後見人制度って何?〜基礎知識〜
ご両親が病気などで判断能力を失った場合、ご自身の財産を管理したり、身の回りの世話をすることが難しくなることがあります。そのような場合に、ご本人を保護し、支援するための制度が「成年後見制度」です。この制度は、判断能力の程度に応じて、3つの類型に分かれています。
- 後見:判断能力が全くない状態の方を対象とします。
- 保佐:判断能力が著しく不十分な方を対象とします。
- 補助:判断能力が不十分な方を対象とします。
今回のケースでは、ご両親が病気で判断能力を失っている可能性があるため、後見制度が適用される可能性が高いと考えられます。後見人、保佐人、補助人は、それぞれ家庭裁判所によって選任され、被後見人(ご本人)の保護にあたります。
後見人の権限:銀行口座や不動産はどうなる?
後見人は、被後見人の財産を管理し、身上監護(生活や療養に関する支援)を行います。具体的には、以下のような権限があります。
- 財産管理:預貯金の管理、不動産の管理、賃貸契約など、財産に関するあらゆる行為を行うことができます。今回のケースでは、ご両親の銀行口座から入院費用を支払うことが、後見人の権限で行える可能性があります。
- 身上監護:病院への入退院の手続き、介護サービスの利用契約など、生活や療養に関する契約や手続きを行います。
ただし、後見人が被後見人の財産を処分する(売却するなど)には、原則として家庭裁判所の許可が必要となります。これは、被後見人の財産を不当に失うことを防ぐための重要なルールです。今回のケースで、姉が土地などの資産を処分するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
後見制度と関係する法律や制度
成年後見制度は、民法という法律に基づいて運用されています。民法では、後見人、保佐人、補助人の役割や権限、手続きなどが詳細に定められています。また、成年後見制度を円滑に運営するために、家庭裁判所が重要な役割を担っています。
今回のケースで重要となるのは、民法859条(後見人の権限)と860条(後見人の義務)です。これらの条文によって、後見人の具体的な権限と、守るべき義務が定められています。
誤解されがちなポイントを整理
成年後見制度について、よく誤解されるポイントを整理しましょう。
- 後見人は、被後見人の財産を自由に使えるわけではありません。財産の管理は、被後見人の利益のために行われなければなりません。
- 後見人は、被後見人の家族全員の同意を得る必要はありません。ただし、後見人は、被後見人の意思を尊重し、可能な限り本人の意向に沿った支援を行う必要があります。
- 後見人は、必ずしも家族でなければならないわけではありません。弁護士や司法書士などの専門家が選任されることもあります。
実務的なアドバイスと具体例
今回のケースで、実務的に役立つアドバイスをいくつかご紹介します。
- 後見人選任の手続き:後見人を選任するには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。申立てには、本人の戸籍謄本、診断書、財産に関する資料などが必要です。
- 銀行口座からの支払い:後見人が選任されれば、家庭裁判所の許可を得ることなく、被後見人の預貯金を引き出して、入院費用を支払うことができます。ただし、後見人は、被後見人のために、適切に財産を管理する義務があります。
- 不動産の管理:後見人は、被後見人の不動産を管理することができます。例えば、不動産の修繕や、賃貸契約を行うことができます。ただし、不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
具体例として、ご両親の入院費用を支払うために、姉が後見人として銀行口座からお金を引き出す場合を考えてみましょう。姉は、まず家庭裁判所に後見人選任の申立てを行い、裁判所から選任された後、銀行に後見人であることを証明する書類を提出し、預貯金を引き出すことができます。
専門家に相談すべき場合とその理由
以下のような場合には、専門家(弁護士、司法書士など)に相談することをおすすめします。
- 後見人選任の手続きが複雑で、自分だけでは対応できない場合。
- 被後見人の財産が多額で、管理方法に不安がある場合。
- 親族間で意見の対立があり、円滑な財産管理が難しい場合。
- 不動産の売却など、特別な手続きが必要な場合。
専門家は、後見制度に関する豊富な知識と経験を持っており、適切なアドバイスやサポートを提供してくれます。また、親族間のトラブルを未然に防ぐためにも、専門家のサポートは有効です。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回の質問の重要ポイントをまとめます。
- 後見人は、被後見人の財産管理と身上監護を行います。
- 後見人が財産を処分するには、原則として家庭裁判所の許可が必要です。
- 後見人は、被後見人の利益のために、誠実に職務を遂行する義務があります。
- 専門家への相談も検討しましょう。
成年後見制度は、判断能力が低下した方を支えるための重要な制度です。制度の仕組みを理解し、適切な手続きを行うことで、ご両親の生活と財産を守ることができます。

