棄の申述をした日になります。

一方、共有者が自分の持分を放棄する場合は、「所有権移転登記」を行います。登記原因は「持分放棄」で、日付は持分放棄の意思表示を行った日になります。

関係する法律や制度

* **民法第1000条（相続放棄）**: 相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述することで相続を放棄できます。
* **不動産登記法**: 不動産に関する権利の発生、移転、消滅などを登記簿に記録する法律です。所有権移転登記や所有権更正登記はこの法律に基づいて行われます。

誤解されがちなポイントの整理

相続放棄と持分放棄は、どちらも権利を放棄する行為ですが、権利の発生時期が異なります。相続放棄は相続開始前に遡って権利を否定するのに対し、持分放棄は既に権利を取得した状態で行われる行為です。この違いが、登記の種類と日付の扱いに影響します。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

相続放棄の申述書は、家庭裁判所に提出する必要があります。所有権更正登記申請には、この申述書の写しが必要になります。持分放棄の場合は、放棄する意思表示をした書面（契約書など）が必要になります。これらの書類は、登記所に提出する必要があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続や不動産登記は複雑な手続きが多く、専門知識が必要です。登記申請の手続きが複雑で不安な場合、または相続関係が複雑な場合は、司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。間違った手続きを行うと、登記が却下されたり、後々トラブルが発生する可能性があります。

まとめ（今回の重要ポイントのおさらい）

* 相続放棄は、相続開始前に遡って権利を否定する行為であり、所有権更正登記を行います。登記原因日は相続放棄申述日です。
* 持分放棄は、既に権利を取得した状態で行われる行為であり、所有権移転登記を行います。登記原因日は持分放棄の意思表示日です。
* 不動産登記に関する手続きは複雑なため、専門家に相談することが重要です。