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共有地の地役権取得時効:全員に効力?時効の絶対効と共有関係のからくり
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私は、共有地(複数の所有者が共同で所有する土地)に関する地役権(他人の土地を利用する権利)の問題で悩んでいます。共有地のうち、一部の土地に地役権を設定したいと考えています。
【悩み】
共有者の一人が、地役権の取得時効(一定期間、権利を行使することで権利を取得できる制度)を完成させたとします。この場合、その地役権は、他の共有者全員にも効力を及ぼすのでしょうか?時効取得が「絶対効」であることと関係があるのでしょうか?
まず、地役権と取得時効について簡単に説明します。地役権とは、自分の土地(**受益地**)のために、他人の土地(**負担地**)を利用する権利のことです。例えば、隣地の通路を通る権利などが挙げられます。取得時効とは、一定期間、権利を行使し続け、所有権や地役権などの権利を取得できる制度です。民法では、20年間の平穏かつ公然の占有(所有者から妨げられることなく、周囲に知られる形で土地を利用すること)が必要とされています。
質問にあるように、共有地の一部に地役権の取得時効が完成した場合、その効力が共有者全員に及ぶとは限りません。なぜなら、取得時効は「**相対効**(特定の人との間の権利関係にのみ効力を及ぼす)」であり、「**絶対効**(誰に対しても効力を及ぼす)」ではないからです。
この問題は、民法の規定に基づいて判断されます。民法では、取得時効によって取得された権利は、取得者と占有されていた土地の所有者との間のみに効力を生じます。共有地の場合、所有者は複数存在するため、時効によって地役権を取得した共有者と、その他の共有者との間でのみ、その地役権が効力を持ちます。他の共有者に対しては、改めて地役権の設定が必要となります。
時効取得が「絶対効」であると誤解されているケースが多く見られます。しかし、取得時効は、あくまでも占有者と所有者(共有地の場合は、その共有者)との間の権利関係にのみ効力を及ぼす相対効です。 これは、所有権の取得時効でも同様です。
例えば、A、B、Cの3人が共有する土地の一部に、Aが20年間通路として利用し、地役権の取得時効を完成させた場合、AはB、Cに対してその通路の利用を主張できます。しかし、Aは、共有者以外の第三者に対しては、その地役権を主張することはできません。 新たに地役権を設定する必要があるのです。
共有地の地役権取得時効は、複雑な法律問題を含む可能性があります。土地の境界、共有関係の状況、過去の利用状況など、様々な要素が判断に影響するため、専門家(弁護士や土地家屋調査士)に相談することをお勧めします。特に、紛争発生の可能性がある場合や、将来的なトラブルを避けるためには、専門家のアドバイスは不可欠です。
共有地における地役権取得時効は、時効取得が絶対効ではないため、取得した共有者と他の共有者との間のみに効力を持ちます。他の共有者に対しては、改めて地役権を設定する必要があります。複雑な問題ですので、専門家に相談することを強く推奨します。 共有関係や地役権に関するトラブルを未然に防ぐためにも、専門家の助言を得ることが重要です。
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