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所在不明の共有者!民法252条2項と車の共有、その落とし穴

【背景】
友人3人で車を購入しました。私は20万円、友人Aは60万円、友人Bは20万円負担しました。車の所有権は3人で共有しています。ところが、最近友人Aが所在不明になり連絡が取れなくなりました。

【悩み】
民法252条2項によると、共有物の管理は、持分価格の過半数で決定できると聞きました。私の持分と友人Bの持分を合わせると、Aの持分より多いため、私たち2人で車の管理について自由に決められるのでしょうか?本当にそうなのか不安です。

はい、持分価格の過半数で決定できますが、条件があります。

回答と解説

テーマの基礎知識(共有物と民法252条2項)

まず、共有物とは、複数の人が共同で所有する財産のことです(例えば、土地、建物、車など)。民法では、共有物の管理や処分について様々なルールを定めています。その中でも重要なのが、民法252条2項です。この条項は、共有者の一人が所在不明などで意思表示ができない場合、残りの共有者で持分価格の過半数があれば、共有物の管理に関する決定ができる、と規定しています。

簡単に言うと、複数の所有者がいて、そのうちの一人が連絡が取れない場合、残りの所有者で、所有割合(持分)の過半数があれば、その財産の管理方法を決められるということです。

今回のケースへの直接的な回答

質問者のケースでは、車の所有権をA(60万円)、質問者(20万円)、B(20万円)で共有しています。Aが所在不明のため、質問者とBは、合計40万円の持分に対し、Aの60万円の持分を上回っています。そのため、民法252条2項に基づき、質問者とBの2人で車の管理に関する決定を行うことができます。

関係する法律や制度

関係する法律は、前述の通り民法252条2項です。この条項は、共有者の意思疎通が困難になった場合でも、共有物の管理を円滑に進めるための重要な規定となっています。ただし、この条項は「管理」に関する決定にのみ適用され、「処分」(売却など)については、別途手続きが必要となる場合があります。

誤解されがちなポイントの整理

民法252条2項は、簡単に言うと「過半数で決められる」というイメージがありますが、実際には「管理」に関する決定に限定されます。車の売却や廃車といった「処分」については、この条項だけでは不十分で、裁判所の許可が必要となる可能性があります。また、Aが将来所在が判明した場合、Aの同意を得られない決定は無効となる可能性も考慮しなければなりません。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

Aが所在不明になった場合、まず、Aの居所を徹底的に探す必要があります。家族や友人、職場などに連絡を取り、所在を突き止める努力をしましょう。それでも見つからない場合は、弁護士に相談し、裁判所に所在不明者に対する公告(裁判所を通じて公示する手続き)を依頼するなどの法的措置を検討する必要があります。

車の管理については、例えば、修理が必要になった場合、費用負担や修理工場の選定について、質問者とBで話し合って決定します。ただし、その決定は、Aの権利を侵害しない範囲内で行う必要があります。高額な修理など、重大な決定を行う場合は、記録を残しておくことが重要です。

専門家に相談すべき場合とその理由

Aの所在不明が長期化する、高額な修理が必要となる、車の売却を検討するなど、複雑な問題が発生する場合は、弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、民法の解釈や適切な手続き、リスク管理について的確なアドバイスをしてくれます。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

民法252条2項は、共有者の所在不明時における共有物の管理に関する重要な規定です。しかし、「管理」と「処分」を混同しないこと、Aの権利を侵害しない範囲内で決定を行うこと、そして、複雑な問題が発生した場合は専門家に相談することが重要です。 Aの所在不明という状況下では、慎重な判断と行動が求められます。

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