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共有名義マンションの精算:使用貸借と共有物分割請求の落としどころを探る

【背景】
* 父が私と弟に共有名義(父1/3、弟2/3)でマンションを購入。
* 20年前、父が他界。住宅ローン残債と他の借入があり、私が父の相続分を引き継ぎました。
* 弟は住宅ローン残債と他の連帯保証債務を抱え、自己破産寸前だったため、住宅ローンの完済まで使用貸借を黙認しました。(契約書なし)
* 30年近く経過し、マンションの精算を弟に申し出たところ、時価の持分割合での精算しか拒否されました。

【悩み】
弟は共有名義で居住しているため、時価の持分割合での精算しか応じません。使用貸借があったとしても、過去分の家賃請求は難しいのでしょうか? 使用貸借契約を終了させ、将来的な精算に向けて、他に方法はないでしょうか? 「住宅ローンの完済まで待った」ことは使用貸借契約の終了理由として有効でしょうか?

共有物分割請求訴訟、または話し合いによる解決が考えられます。

回答と解説

テーマの基礎知識:共有名義と使用貸借

不動産の共有名義とは、複数の者が所有権を共有する状態です。今回のケースでは、質問者さんと弟さんがマンションを共有しています。一方、使用貸借とは、所有者(貸主)が相手方(借主)に物を無償で貸し与える契約です。 今回のケースでは、弟さんがマンションを占有し、質問者さんは家賃を請求していなかったことから、使用貸借があったと解釈される可能性があります。しかし、契約書がないため、その成立や条件は曖昧です。

今回のケースへの直接的な回答

弟さんの主張は、一見妥当に見えます。しかし、使用貸借契約が成立していたとしても、それが無期限・無償であるとは限りません。20年間、住宅ローンの完済を待って使用を黙認した状況は、使用貸借の条件を明確に示す証拠とはなり得ません。 そのため、時価の持分割合での精算のみを主張するのは、必ずしも正当とは言えません。

関係する法律や制度

民法上の共有に関する規定(民法249条以下)と、使用貸借に関する規定(民法600条以下)が関係します。共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます(民法252条)。 ただし、分割が困難な場合(例えば、マンションを分割できない場合)は、共有物の換価(売却)による精算が認められます。

誤解されがちなポイントの整理

* **使用貸借の成立と期間:** 契約書がない場合、使用貸借の成立や期間を証明するのは困難です。黙認状態が使用貸借を意味するとは限りません。
* **家賃請求の可否:** 使用貸借が認められたとしても、過去の請求は時効によって消滅している可能性があります(民法167条)。しかし、将来分の家賃請求は可能です。
* **共有物分割請求訴訟:** 訴訟は費用と時間がかかりますが、裁判所が公正な価格を決定し、分割または換価を命じます。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

まずは、弟さんとの話し合いが重要です。弁護士を代理人として、過去の経緯や現状を説明し、公正な精算方法を提案しましょう。話し合いがまとまらない場合は、共有物分割請求訴訟を検討する必要があります。 訴訟では、マンションの時価評価、過去の費用負担、使用貸借の有無などを証拠として提示する必要があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

不動産、相続、民事訴訟に詳しい弁護士への相談が不可欠です。法律的な解釈や手続き、証拠集め、交渉戦略など、専門家のアドバイスなしに進むのはリスクが高いです。特に、訴訟になった場合、専門家のサポートは必須です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

弟さんとの話し合いが最優先です。しかし、話し合いが難航する場合は、弁護士に相談し、共有物分割請求訴訟を検討しましょう。使用貸借の有無や期間、家賃請求の可否は、個々の状況によって異なります。専門家のアドバイスを仰ぎ、適切な解決策を見つけることが重要です。 過去分の請求は難しい可能性が高いですが、将来分の精算に向けて、適切な手続きを踏むことが大切です。

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