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内部統制の運用評価手続の具体例を教えて!監査論の疑問を解決

質問の概要

【背景】

  • ある著書で、監査人が内部統制の運用評価手続を実施するだけで、監査要点に係る重要な虚偽表示のリスクに対応できる場合があると書かれていました。
  • しかし、その具体的な例が理解できず、実務的なイメージがわきません。

【悩み】

  • 内部統制の運用評価手続の具体的な例を知りたい。
  • 売上や収益などの勘定科目を例に挙げて説明してほしい。

内部統制の運用評価手続は、売上計上プロセスで不正リスクに対応し、監査の効率化に貢献します。

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

まず、内部統制と監査について簡単に説明しましょう。内部統制(ないぶとうせい)とは、企業が目標を達成するために、組織内部で整備・運用される仕組みのことです。具体的には、不正や誤りを防ぎ、経営資源を有効活用するためのルールや手順を指します。一方、監査(かんさ)とは、企業の財務諸表が正しく作成されているかを、独立した立場の第三者(監査人)がチェックすることです。

内部統制には、大きく分けて「構築」と「運用」の2つの側面があります。「構築」とは、内部統制の仕組みを設計すること。「運用」とは、その仕組みが実際に機能しているかを評価することです。今回の質問にある「運用評価手続」とは、監査人が内部統制の運用状況を評価するための手続きを指します。監査人は、この手続を通じて、企業の内部統制が有効に機能しているか、つまり、不正や誤りを防ぐためにきちんと働いているかを判断します。

ここで重要なのは、「重要な虚偽表示のリスク」という言葉です。これは、財務諸表に誤り(虚偽表示)が生じる可能性のうち、特に重要性の高いものを指します。監査人は、このリスクを評価し、それに対応した監査手続を実施する必要があります。

今回のケースへの直接的な回答

質問にある「監査人は、内部統制の運用評価手続を実施するだけで、監査要点に係る重要な虚偽表示のリスクに効果的に対応することが可能な場合がある」という記述は、内部統制が非常に有効に機能している状況を想定しています。具体例として、売上計上プロセスにおける内部統制を考えてみましょう。

例えば、企業が売上を計上する際に、

  • 注文書
  • 出荷指示書
  • 納品書
  • 請求書

といった複数の書類を照合し、承認を得るという手順が確立されているとします。もし、この手順がきちんと守られていれば、不正な売上計上や、誤った金額での計上を防ぐことができます。監査人は、この手順が実際に運用されているかを確認するために、運用評価手続を実施します。

具体的には、

  • 書類のサンプルを抽出して照合する(例えば、ランダムに選んだ売上伝票と、対応する注文書や出荷指示書などを突き合わせる)。
  • 担当者へのインタビューを実施する(売上計上のプロセスについて、担当者に質問する)。
  • システムのログを確認する(売上計上の際に、誰が、いつ、どのような操作をしたのかを確認する)。

といった手続を行います。これらの手続を通じて、内部統制が有効に機能していると判断できれば、監査人は、他の監査手続(例えば、売上高の分析や、取引先の確認など)を省略したり、手続の規模を縮小したりすることができます。これにより、監査の効率化を図ることができるのです。

関係する法律や制度がある場合は明記

内部統制に関連する主な法律や制度として、金融商品取引法(金商法)と、その中で定められている「内部統制報告制度」があります。この制度は、上場企業などが、自社の内部統制の有効性について評価し、その結果を「内部統制報告書」として開示することを義務付けています。監査人は、この内部統制報告書の信頼性を確保するために、内部統制監査を行います。

また、会社法も、取締役に対して内部統制システムの構築を義務付けています。これらの法律や制度は、企業の内部統制の重要性を高め、監査の役割を明確にしています。

誤解されがちなポイントの整理

内部統制の運用評価手続に関する誤解として、以下の点が挙げられます。

  • 内部統制が完璧であれば、不正や誤りは絶対に起こらない?

    いいえ、内部統制は万能ではありません。内部統制は、不正や誤りを「防ぐ」ためのものであり、完全に排除できるわけではありません。また、内部統制は、企業の規模や業種、リスクの状況などに応じて、適切なものが設計・運用される必要があります。
  • 運用評価手続だけで、すべてのリスクに対応できる?

    いいえ、運用評価手続は、監査手続の一部です。監査人は、リスク評価の結果に基づいて、さまざまな監査手続を組み合わせて実施します。運用評価手続だけで、すべてのリスクに対応できるわけではありません。
  • 内部統制が強化されれば、監査の負担は増える?

    必ずしもそうではありません。内部統制が有効に機能していれば、監査人は、他の監査手続を省略したり、手続の規模を縮小したりすることができます。これにより、監査の負担が軽減されることもあります。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

実務的なアドバイスとして、監査人は、内部統制の運用評価手続を実施する際に、以下の点を意識することが重要です。

  • リスク評価の重要性

    監査人は、まず、企業の事業内容やリスクを理解し、重要な虚偽表示のリスクを評価する必要があります。
  • 手続の設計

    リスク評価の結果に基づいて、適切な運用評価手続を設計する必要があります。
  • 証拠の収集

    十分な監査証拠を収集し、内部統制の有効性について判断する必要があります。
  • 記録の作成

    実施した手続や、収集した証拠、判断の結果などを、適切に記録する必要があります。

具体例として、売上計上プロセスにおける運用評価手続について、もう少し詳しく説明します。

例えば、売上の計上基準(収益認識基準)が適切に適用されているかを確認するために、監査人は、

  • サンプル抽出:売上伝票をランダムに抽出し、計上基準に従って正しく計上されているかを確認します。例えば、納品が完了しているか、顧客への請求が適切に行われているかなどを確認します。
  • 文書照合:注文書、出荷指示書、納品書、請求書などの関連書類を照合し、売上金額や計上時期が一致しているかを確認します。
  • 担当者への質問:売上計上のプロセスについて、担当者に質問し、その手順が正しく理解され、実行されているかを確認します。例えば、「売上を計上する際に、どのような書類を確認しますか?」「売上計上の承認者は誰ですか?」といった質問をします。
  • システムの確認:売上計上システムのログを確認し、不正な操作や誤った入力がないかを確認します。

といった手続を実施します。これらの手続を通じて、内部統制が有効に機能していると判断できれば、監査人は、売上高の分析や、取引先の確認などの他の監査手続を省略したり、手続の規模を縮小したりすることができます。

専門家に相談すべき場合とその理由

内部統制や監査に関する問題は、専門的な知識が必要となる場合があります。以下のような場合は、専門家(公認会計士や内部監査人など)に相談することをお勧めします。

  • 内部統制の構築や改善について

    自社の内部統制が、十分な効果を発揮しているかどうかわからない場合、専門家に相談して、現状の評価や改善策についてアドバイスを受けることができます。
  • 内部統制監査について

    内部統制監査の準備や、監査結果への対応について、専門家のサポートを受けることができます。
  • 不正や不祥事が発生した場合

    不正や不祥事が発生した場合、専門家に相談して、原因の究明や再発防止策についてアドバイスを受けることができます。

専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、適切なアドバイスを提供し、企業の内部統制の強化を支援します。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

今回の重要なポイントをまとめます。

  • 内部統制の運用評価手続は、監査人が企業の内部統制が有効に機能しているかを評価するための重要な手続です。
  • 内部統制が有効に機能していれば、監査人は、他の監査手続を省略したり、手続の規模を縮小したりすることができます。これにより、監査の効率化を図ることができます。
  • 売上計上プロセスにおける内部統制の例として、書類の照合や、担当者へのインタビュー、システムのログ確認などがあります。
  • 内部統制に関する問題は、専門家(公認会計士や内部監査人など)に相談することで、適切なアドバイスを受けることができます。

内部統制は、企業の健全な経営を支える重要な仕組みです。内部統制の重要性を理解し、その構築・運用・評価に積極的に取り組むことが、企業の持続的な成長につながります。

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