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建物共有者の持分買収:全面価格賠償額の算出方法と注意点

【背景】
マンションの一室を所有しているのですが、他の共有者の方々と揉めてしまい、円満な解決のため、私の持分以外の全ての共有者の持分を買収したいと考えています。全面価格賠償(建物の価格全体を買い取る)で買収することを検討していますが、おおよその金額を計算する方法が分からず困っています。

【悩み】
共有者の方々に支払うべき金額をどのように計算すれば良いのか、固定資産税評価額を使うことはできるのか、他に考慮すべき点はあるのかを知りたいです。

固定資産税評価額×共有持分比率+諸費用が目安です。

1. 建物共有と全面価格賠償の基礎知識

建物共有とは、複数の所有者が一つの建物を共有する状態のことです(例:マンションの区分所有)。 各所有者は、建物の特定の部分(区分所有の場合、各部屋)と、建物の全体に対する一定の持分を所有します。

全面価格賠償とは、建物の価格全体を買い取ることで、共有持分を解消する方法です。 買収する側は、共有者全員の持分を買い取る必要があります。 これは、裁判などを通じて強制的に行うことも可能です。

2. 全面価格賠償額の算出方法

全面価格賠償額の算出は、単純に固定資産税評価額だけを基にすることはできません。 固定資産税評価額は、税金の算定のための評価額であり、実際の市場価格とは異なる可能性があります。

より正確な金額を知るためには、以下の要素を考慮する必要があります。

* **不動産鑑定評価額 (Appraisal Value):** 不動産鑑定士(不動産の専門家)に依頼し、建物の市場価格を評価してもらう方法です。これが最も正確な価格となります。
* **類似物件の取引価格:** 同じ地域、規模、築年数の類似物件の取引価格を参考にします。不動産会社に相談することで情報を得られます。
* **修繕積立金 (Repair Reserve Fund):** 建物の修繕のために積み立てられている資金の有無とその金額も考慮する必要があります。買収する側は、この資金を考慮して価格を調整する必要があります。
* **共有者の持分比率:** 各共有者の持分比率(例:1/3、1/2など)に応じて、賠償額を按分します。
* **諸費用:** 不動産売買にかかる諸費用(仲介手数料、登録免許税など)も加算する必要があります。

3. 関係する法律・制度

建物共有に関する法律は、民法(特に区分所有法)が中心となります。 共有者の持分買収は、民法に基づいて行われます。 強制的な買収を行う場合は、裁判所の手続きが必要となる場合があります。

4. 誤解されがちなポイント

固定資産税評価額だけで買収額を決定することは、非常に危険です。 固定資産税評価額は、市場価格を正確に反映していない可能性が高いため、大幅な過少評価または過大評価となる可能性があります。

5. 実務的なアドバイスと具体例

例えば、固定資産税評価額が1000万円で、Aさんが1/3、Bさんが2/3の持分を持つ場合、単純に固定資産税評価額を基準に計算すると、Aさんには約333万円、Bさんには約667万円を支払うことになります。しかし、これはあくまで大まかな目安です。 正確な金額を知るためには、不動産鑑定士による評価や類似物件の取引価格調査が必要です。

6. 専門家に相談すべき場合とその理由

複雑な共有関係、高額な取引、裁判沙汰になる可能性がある場合などは、弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談することを強くお勧めします。 専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、円滑な取引を進めることができます。

7. まとめ

全面価格賠償による建物共有者の持分買収は、固定資産税評価額だけでは正確な金額を算出できません。 不動産鑑定評価額、類似物件価格、修繕積立金、諸費用などを考慮し、専門家の助言を得ながら慎重に進める必要があります。 安易な判断は、後々大きなトラブルに繋がる可能性があることを忘れないでください。

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