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土地の売買で会社の財務体質改善?会計のプロが教える落とし穴と注意点

【背景】

  • 経営指南書で、会社が持つ土地を社長個人の会社に売却し、そこから借りることでP/L(損益計算書)を改善する方法が紹介されていた。
  • これにより、資産だった土地が経費になり、借入金返済で財務体質が改善し、銀行の格付けが上がるとのこと。
  • しかし、個人会社での新たな借入には不安を感じ、この方法の落とし穴を知りたい。

【悩み】

  • 土地売却と賃借によるP/L改善策の有効性、リスク、注意点を知りたい。
  • 個人会社での借入が、会社全体にどのような影響を与えるのか理解したい。
土地売買と賃借はP/L改善の手段になり得るが、税務リスクや資金繰りの悪化に注意が必要です。専門家への相談も検討しましょう。

土地売買と賃借のP/Lへの影響:基礎知識

会社が所有する土地を社長個人の会社に売却し、そこから借りるという話、なんだか複雑ですよね。まず、この話の前提となる、会計とP/L(損益計算書)について簡単に説明しましょう。

P/L(損益計算書)とは、会社の1年間の成績表のようなものです。会社の儲け(利益)や損失がいくらだったのかを示します。売上から費用を差し引いて利益を計算します。

資産とは、会社が持っているお金や、将来お金になるもの(土地、建物、現金など)のことです。一方、負債とは、会社が将来支払わなければならないお金(借入金など)のことです。

今回の話では、土地を売却することで、会社の資産である土地が減り、代わりに現金が増える(あるいは社長の会社への貸付金という形で資産が増える)ことになります。そして、土地を借りることで、賃料という費用が発生し、P/Lに影響を与えることになります。

今回のケースへの直接的な回答

経営指南書で言われていることは、一見すると理にかなっているように見えるかもしれません。土地を売却して賃料を支払うことで、確かにP/L上の費用が増え、利益が減る可能性があります。しかし、それだけで財務体質が改善するとは限りません。重要なのは、なぜこのようなことをするのか、その目的を明確にすることです。

例えば、銀行からの融資を受けやすくするために、P/Lを操作して見せかけの財務改善を行うことは、場合によっては有効かもしれません。しかし、根本的な問題が解決するわけではありませんし、後述するような様々なリスクも伴います。

今回のケースでは、社長個人の会社への売却と賃借という点がポイントです。社長個人の会社との取引は、税務上の問題や、会社法上のリスクを伴う可能性があります。また、個人会社への借入は、会社の資金繰りを悪化させるリスクも孕んでいます。

関係する法律や制度:税金と会社法

このスキームを実行する上で、関係してくる法律や制度について解説します。

まず、税金の問題です。土地を売却した際には、売却益に対して法人税が課税されます。また、社長個人の会社が土地を売却した場合も、所得税や住民税が発生する可能性があります。税金対策として行う場合でも、税務署から指摘されるリスクがないか、専門家とよく相談する必要があります。

次に、会社法の問題です。社長個人の会社との取引は、利益相反取引(会社の利益と社長個人の利益が対立する取引)とみなされる可能性があります。会社法では、このような取引を行う際には、適切な手続き(取締役会の承認など)が必要とされています。手続きを怠ると、会社法違反として、損害賠償責任を負う可能性もあります。

さらに、金融機関の評価も考慮する必要があります。銀行は、会社の財務状況だけでなく、取引の合理性やリスクも評価します。今回のスキームが、銀行から見て合理的なものでなければ、むしろ評価を下げてしまう可能性もあります。

誤解されがちなポイント:P/Lのトリック

このスキームで誤解されがちなポイントを整理しましょう。

まず、P/Lを操作しても、会社の資金繰りが改善するわけではないということです。確かに、P/L上の利益を減らすことで、税金を減らせる可能性はあります。しかし、それはあくまで一時的なものであり、根本的な問題解決にはなりません。賃料の支払いによって、会社のキャッシュは減少し、資金繰りが悪化する可能性もあります。

次に、財務体質は、P/Lだけで判断できるものではないということです。銀行は、P/Lだけでなく、B/S(貸借対照表)やキャッシュフロー計算書、さらには会社の事業内容や将来性など、様々な要素を総合的に評価します。P/Lを操作しただけでは、銀行の格付けが必ずしも上がるとは限りません。

最後に、税務上のリスクです。税務署は、税金逃れを目的とした取引に対して厳しく目を光らせています。今回のスキームが、税務上のリスクを伴うものであれば、後々、追徴課税や加算税を課せられる可能性があります。

実務的なアドバイスと具体例:慎重な検討を

もし、今回のスキームを実行するのであれば、以下の点に注意してください。

  • 税理士に相談する:税務上のリスクがないか、事前に専門家(税理士)に相談し、アドバイスを受けることが重要です。
  • 弁護士に相談する:会社法上の問題がないか、弁護士に相談し、適切な手続きを踏む必要があります。
  • 銀行に相談する:銀行の評価がどうなるのか、事前に銀行に相談し、理解を得ておくことが重要です。
  • 資金繰りをシミュレーションする:賃料の支払いによって、会社の資金繰りが悪化しないか、詳細なシミュレーションを行い、資金計画を立てる必要があります。
  • 目的を明確にする:なぜこのスキームを実行するのか、その目的を明確にし、本当に必要なのかを慎重に検討する必要があります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

ケース1:節税対策

会社が多額の利益を上げている場合、節税対策として、土地を売却し、賃料を支払うというスキームが検討されることがあります。しかし、税務上のリスクや、資金繰りの悪化に注意が必要です。

ケース2:銀行からの融資

銀行からの融資を受けやすくするために、P/Lを操作するというケースも考えられます。しかし、銀行は、P/Lだけでなく、B/Sやキャッシュフロー計算書、会社の事業内容など、様々な要素を総合的に評価します。P/Lを操作しただけでは、銀行の格付けが必ずしも上がるとは限りません。

どちらのケースでも、専門家への相談と、慎重な検討が不可欠です。

専門家に相談すべき場合とその理由

今回のスキームを実行するにあたっては、必ず専門家に相談することをおすすめします。具体的には、以下の専門家への相談を検討しましょう。

  • 税理士:税務上のリスクがないか、税務上のメリット・デメリットを評価してもらいましょう。
  • 弁護士:会社法上の問題がないか、利益相反取引に該当しないか、適切な手続きについてアドバイスを受けましょう。
  • 公認会計士:会計上の問題点や、財務諸表への影響について、専門的なアドバイスを受けましょう。
  • ファイナンシャルプランナー:資金繰りや、将来の資金計画について、相談してみましょう。

専門家は、それぞれの専門知識に基づいて、リスクを評価し、適切なアドバイスをしてくれます。また、第三者の視点から、客観的な意見を聞くことができます。

まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回の質問に対する重要なポイントをまとめます。

  • 土地の売買と賃借は、P/Lに影響を与える可能性がありますが、それだけで財務体質が改善するとは限りません。
  • 税務上のリスク、会社法上のリスク、資金繰りの悪化など、様々なリスクを伴います。
  • 専門家(税理士、弁護士、公認会計士など)に相談し、リスクを評価し、適切なアドバイスを受けることが重要です。
  • 目的を明確にし、本当に必要なのかを慎重に検討する必要があります。

安易に経営指南書の情報を鵜呑みにせず、専門家とよく相談し、慎重な判断を心がけましょう。

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