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区分建物における表題登記申請義務:共有規約廃止後の所有権移転と法解釈の複雑さ
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共有規約を廃止した後の建物で、表題登記がされていないものを取得した場合、新所有者は表題登記の申請義務を負うのかどうか、その根拠を明確に知りたいです。特に、区分建物である場合の判断基準が分からず困っています。
不動産登記とは、不動産(土地や建物)の所有者や権利関係を公的に記録する制度です(登記簿に記録)。 これは、不動産取引の安全性を確保し、権利の明確化を図るために非常に重要な制度です。 その登記の種類の一つに「表題登記」があります。表題登記は、建物の所在地、構造、面積などの物理的な情報を登記簿に記録するものです。 建物が新しく建築された場合や、増改築などによって建物の状況に変更があった場合に必要になります。
質問者様のケースでは、共有規約を廃止した後の建物について、表題登記がされていない状態での所有権取得を検討されています。 結論から言うと、その建物が**区分建物**であれば、新しい所有者は表題登記の申請義務を負いません。不動産登記法第47条第1項は、区分建物については、所有権の移転があっても、新しい所有者が表題登記を申請する義務はないと明確に規定しています。
* **不動産登記法第47条第1項**: 区分建物(マンションなど、複数の所有者が共有する建物)の表題については、所有権の移転があっても、新しい所有者には登記の申請義務がないと規定しています。
* **不動産登記法第58条第6項**: 共有部分の旨の登記がある建物で、共有規約が廃止された場合、1ヶ月以内に表題登記を申請する義務があると規定しています。これは、共有関係が解消されたことで、建物の状況を明確にする必要があるためです。
* **不動産登記法第58条第8項**: これは、第6項と関連して、登記すべき者がその義務を怠った場合、他の権利者などが申請できることを規定しています。 質問者様の誤解は、この条項を、新たな所有者にも申請義務を課す根拠と解釈した点にあります。
質問者様の誤解は、第58条8項を、新たな所有者にも表題登記申請義務を課す根拠と解釈した点にあります。第58条8項は、申請義務を負うべき者が申請を怠った場合に、他の関係者が申請できることを規定しているだけで、新たな所有者にも申請義務を課すものではありません。 特に、区分建物においては、第47条第1項が優先されます。
例えば、Aさんが共有部分の旨の登記のある建物の所有権を有しており、共有規約を廃止したとします。この場合、Aさんは1ヶ月以内に表題登記を申請する義務があります。しかし、その後BさんがAさんからこの建物を取得した場合、建物が区分建物であれば、Bさんは表題登記を申請する義務はありません。 仮に、建物が区分建物ではなく、一棟の建物であれば、第58条第6項に基づき、Bさんも表題登記の申請義務を負う可能性があります。
不動産登記は複雑な法律知識を必要とするため、ご自身で判断することに不安がある場合、または、建物が区分建物であるかどうかの判断に迷う場合は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、個々の状況を正確に判断し、適切なアドバイスをしてくれます。 特に、古い建物や権利関係が複雑な場合は、専門家の助言が不可欠です。
区分建物の所有権を取得した場合、新しい所有者は表題登記の申請義務を負いません(不動産登記法第47条第1項)。 共有規約廃止後の表題登記義務は、廃止した者自身に課せられ、新たな所有者には必ずしも及ばない点に注意が必要です。 不動産登記に関する疑問点がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。 特に、第58条8項は申請義務を負う者の怠慢に対する救済規定であって、新たな所有者への義務を課すものではないことを理解することが重要です。
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