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夫婦間のマンション共有と無償寄託契約:別居時のローン負担と法的解釈

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婚姻費用に住宅費が含まれているにも関わらず、妻がローンを負担していない状況で、夫の持分を妻が単独で占有・使用している状態を「無償寄託」と判断することに違和感を感じています。 夫のローン負担分を報酬と見なせば有償寄託、あるいは不当利得にあたるのか、それとも、単に寄託物(マンションの夫の持分)の果実(ローン負担分)を夫に返せば済むのか、判断に迷っています。
「寄託(きたく)」とは、ある人が他人に物を預け、預かった人がそれを保管し、後に返還する契約です(民法614条)。「無償寄託」は、預けた側が預かる側に報酬を支払わない寄託契約を指します。 重要なのは、寄託契約は当事者間の合意に基づいて成立する点です。 暗黙の了解(当事者間の意思表示が明示的でない場合でも、状況から見て双方が合意したものと認められる場合)でも成立は可能です。しかし、合意の有無が争われた場合、客観的な証拠が必要になります。
裁判例で「暗黙の無償寄託契約」とされた事例があるとのことですが、その事例の具体的な状況が不明なため、今回のケースにそのまま当てはまるかどうかは断言できません。しかし、婚姻費用に住宅費が含まれ、妻がローンを一切負担していない状況で、夫のマンション持分を妻が単独で占有・使用している点を考慮すると、単純に「無償寄託」と判断するのは難しいでしょう。 妻は、夫のローン負担分相当の利益を得ていると解釈できるからです。
* **民法第614条(寄託):** 寄託契約の基本規定です。
* **民法第709条(不当利得):** 不当に利益を得た者は、その利益を返還する義務を負います。今回のケースでは、妻が夫のローン負担分を不当に利益を得ていると主張できる可能性があります。
* **民法第714条(婚姻費用):** 婚姻費用には、住居費が含まれます。
「暗黙の了解」で契約が成立するからといって、容易に無償寄託と判断すべきではありません。 暗黙の了解を主張するには、客観的に見て双方が合意していたと認められるような状況証拠が必要です。 今回のケースでは、妻がローン負担をしていない点が、無償寄託契約成立の大きな障害になる可能性があります。
仮に、夫が妻にマンションの持分を無償で貸し与える契約(使用貸借)を結んでいたとしたら、状況は変わってきます。使用貸借は、無償で物を貸し与える契約であり、寄託とは性質が異なります。しかし、今回のケースでは、そのような契約があったとは明示されていません。
今回のケースは、法律的な解釈が複雑で、専門家の助言が必要な場合があります。特に、裁判例を参考に判断する場合、事例の具体的な状況を正確に理解することが重要です。 弁護士や司法書士に相談することで、客観的な見解を得ることができ、適切な解決策を見つけることができます。
夫婦間のマンション共有と別居後のローン負担に関する問題は、単純な無償寄託契約で片付けられない可能性が高いです。婚姻費用、不当利得、そして寄託契約の成立要件を総合的に検討する必要があります。 専門家の意見を聞き、状況に合わせた適切な解決策を見つけることが重要です。 曖昧なまま放置せず、専門家に相談することを強くお勧めします。
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