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少数持分共有者が共有物を独占使用!民法改正による明渡し請求への影響とは?

【背景】
* 共同相続で不動産を共有することになりました。
* 私の持分は過半数に満たないのですが、他の共有者は誰も住んでおらず、私だけがその不動産に住んでいます。
* 最近、他の共有者から、不動産の明け渡しを求められました。
* 民法が改正されたと聞き、その影響が気になっています。

【悩み】
民法改正によって、少数持分共有者である私が、共有不動産に住み続けることは難しくなったのでしょうか? 他の共有者から明け渡しを求められた場合、私はどうすれば良いのでしょうか?

民法改正後も、過半数持分者の明渡し請求には理由が必要。

回答と解説

共有物と共有者の権利

まず、共有物(この場合は不動産)とは、複数の人が共同で所有する財産のことです。共有者には、その持分に応じて共有物を自由に使用・収益する権利があります(民法246条)。しかし、他の共有者の権利を著しく害するような使い方はできません。

今回のケースへの直接的な回答

民法改正(2020年改正)以前も、少数持分共有者が共有物を独占使用している場合、過半数持分者がただ単に「持分が多いから明け渡せ」と主張するだけでは、明け渡し請求は認められませんでした。最高裁判例もそれを示しています。

民法改正によって、共有物の管理に関する事項の決定において、過半数決で決定できるようになりましたが、これは共有物の使用に関する権利そのものを奪うものではありません。 つまり、改正後も、過半数持分者が少数持分共有者に対して共有物の明け渡しを請求するには、正当な理由が必要となります。単に「持分が多いから」という理由だけでは不十分です。

関係する法律と制度

関係する法律は民法です。特に、民法第246条(共有物の使用収益)と第252条(共有物の管理)が重要です。改正された民法第252条1項は、共有物の管理に関する事項の決定方法について、過半数決を認めていますが、共有物の使用に関する権利そのものを変更するものではありません。

誤解されがちなポイントの整理

「民法改正で、過半数持分者が自由に共有物を管理できるようになった」と誤解されているケースがあります。改正は、管理方法の決定を容易にしただけで、共有者個々の使用収益権を奪うものではありません。 つまり、過半数持分者が「共有物の使用を禁止する」といった決定をしても、それが少数持分共有者の使用収益権を侵害する場合は、無効となる可能性があります。

実務的なアドバイスと具体例の紹介

例えば、過半数持分者が共有不動産を賃貸したい場合、少数持分共有者の同意を得る必要があります。一方、共有不動産の修繕が必要な場合、過半数持分者の決定で修繕を行うことができます(ただし、少数持分共有者の権利を著しく侵害するような修繕でない場合)。

今回のケースでは、他の共有者が明け渡しを求めるには、具体的な理由(例えば、共有不動産を売却したい、自分自身も住みたいなど)を示し、裁判でその理由を立証する必要があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

共有不動産に関する問題は、法律的な知識が必要となる複雑なケースが多いです。 特に、裁判沙汰になった場合、専門家のアドバイスなしに解決することは困難です。 明け渡し請求を受けた場合、または、共有者間で合意ができない場合は、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。

まとめ

民法改正は共有物の管理方法の決定を容易にしましたが、共有者個々の使用収益権を直接変更するものではありません。少数持分共有者が共有物を独占使用している場合でも、過半数持分者が明け渡し請求を行うには、正当な理由が必要です。 不明な点やトラブルが発生した場合は、専門家への相談を検討しましょう。 共有者間の良好なコミュニケーションと合意形成が、問題解決の第一歩となります。

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