共有持分の変更登記申請：不動産登記法第65条の解説と実例

共有不動産と共有物分割禁止の定め

まず、共有不動産とは、複数の所有者が共同で所有する不動産のことです。例えば、マンションの一室を複数人で所有する場合などが該当します。共有物分割禁止の定めとは、共有不動産を分割して個別に所有することができないという契約上の制限（登記）のことです。これは、建物の構造上分割が困難な場合や、共有者の合意によって設定されることが多く、登記簿に記録されます。この定めがあると、共有者の一方が勝手に自分の持分を売却したり、分割を請求したりすることができません。

共有持分譲渡登記申請の手続き

不動産登記法第65条は、共有物分割禁止の定めのある不動産において、権利の変更（例えば、共有持分の譲渡）の登記をする際には、**すべての共有者**が共同で申請しなければならないと規定しています。つまり、あなたの持分を譲渡する場合、他の共有者全員の同意を得て、全員で登記申請を行う必要があるのです。

関係する法律：不動産登記法

このケースでは、不動産登記法が関係します。特に、第65条は共有物分割禁止の定めに関する登記申請の要件を定めており、今回の手続きの根拠となります。この法律は、不動産の所有権を明確にし、取引の安全性を確保するために制定されています。

誤解されがちなポイント：単独での申請は不可

共有物分割禁止の定めがある場合、自分の持分だけを譲渡しようと、単独で登記申請を行うことはできません。必ず、他の共有者全員の同意を得て、共同で申請する必要があります。これは、共有関係を維持するため、そして、他の共有者の権利を保護するためです。

実務的なアドバイスと具体例

例えば、Aさん、Bさん、Cさんの3人が1/3ずつ共有しているマンションがあるとします。Aさんが自分の持分をDさんに譲渡したい場合、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの4名全員が、譲渡契約書を作成し、登記申請を行う必要があります。Bさん、Cさんが譲渡に同意しない限り、登記はできません。

専門家に相談すべき場合

共有不動産の登記手続きは、法律の知識や手続きに精通している必要があり、複雑な場合があります。 共有者の間で意見が一致しない場合や、登記手続きに不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、適切な手続きをアドバイスし、スムーズな登記申請をサポートしてくれます。

まとめ：共有物分割禁止の定めと共同申請の重要性

共有物分割禁止の定めのある不動産では、権利の変更登記は、すべての共有者が共同で行うことが法律で義務付けられています。単独での申請は認められないため、事前に他の共有者との合意形成が不可欠です。 手続きに不安がある場合は、専門家の力を借りることを検討しましょう。 この手続きを正しく行うことで、不動産取引におけるトラブルを回避し、安全な権利移転を実現できます。