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共有地の使用収益権設定:遺産分割協議前でも可能?3名共有における注意点
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* 他の共有者全員の同意を得て、Cに対して所有権全部を目的とする使用収益権(土地使用借権)を設定することは可能でしょうか?
* 持ち分所有権の状態でも、準共有にならないように、所有権以外の土地使用収益権をCに設定できますか?
* 一人の共有者が所有権以外の土地使用収益権を取得しても、その権利全体が消滅する可能性はありますか?
まず、重要な用語を整理しましょう。「共有」とは、複数の者が同一の財産(ここでは土地)を共同で所有する状態です。各共有者は、その共有持分に応じて権利を有します。今回のケースでは、A、B、Cがそれぞれ3分の1ずつ所有しています。「使用収益権」とは、所有者以外の者が、土地を使用したり、収益を得たりする権利のことです。代表的なものに「土地賃貸借権(借地権)」があります。所有権は、土地を自由に処分できる権利です。使用収益権は所有権の一部を限定的に利用する権利なので、所有権とは異なる概念です。
Aは、BとCの同意を得れば、Cに対して所有権全部を目的とする使用収益権(例えば土地使用借権)を設定できます。遺産分割協議が済んでいない状態でも、共有者全員の同意があれば、このような権利設定は可能です。これは、民法上の共有物の管理に関する規定に基づきます。
民法第250条以下に共有に関する規定があり、共有物の管理については、共有者全員の同意が必要とされています。今回のケースでは、使用収益権の設定は共有物の管理行為に該当するため、A、B、C全員の同意が必要です。同意が得られれば、法律上問題ありません。
「準共有」という概念と混同しないように注意が必要です。「準共有」とは、複数の者が同一の土地を所有するものの、各人の持分が明確に区画されていない状態です。今回のケースでは、各人の持分が3分の1ずつ明確に定まっているため、準共有ではありません。使用収益権の設定によって準共有になることもありません。また、使用収益権の設定は、所有権そのものを移転する行為ではありません。所有権はA、B、Cの3名に依然として共有状態のままです。
使用収益権の設定は、契約書を作成することが重要です。契約書には、使用期間、使用料、修繕義務など、権利義務を明確に記載する必要があります。また、公正証書(公証役場作成の契約書)を作成することで、法的効力が高まり、紛争発生時の証拠としても有効です。土地の登記簿に、使用収益権の設定が記録されるわけではありませんが、契約書は重要な証拠となります。
共有関係は複雑なため、トラブルを避けるためには、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。特に、共有者間で意見が対立する場合や、契約内容に複雑な事項が含まれる場合は、専門家の助言が必要不可欠です。専門家は、適切な契約書の作成や、紛争発生時の対応についてアドバイスしてくれます。
遺産分割協議前であっても、共有者全員の同意があれば、共有者の一人が他の共有者に対して所有権全部を目的とする使用収益権を設定できます。ただし、契約書をきちんと作成し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。共有関係や使用収益権に関する知識が不足している場合は、専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを未然に防ぎ、円滑な関係を維持できるでしょう。
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