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共有不動産の売却と相続:オーナーチェンジで全売却する際の遺産分割協議書の必要性と手続き

【背景】
父が亡くなり、母と私、兄の4人で共有している土地とビルがあります。老朽化も進んでおり、管理も大変なので、オーナーチェンジ(一括借上げによる売却)で全て売却したいと考えています。

【悩み】
オーナーチェンジで不動産を売却する際に、相続人全員の合意した遺産分割協議書が必要なのかどうかが分かりません。必要であれば、どのように作成すれば良いのか、また、他に必要な手続きがあれば教えてください。

相続人全員の合意があれば遺産分割協議書は不要な場合もあります。ただし、状況によっては必要です。

1. 共有不動産と相続の基礎知識

共有不動産とは、複数の所有者が共同で所有する不動産のことです。今回のケースでは、土地とビルが相続によって母と質問者、そして兄弟で共有されている状態です。相続が発生した場合、相続財産(この場合は土地とビル)は、法定相続分(民法で定められた相続人の相続割合)に従って相続人に相続されます。法定相続分は、相続人の数や親族関係によって異なります。

2. オーナーチェンジによる売却と遺産分割協議書

オーナーチェンジとは、不動産をまとめて一括借上げしてもらう売却方法です。売買契約を締結する際には、所有権を移転させる必要があります。共有不動産の場合、全員の合意が必要です。

遺産分割協議書は、相続人全員が相続財産の分け方を決めるための書面です。相続人が全員合意して遺産分割協議書を作成し、その内容に従って遺産分割が完了すれば、個々の相続人は自分の相続分を自由に処分できます。

しかし、相続人全員が売却に合意していれば、必ずしも遺産分割協議書は必要ありません。全員が売却に同意し、売却代金を法定相続分に応じて分割する意思表示があれば、売買契約書と売却代金の分割に関する合意書で十分な場合があります。

3. 関係する法律:民法

このケースに関係する法律は、主に民法です。民法には、相続、共有、売買に関する規定が定められています。特に、共有物の処分には、共有者の全員の同意が必要であるとされています。

4. 誤解されがちなポイント:遺産分割協議書と売買契約

遺産分割協議書と売買契約は別物です。遺産分割協議書は、相続財産の分割方法を決めるための合意書であり、売買契約は、不動産を売買する際の契約です。相続人全員が売却に合意していれば、遺産分割協議書を作成せずに、直接売買契約を締結することも可能です。しかし、相続人の中に売却に反対する者がいる場合、裁判所の調停や審判が必要になる可能性があります。

5. 実務的なアドバイスと具体例

全員が売却に合意している場合、売買契約書に相続人全員の署名・捺印を行い、売却代金を法定相続分に応じて分割する方法が最もシンプルです。この場合、売却代金の分割方法を明確に記載した別途の合意書を作成しておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。

しかし、相続人の中に、売却に反対する者や、法定相続分以外の割合で分割したい者がいる場合は、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書には、相続財産の内容、相続人の氏名・住所、相続分、分割方法などを具体的に記載する必要があります。

6. 専門家に相談すべき場合とその理由

相続や不動産の売買は複雑な手続きを伴うため、相続人全員で合意形成が難しかったり、法的な知識に不安がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、適切な手続きや書類の作成、紛争解決のサポートをしてくれます。特に、相続人の中に、売却に反対する者や、遺産分割に異議を唱える者がいる場合は、専門家のアドバイスが不可欠です。

7. まとめ

共有不動産のオーナーチェンジによる売却には、相続人全員の合意が必須です。全員が売却に合意し、売却代金の分割方法に問題がなければ、必ずしも遺産分割協議書は必要ありません。しかし、相続人全員の合意が得られない場合や、複雑な事情がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。 売買契約書と、売却代金分配に関する合意書、もしくは遺産分割協議書をきちんと作成することで、トラブルを防ぎ、スムーズな売却を進めることができます。

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