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共有不動産における時効取得の可能性:甲の持分のみの時効取得は成立するのか?

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時効取得は、全体ではなく、共有持分の一部についても成立するのかどうかが分からず、悩んでいます。地上権や賃借権など、他の権利では時効取得が可能であると聞いたため、共有持分の権利についても同様のことが言えるのではないかと考えています。文献などを参考に、時効取得が成立しないことを明確にしたいです。
時効取得とは、民法第162条に規定されている、20年間の平穏かつ公然の占有によって所有権を取得できる制度です。 「平穏」とは、他人の妨害を受けることなく占有している状態、「公然」とは、周囲に知られるような形で占有している状態を指します(隠れて占有している場合は時効取得は成立しません)。 時効取得は、所有権だけでなく、地上権(土地の上に建物などを建てる権利)や賃借権(土地や建物を借りる権利)など、他の権利についても適用される場合があります。
今回のケースでは、甲の持分のみの時効取得は、原則として認められません。時効取得は、対象となる不動産全体を20年間平穏かつ公然と占有することで成立します。甲が自分の持分3分の1のみを20年間占有していたとしても、残りの3分の2を占有する乙と丙の権利を消滅させることはできません。よって、甲の持分のみの時効取得は成立しないと言えるでしょう。
関係する法律は、主に民法です。特に、民法第162条(時効取得)と民法第244条(共有)が重要になります。民法第244条は、共有物の管理や処分について規定しており、共有者の一方だけで所有権を取得することはできないことを示唆しています。
地上権や賃借権の時効取得が可能だからといって、共有持分についても同様に時効取得が可能であると誤解されることがあります。しかし、所有権と地上権・賃借権では権利の内容が大きく異なります。所有権は物に対する最も強い権利である一方、地上権や賃借権は、所有権に付随する限定的な権利です。そのため、両者の時効取得の要件や効果は必ずしも同一ではありません。
例えば、甲が他の共有者である乙と丙の承諾を得ずに、20年間自分の持分3分の1を独占的に使用していたとしても、時効取得は成立しません。乙と丙が甲の占有を黙認していたとしても、それは時効取得の要件である「平穏かつ公然の占有」を満たすとは限りません。あくまで、不動産全体を20年間平穏かつ公然と占有することが必要です。
不動産に関する紛争は複雑な場合があります。今回のケースのように、時効取得の成立要件を満たしているかどうかの判断は、専門的な知識と経験が必要です。もし、ご自身で判断に迷う場合は、弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。 彼らは、関連する法律や判例を熟知しており、適切なアドバイスをしてくれます。
共有不動産において、共有持分の一部のみの時効取得は原則として認められません。時効取得は、不動産全体を20年間平穏かつ公然と占有することで成立します。地上権や賃借権の時効取得と混同しないよう注意し、不明な点があれば専門家に相談しましょう。 今回のケースでは、甲は時効取得によって所有権を取得することはできません。
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