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  • 【建物合併登記】単独で申請できる?共有者全員の同意が必要?違いと手続きを徹底解説

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隣接する建物を一体利用しており、片方を建て替えるのを機に「合併登記」をしたいです。この登記は、一人で申請できる場合と共有者全員の同意が必要な場合があると聞きました。その違いは何なのでしょうか?

結論から言うと、その違いは「合併前の各建物の所有者(登記名義人)が、完全に一致しているかどうか」で決まります。

すべての建物の所有名義人とその持分割合が寸分たがわず同じであれば、代表者一人の申請(単独申請)が可能です。しかし、所有者が一人でも異なっていたり、持分割合が違っていたりする場合は、関係者全員での申請が必要になります。この記事では、なぜそのような違いが生まれるのか、具体的なケースを交えて詳しく解説していきます。

なぜ?合併登記の申請方法が変わる根本的な理由

この問題の核心を理解するには、登記の基本的な考え方を知ることが近道です。法律の世界では、登記を「事実に関する登記」と「権利に関する登記」の2つに分けて考えています。

登記の原則:「権利の変動」があるかないか

建物の合併登記は、本来「2つの建物が物理的に1つになった」という事実の変更を記録するための手続きです。ここに、所有権の移転などの権利の変更が伴うかどうかで、手続きの難易度が大きく変わります。

  • 権利の変動がない場合:合併する建物の所有者がもともと全く同じであれば、合併後も所有者は変わりません。これは単なる「事実の変更」なので、手続きは比較的簡単で、代表者一人が申請できます。
  • 権利の変動がある場合:一方、所有者が異なる建物を合併すると、新しい一つの建物を複数の所有者で「共有」する状態が新たに生まれます。これは、それぞれの所有者の権利が大きく変わる「権利の変動」にあたるため、利害関係者である所有者全員の意思確認、つまり全員での申請が必須となるのです。

【具体例で解説】単独申請OKなケースと全員申請が必要なケース

言葉だけでは分かりにくいので、具体的な事例で見ていきましょう。

ケース1:単独で申請できる場合(所有者が完全に一致)

事例A:Aさんが「甲」という建物を単独で所有し、隣の「乙」という建物もAさんが単独で所有している。

→この2つを合併しても、新しい建物の所有者はAさん一人です。権利関係に変化はないため、Aさん一人(単独)で申請できます。

事例B:AさんとBさんが「甲」の建物をそれぞれ1/2の共有持分で所有し、隣の「乙」の建物もAさんとBさんが全く同じ1/2の共有持分で所有している。

→合併後の建物も、AさんとBさんが1/2ずつ所有する形に変わりはありません。権利関係は同じなので、AさんまたはBさんのどちらか一人が代表して(単独で)申請できます。

ケース2:共有者全員での申請が必要な場合(所有者が少しでも違う)

事例C:Aさんが「甲」の建物を単独で所有し、隣の「乙」の建物をBさんが単独で所有している。

→この2つを合併すると、AさんとBさんは「新しい一つの建物を共有する」という、これまでになかった権利関係が生まれます。そのため、AさんとBさんの両名(全員)で申請する必要があります。

事例D(ご相談のケースに近い):父が「甲」の建物を単独で所有し、隣の「乙」の建物を父とあなた(子)が1/2ずつの共有持分で所有している。

→この2つを合併すると、父の単独所有権が消滅し、新しい建物全体の共有持分割合を改めて決めなければなりません。これは重大な権利の変動にあたるため、父とあなたの両名(全員)で申請する必要があります。

この記事の重要ポイント

  • ポイント1:建物合併登記を単独で申請できるかどうかの境目は、合併前の各建物の「所有者」と「持分割合」が完全に一致しているか否かです。
  • ポイント2:所有者や持分が完全に一致していれば、それは「権利の変動がない」と見なされ、代表者一人の申請が可能です。
  • ポイント3:所有者や持分が少しでも異なれば、「権利の変動がある」と見なされ、利害関係者である共有者全員の同意と共同申請が必須となります。

登記申請の前に:準備すべきことと注意点

ご自身のケースがどちらに該当するかを判断するには、まず法務局で各建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在の正確な所有者情報を確認することが第一歩です。

専門家への事前相談が不可欠

建物の合併登記は、物理的な現況を調査する「土地家屋調査士」と、権利関係の登記を専門とする「司法書士」が関わる専門的な手続きです。特に所有者が複数いる場合は、持分の計算や必要書類の準備が複雑になります。自己判断で進める前に、必ずこれらの専門家に相談しましょう。

所有権以外の権利(抵当権など)にも注意

もう一つ注意すべきは、建物に住宅ローンなどの「抵当権」が設定されている場合です。例えば、片方の建物にだけ抵当権が付いている状態で合併登記をするには、その抵当権を設定した金融機関の承諾が別途必要になることがあります。これも事前に確認すべき重要なポイントです。

まとめ:正確な権利の把握と専門家への相談が鍵

最後に、本記事の要点を整理します。

  • 申請方法の違い:建物の合併登記を単独申請できるか、全員申請が必要になるかは、合併前の所有者情報が完全に一致しているかどうかで決まります。
  • 判断基準:所有者や持分割合が少しでも異なれば、それは権利が大きく変動する手続きと見なされ、関係者全員の同意と申請が必要になります。
  • 事前の準備:まずは法務局で最新の登記情報を確認し、早い段階で土地家屋調査士や司法書士といった専門家に相談することが、スムーズな手続きへの一番の近道です。

ご覧いただいたように、建物の合併登記は、登記簿上の権利関係を正しく読み解くことから始まります。状況を誤認したまま手続きを進めようとすると、申請が却下されたり、余計な時間と費用がかかったりする可能性があります。

特に、共有関係や抵当権などが絡むケースは手続きが複雑化します。円滑かつ正確に登記を完了させるためにも、まずは専門家に相談し、ご自身の状況に合った最適な手続きの進め方についてアドバイスを受けることを強くお勧めします。

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