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共有不動産への抵当権設定と登録免許税:A持分取得後の抵当権効力拡大と税額の謎

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私は不動産登記法について勉強しています。共有不動産(AさんとBさんが共有)のAさんの持分に対して抵当権を設定した後、AさんがBさんの持分も取得した場合、そしてBさんの持分に対して新たに抵当権を設定した場合、それぞれどのような登記が必要で、登録免許税はいくらになるのかを知りたいです。
【悩み】
AさんがBさんの持分を取得して所有権全部になった場合と、Bさんの持分に対して新たに抵当権を設定した場合で、抵当権の効力が及ぶ範囲は同じなのに、登録免許税が大きく異なる理由が理解できません。法律上、これは仕方のないことなのでしょうか? 登録免許税の計算方法や、それぞれのケースにおける適切な登記手続きについて教えてください。
この質問は、共有不動産(複数の人が所有する不動産)への抵当権設定と、その後の所有権の移転が、不動産登記(不動産に関する権利関係を公的に記録する制度)にどう影響するか、そして登録免許税(不動産登記を行う際に支払う税金)がどのように計算されるかについての問題です。
抵当権とは、債務者が債権者に対して、特定の不動産を担保として提供する権利です。(例:住宅ローン)債務者がローンを返済できなくなった場合、債権者はその不動産を売却して債権を回収できます。
共有不動産の場合、各共有者は自分の持分について自由に処分できます。そのため、Aさんが自分の持分に対して抵当権を設定することは可能です。
質問にある2つのケースについて、それぞれ解説します。
**ケース1:AさんがBさんの持分を取得した場合**
AさんがBさんの持分を取得すると、Aさんは共有不動産の所有権全部を所有するようになります。この場合、既に設定されているA持分に対する抵当権の効力を、所有権全部に及ぶように変更する登記(抵当権の目的の変更登記)が必要です。登録免許税は、この変更登記の対象となる権利の価額ではなく、固定額の1,500円です。
**ケース2:B持分への抵当権追加設定の場合**
Bさんの持分に対して新たに抵当権を設定する場合は、B持分に対する抵当権設定登記を行います。この場合の登録免許税は、B持分の不動産価格の1000分の4です。
関係する法律は、不動産登記法です。この法律に基づき、不動産に関する権利変動は登記によって公示され、権利の安全が確保されます。登録免許税の額は、登録免許税法で定められています。
抵当権の効力が及ぶ範囲が同じでも、登録免許税が異なるのは、登記の種類が違うためです。ケース1は既存の抵当権の効力を拡大する変更登記であり、ケース2は新たな抵当権を設定する登記です。変更登記は固定額の税金、新規設定は不動産価格に応じて税金が決まるため、税額に差が生じます。
例えば、共有不動産の評価額が1000万円で、A持分とB持分がそれぞれ500万円ずつだとします。
ケース1:AさんがB持分を取得後、抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記を行う場合、登録免許税は1,500円です。
ケース2:B持分に新たに抵当権を設定する場合、登録免許税は500万円 × 1000分の4 = 20,000円となります。
このように、ケース1の方が大幅に安くなります。
不動産登記は専門的な知識が必要な手続きです。登記手続きに不備があると、権利関係にトラブルが生じる可能性があります。複雑なケースや、高額な不動産を扱う場合は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
共有不動産への抵当権設定と、その後の所有権の移転や追加設定は、登記の種類によって登録免許税が大きく異なります。 ケース1(所有権全部への効力拡大)は固定額、ケース2(新規設定)は不動産価格比例で税額が決まります。複雑な場合は専門家への相談が重要です。 不動産登記に関する手続きは、専門家である司法書士に依頼するのが安全です。
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