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所有権移転登記と保存行為:相続と売買の違い、そしてオンライン化の影響とは?

【背景】
* 相続による不動産の名義変更手続きについて調べています。
* 登記研究という書籍に、所有権移転登記が「保存行為」として扱われる場合と、そうでない場合があるという記述を見つけました。
* 売買と相続では、所有権移転登記の扱いが異なるのではないかと思っています。
* 不動産登記のオンライン化によって、手続きが変更された可能性も気になっています。

【悩み】
相続による所有権移転登記は、民法252条ただし書きの「保存行為」(*1)にあたるのかどうか知りたいです。また、売買による所有権移転登記との違いも教えていただきたいです。登記研究の記述が矛盾しているように感じ、混乱しています。

相続登記は保存行為、売買登記は原則非保存行為

回答と解説

テーマの基礎知識(定義や前提の説明)

まず、「保存行為」とは何かを理解しましょう。民法252条ただし書きは、複数の共有者がいる不動産について、その共有関係に変更がない場合に、ある共有者が単独で登記申請できることを認めています。これは、共有関係という現状を「保存」するための行為であるため、「保存行為」と呼ばれます。 一方、所有権移転登記は、所有者の変更を伴う行為です。 所有権の移転という「変更」を伴うため、原則として保存行為には該当しません。

今回のケースへの直接的な回答

質問にある通り、相続による所有権移転登記は、多くの場合、保存行為として扱われます。これは、相続によって所有権が移転するものの、共有関係に変更がない場合(例えば、相続人が複数いても、全員で共有を続ける場合)は、単独の相続人が登記申請できるからです。 一方、売買による所有権移転登記は、所有者の変更を伴うため、原則として保存行為とはみなされません。共有者全員の同意を得て、登記申請を行う必要があります。

関係する法律や制度がある場合は明記

関係する法律は、民法(特に第252条ただし書き)と不動産登記法です。民法252条ただし書きは、保存行為の要件を定めており、不動産登記法は登記手続きの方法を規定しています。 近年では、不動産登記のオンライン化が進み、手続きが簡素化されていますが、保存行為の要件自体は変更されていません。

誤解されがちなポイントの整理

登記研究の記述に矛盾を感じたとのことですが、これは、ケースバイケースで判断されるためです。相続の場合、共有関係に変更がない場合に保存行為として認められる一方、売買の場合は、所有権の移転という「変更」が本質的な行為となるため、原則として保存行為とはみなされません。 共有者全員の同意なしに単独で登記申請できないのは、権利関係の変更を伴うためです。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

相続登記では、相続人全員が同意し、相続関係を証明する書類(相続証明書など)を準備する必要があります。 売買登記では、売主と買主双方が登記申請に関与し、売買契約書などの書類が必要です。 オンライン化によって手続きは簡素化されましたが、必要な書類や手続きは変わっていません。 登記申請は、司法書士に依頼するのが一般的です。

専門家に相談すべき場合とその理由

相続や売買が複雑な場合、複数の相続人がいる場合、不動産に抵当権などの権利が設定されている場合などは、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、法律や手続きに精通しており、適切なアドバイスと手続きのサポートをしてくれます。 登記申請の手続きは複雑で、誤った申請は大きな損失につながる可能性があるため、専門家の力を借りることは非常に重要です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

相続による所有権移転登記は、共有関係に変更がない場合は保存行為として扱われ、単独申請が可能な場合があります。しかし、売買による所有権移転登記は、原則として保存行為ではなく、共有者全員の同意が必要です。 不動産登記のオンライン化によって手続きは簡素化されましたが、法律上の要件は変更されていません。 複雑なケースでは、専門家への相談が不可欠です。

(*1)保存行為:共有関係に変更がない場合、共有者の一人が単独で登記申請できる行為。

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