成年後見制度の手続きと家族への情報開示：母の成年後見申立てに関する疑問を解消

【背景】
* 母の成年後見（判断能力が不十分な方を保護する制度）の手続きを兄が申立てました。
* 診断書なしで申立てされたと聞いています。
* 家庭裁判所（家裁）に手続きの進捗状況を問い合わせたところ、父が来れば教えてくれると言われましたが、その後別の担当者からは家族にも内容を伝えられないと言われました。
* 後見人が早く決まらないと困っています。

【悩み】
成年後見制度の手続きに関する情報が家族に開示されない理由が知りたいです。また、診断書がないまま申立てされたことや、手続きを早く進める方法についても知りたいです。

成年後見開始決定の状況は、本人または代理人にのみ開示されます。

成年後見制度の基礎知識

成年後見制度とは、認知症や精神疾患などにより判断能力が不十分になった方（被後見人）を保護し、その財産管理や身上監護（生活全般の世話）を支援する制度です。家庭裁判所が、後見人・保佐人・補助人のいずれかを選任します。

* **後見人**: 被後見人の全ての法律行為について代理権を持ちます。
* **保佐人**: 被後見人の重要な法律行為（例：不動産売買）についてのみ代理権を持ちます。
* **補助人**: 被後見人の法律行為について、補助・助言を行います。

今回のケースへの直接的な回答

家庭裁判所は、成年後見制度に関する情報を、被後見人ご本人以外には原則として開示しません。これは、被後見人のプライバシー保護と、手続きの公平性を保つためです。ご家族であっても、手続きの内容を詳細に知る権利はありません。ご父兄が来られたとしても、手続きの進捗状況について詳細な説明がなされる保証はありません。

関係する法律や制度

成年後見制度は、民法（特に第877条以下）と、成年後見制度に関する法律に基づいて運用されています。個人情報の保護に関する法律も関係し、裁判所は情報開示に慎重です。

誤解されがちなポイントの整理

「家族だから情報を得られる」という誤解は多くあります。成年後見制度は、被後見人の権利と利益を最優先します。家族の感情や利害関係よりも、被後見人の意思を尊重する必要があるため、情報開示には制限があります。

実務的なアドバイスと具体例の紹介

手続きの進捗状況を知りたい場合は、ご本人が家庭裁判所に直接問い合わせるか、弁護士などの専門家を通じて問い合わせる方法があります。兄が申立てを行った際に、ご自身も手続きに関与する意思表示をすることで、情報を得やすくなる可能性もあります。診断書がない場合、手続きに時間がかかる可能性はあります。

専門家に相談すべき場合とその理由

手続きが複雑で、ご自身で対応することが困難な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、手続きの進め方や、必要な書類の提出、裁判所との交渉などをサポートしてくれます。特に、兄が診断書なしで申立てを行ったという点で、手続きの正当性や、母の権利保護の観点から専門家の助言が必要となる可能性があります。

まとめ

成年後見制度の手続きは、被後見人のプライバシー保護を重視し、情報開示には制限があります。ご家族であっても、手続きの詳細を知ることは難しい場合が多いです。手続きの進捗状況や、手続き全般について不安がある場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。早期に専門家の助言を得ることで、スムーズな手続き進行と、ご母の権利保護に繋がる可能性があります。