減損判定って何? 基礎知識を分かりやすく解説
減損判定とは、企業の持っている固定資産(建物や機械など)の価値が、何らかの理由で大きく下がっていないかをチェックすることです。固定資産の価値が下がった場合、その分の損失を会計処理する必要があります。これが減損処理です。
例えば、最新の技術が登場し、古い機械の価値が下がったり、建物の老朽化が進んで価値が下がったりする場合などが該当します。
減損判定は、企業の財務状況を正しく示すために非常に重要なプロセスです。
今回のケースへの直接的な回答
ご質問のケースでは、土地の売却益から建物の解体費用を差し引いた結果、回収可能価額がマイナスになるという状況です。
会計基準では、回収可能価額がマイナスになる場合、そのマイナスの金額をそのまま計上することは認められていません。したがって、この場合は回収可能価額を「0」として計算します。
これは、減損会計の基本的な考え方に基づいています。減損処理は、資産の価値が「ある」場合に、その価値を帳簿価額に反映させるものです。マイナスというのは、資産としての価値がない、あるいは債務を抱えている状態と解釈できるため、減損処理の対象とはならないのです。
関係する法律や制度:減損会計の根拠
減損会計は、主に「企業会計基準」に基づいて行われます。具体的な基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が定めています。
減損会計に関する主な会計基準は以下の通りです。
- 企業会計基準第8号「固定資産の減損に係る会計基準」
- 企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」
これらの基準によって、減損の定義、減損損失の測定方法、表示方法などが詳細に定められています。
これらの会計基準は、企業の財務諸表の信頼性を高め、投資家や債権者が企業の財政状態を正しく理解できるようにすることを目的としています。
減損判定で誤解されがちなポイント
減損判定では、いくつかの誤解が生じやすいポイントがあります。
1. 将来キャッシュフローの見積もり方:
将来キャッシュフローを見積もる際には、客観的で合理的な根拠に基づかなければなりません。楽観的な予測や、根拠のない願望は避けるべきです。また、見積もりの前提条件を明確にすることが重要です。
2. 回収可能価額の計算:
回収可能価額は、資産の「使用価値」と「正味売却価額」のいずれか高い方で計算されます。使用価値は、その資産から将来得られるキャッシュフローの現在価値を意味し、正味売却価額は、資産を売却した場合に得られる金額から売却にかかる費用を差し引いたものです。
3. 減損損失の計上:
減損損失は、すべての固定資産に対して一律に計上されるわけではありません。減損の兆候が見られる資産について、個別に判定が行われます。減損損失を計上すると、企業の利益が減少し、税金にも影響を与える可能性があります。
実務的なアドバイス:具体例で理解を深める
具体例を挙げて、今回のケースをさらに詳しく見ていきましょう。
例:
- 帳簿価額:1億円の建物と土地
- 将来キャッシュフローの見積もり:
- 営業活動によるキャッシュフロー(今後5年間):5,000万円
- 20年後の土地売却による収入:8,000万円
- 20年後の建物の解体費用:1億円
この場合、土地売却による収入から解体費用を差し引くと、回収額はマイナス2,000万円となります。
回収可能価額の計算
- 使用価値:5,000万円(営業CFの合計)
- 正味売却価額:0円(8,000万円 – 1億円 = -2,000万円 → 0円)
回収可能価額は、5,000万円となります。帳簿価額1億円との差額、5,000万円が減損損失として計上されます。
この例からわかるように、土地売却によるマイナスの金額は、回収可能価額の計算には影響しません。あくまで「0」として扱われます。
専門家に相談すべき場合とその理由
減損判定は、専門的な知識と経験を要する複雑なプロセスです。以下のような場合は、専門家への相談を検討することをお勧めします。
- 減損の兆候が見られる場合:固定資産の価値が著しく低下している可能性がある場合は、専門家の意見を聞くことで、適切な減損処理を行うことができます。
- 将来キャッシュフローの見積もりが難しい場合:将来のキャッシュフローの見積もりは、企業の業績や経済状況によって大きく変動します。専門家は、過去のデータや専門的な知識に基づき、より正確な見積もりを行うことができます。
- 会計基準の解釈が難しい場合:減損会計に関する会計基準は、複雑で解釈が難しい場合があります。専門家は、最新の会計基準を理解しており、適切なアドバイスを提供できます。
- 税務上の影響を考慮する必要がある場合:減損処理は、税務上の影響も生じます。専門家は、税務上の影響を考慮した上で、最適な会計処理を提案できます。
専門家には、公認会計士や税理士などがいます。企業の規模や状況に応じて、適切な専門家を選びましょう。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回の質問の重要ポイントをまとめます。
- 回収可能価額がマイナスの場合: 会計基準に基づき、マイナス分を考慮せず、回収可能価額は「0」として計算します。
- 減損会計の基本: 減損会計は、固定資産の価値が低下した場合に、その損失を適切に会計処理するためのものです。
- 専門家への相談: 減損判定は複雑なため、必要に応じて専門家(公認会計士や税理士)に相談しましょう。
減損判定は、企業の財務状況を正しく示すために不可欠なプロセスです。正しい知識と適切な対応が、企業の健全な経営に繋がります。

