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共有物不分割特約の実際:不動産売買契約における実務と注意点

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共有物不分割特約がどのような場面で利用されるのか、具体的な例を知りたいです。また、この特約を結ぶメリット・デメリットについても知りたいです。
共有物不分割特約とは、不動産(土地や建物など)を複数人で共有する際に、将来、その共有状態を簡単に解消しないように定めた契約条項です。 簡単に言うと、「将来、誰かが『自分の持分だけ売ってくれ』とか『分割してくれ』と言ってきたとしても、それを拒否できる」という約束を、あらかじめ契約書に書き込んでおくものです。民法では、共有者はいつでも共有物を分割できます(共有物分割請求権)。しかし、この特約によって、その権利を制限することになります。
共有物不分割特約は、主に以下の様な場合に利用されます。
共有物不分割特約は、民法の共有に関する規定(第247条以下)と関連します。民法は共有者の分割請求権を認めていますが、この特約によってその権利行使を制限することができます。ただし、特約の内容によっては、公序良俗(社会秩序や善良な風俗)に反するとして無効とされる可能性もあります。
共有物不分割特約は、共有状態を永久に維持することを意味するものではありません。 あくまで、共有者の分割請求権を制限するものであり、どうしても分割が必要になった場合、裁判を通じて分割を請求することは可能です。 ただし、特約の内容によっては、分割請求が認められない、もしくは分割が困難になる可能性もあります。
例えば、AさんとBさんが共同で土地を相続し、将来、それぞれの子供に相続させる予定の場合、共有物不分割特約を結ぶことで、相続開始後すぐに土地を分割する必要がなくなり、相続税の納税猶予などの活用も検討しやすくなります。 また、特約に期限を設けることで、将来の状況変化に対応することも可能です。例えば、「10年間は分割しない」といった期限付きの特約を結ぶこともできます。
共有物不分割特約は、法的拘束力を持つ重要な契約条項です。 特約の内容によっては、将来、トラブルに発展する可能性もあります。 契約書の作成や内容の検討は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することをお勧めします。 専門家は、個々の状況に合わせて適切な特約内容を提案し、トラブルを未然に防ぐことができます。
共有物不分割特約は、不動産の共有状態を維持したい場合に有効な契約条項です。 しかし、その法的効果やリスクを十分に理解した上で、専門家の助言を得ながら慎重に検討することが重要です。 特に、特約の期間や解除条件などは、将来の状況を考慮して明確に定める必要があります。 安易な契約はトラブルのもととなるため、専門家の力を借りながら、将来を見据えた契約を締結しましょう。
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