放置車両違反と異議申立ての基本
まず、今回の問題の前提となる「放置車両」と「異議申立て」について、基本的な知識を整理しましょう。
放置車両とは?
道路交通法では、車両が「運転者またはその車両の乗務員がその車両を離れ、直ちに運転することができない状態」で、かつ「その車両が道路上に引き続き停止している」状態を「放置」と定義しています(道路交通法45条)。つまり、運転者がその場を離れていて、すぐに運転できる状態ではない場合に、放置車両とみなされる可能性があります。
異議申立てとは?
放置違反金の通知を受けた場合、その処分に不服がある場合に、異議を申し立てることができます。これは、違反があったと判断されたことに対して、自分の言い分を主張する権利です。異議申立ては、違反金の減額や免除を求めるための重要な手続きとなります。
今回のケースへの直接的な回答
今回のケースでは、エンジン故障によりバイクを駐輪禁止場所に止むを得ず駐車し、その後、一度自宅に戻られたとのことです。この状況は、道路交通法の定義する「放置車両」に該当する可能性があります。
担当者が「99.9%無理」と伝えた理由は、道交法(道路交通法)では、故障車両であっても、駐停車禁止場所に駐車した場合は、違反として取り締まることになっているからです。エンジン故障という理由は、違反を免れるための正当な理由として認められにくい傾向があります。
しかし、異議申立てを完全に諦める必要はありません。エンジン故障の事実や、やむを得ず駐輪禁止場所に駐車せざるを得なかった状況を、具体的に説明することが重要です。例えば、故障の状況を証明する書類(修理の見積書など)があれば、それを提出することも有効です。
関係する法律と制度
今回のケースで関係する主な法律は、以下のとおりです。
- 道路交通法:車両の通行方法や駐停車に関するルールを定めています。放置車両の定義や違反金についても規定しています。
- 道路交通法施行規則:道路交通法の細かな運用ルールを定めています。
- 放置違反金制度:放置車両に対して、運転者ではなく、車両の使用者に対して違反金を課す制度です。
また、異議申立てに関する制度は、以下のとおりです。
- 行政手続法:行政機関が行う処分に対する、国民の権利救済に関する規定です。異議申立ての手続きや、その際の行政側の対応について定めています。
誤解されがちなポイントの整理
放置車両に関する誤解として、以下のような点が挙げられます。
- 「故障なら仕方ない」という誤解:エンジン故障などの理由で駐停車禁止場所に駐輪した場合でも、違反となる可能性があります。ただし、状況によっては、情状酌量の余地がある場合もあります。
- 「異議申立ては必ず通る」という誤解:異議申立ては、必ずしも認められるわけではありません。しかし、異議申立てをすることで、状況を説明する機会を得ることができます。
- 「違反金を払えば全て解決」という誤解:違反金を支払うことで、違反事実を認めたことになります。異議申立てをせずに違反金を支払うと、その後の異議申立てはできなくなるのが一般的です。
実務的なアドバイスと具体例
今回のケースで、異議申立てを行う際の具体的なアドバイスをします。
- 事実関係の整理:
- エンジンが故障した具体的な日時と場所を明確にしましょう。
- 故障の状況を詳細に説明できるように、メモや記録を残しておきましょう。
- 駐輪禁止場所に駐車せざるを得なかった理由(約束の時間に間に合わないなど)を具体的に説明しましょう。
- 証拠の収集:
- 修理の見積書や、修理を行った際の領収書など、エンジンの故障を証明できる書類があれば提出しましょう。
- 写真や動画で、バイクの駐輪状況や、周囲の状況を記録しておきましょう。
- 第三者(一緒にいた人など)がいれば、その証言も有効な場合があります。
- 異議申立書の作成:
- 異議申立書には、事実関係を正確かつ具体的に記載しましょう。
- なぜ違反を認められないのか、その理由を丁寧に説明しましょう。
- 提出する証拠を添付し、証拠の重要性を説明しましょう。
- 感情的な表現は避け、冷静かつ客観的に状況を説明しましょう。
- 異議申立ての手続き:
- 異議申立書の提出期限を確認し、期限内に提出しましょう。
- 提出方法(郵送、窓口など)を確認し、指示に従いましょう。
- 異議申立ての結果が出るまで、時間がかかる場合があります。
具体例
異議申立書には、以下のような内容を記載できます。
「令和6年6月20日、〇〇(場所)において、原付バイクが駐輪禁止場所に駐輪されているとして、放置違反金の通知を受けました。当該車両は、エンジン不調により走行不能となり、止むを得ず当該場所に駐輪いたしました。修理の見積書を添付いたしますので、ご査収ください。また、急ぎの用事があり、やむを得ず駐輪せざるを得なかった事情もご理解いただけますようお願いいたします。」
専門家に相談すべき場合とその理由
以下のような場合は、専門家への相談を検討しましょう。
- 異議申立ての書き方が分からない場合:専門家は、異議申立書の作成をサポートし、適切なアドバイスをしてくれます。
- 異議申立てが認められる見込みが低い場合:専門家は、過去の事例や法律の知識に基づき、異議申立ての可能性を判断し、適切な対応を提案してくれます。
- 異議申立ての結果に納得できない場合:専門家は、異議申立ての結果に対して、不服がある場合に、その後の手続きについてアドバイスをしてくれます。
相談できる専門家としては、行政書士や弁護士が挙げられます。
まとめ:今回の重要ポイントのおさらい
今回のケースでは、エンジン故障による駐輪禁止場所への駐車は、放置車両とみなされる可能性があります。異議申立ては難しいかもしれませんが、諦めずに、事実関係を整理し、証拠を収集し、丁寧に異議申立書を作成することが重要です。専門家の助けを借りることも検討しましょう。
今回のポイントをまとめます。
- エンジン故障でも放置車両とみなされる可能性がある。
- 異議申立ては、事実と状況を具体的に説明することが重要。
- 証拠の収集が、異議申立ての成功を左右する。
- 専門家への相談も検討する。

