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共有地の売買契約:錯誤・詐欺による取り消しは認められるか?5年経過後の謝礼請求と口約束の法的効力

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謝礼の支払いを条件に売却に応じたため、謝礼が支払われなかったことは、錯誤(誤った認識に基づく契約)や詐欺にあたるのではないかと考えています。売却契約を取り消すことはできるのでしょうか?契約は口約束のみで、書面による契約書はありません。
このケースは、民法上の「錯誤無効」(誤った認識に基づく契約の無効)と「詐欺取消権」(詐欺によって成立した契約の取消権)が問題となります。
* **錯誤(ごうかく)**: 契約当事者の一方または両方が、重要な事項について誤った認識(錯誤)を抱いたまま契約を締結した場合、その契約は取り消すことができます。ただし、その錯誤が「自己の責めに帰すべきもの」であれば、取り消しは認められません。例えば、注意を怠ったために誤った認識を抱いた場合などが該当します。
* **詐欺(さぎ)**: 契約締結に際し、一方の当事者が相手方を欺く行為(虚偽の告知や重要な事実の隠蔽など)を行い、相手方がその欺瞞行為に誘引されて契約を締結した場合、相手方は契約を取り消すことができます。
* **契約の有効要件**: 契約が有効に成立するためには、意思表示(契約の意思)、意思能力(契約能力)、そして対象となるものが存在する必要があります。さらに、このケースのように口頭契約の場合は、契約内容が明確でなければなりません。
乙の主張は、謝礼の完全な支払いを前提に売却に応じたというものです。しかし、契約成立から5年もの時間が経過しており、その間に乙は謝礼の一部を受け取っています。この状況から、乙が謝礼の完全な支払いを契約の重要な条件として認識していたと判断することは困難です。
また、丙が「酷い仕打ちをした」と発言したとしても、それが詐欺に該当するとは限りません。詐欺は、契約締結時に故意に虚偽の事実を告げたり、重要な事実を隠蔽したりする行為を指します。丙の発言は、契約後の発言であり、契約締結時の行為とはみなされにくいでしょう。
さらに、契約が口約束のみであることも不利に働きます。口頭契約は証拠が乏しく、内容の立証が困難です。乙の主張を立証するには、丙との間のやり取りを具体的に証明する必要があります。
民法第95条(錯誤)、民法第96条(詐欺)が関係します。
「謝礼の支払いを条件に売却に応じた」という乙の主張は、契約の重要な条件であったと証明しなければなりません。単なる期待や希望ではなく、契約成立に不可欠な条件であったことを、証拠とともに示す必要があります。
乙は、丙との間のやり取りを記録したメモや証言など、証拠を収集する必要があります。もし、丙が謝礼の支払いを約束したという証拠があれば、裁判で主張できる可能性があります。しかし、5年もの時間が経過しているため、証拠集めは困難である可能性が高いです。
このケースは、法律の専門知識が必要な複雑な問題です。証拠の収集や法的判断に自信がない場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、状況を正確に判断し、適切なアドバイスや法的措置を提案してくれます。
乙の主張は、契約成立から5年経過していること、口約束のみであること、そして詐欺を立証する証拠が乏しいことから、認められない可能性が高いです。将来、同様のトラブルを避けるためには、契約内容を明確に文書化し、証拠をきちんと残しておくことが重要です。口約束は、後々トラブルになりやすいので、書面で契約を交わすことを強くお勧めします。 重要な契約は、必ず書面で残しましょう。
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