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昭和60年過去問!生前贈与と登記義務者:不動産登記法の謎を解き明かす

【背景】
昭和60年の不動産登記法の過去問を解いていたら、「共同相続人AとBのうち、Aが生前贈与で土地を取得した場合、Aを登記権利者、AとBを登記義務者として所有権移転登記を申請できる」という問題がありました。解答は「正」でした。

【悩み】
AとBは、まだ土地の登記名義人(登記簿に所有者として記載されている人)ではありません。なのに、なぜAとBが登記義務者(登記の申請を受けなければならない人)になれるのかが理解できません。不動産登記法2条13号(所有権移転登記の申請要件)に合致しないように思うのですが…。 基礎的な質問で申し訳ないのですが、どなたか教えていただけませんか?

生前贈与で所有権移転登記申請可能

所有権移転登記と登記義務者について

まず、不動産の所有権を移転する際には、登記(不動産の権利関係を公的に記録すること)が必要になります。この登記を行うためには、登記申請を行う必要があります。そして、その申請には「登記権利者」(権利を取得する人)と「登記義務者」(権利を移転する人)が必要です。

今回のケースにおける登記義務者

質問のケースでは、Aが生前贈与によって土地を取得しています。そのため、Aが登記権利者となります。では、なぜBも登記義務者になるのでしょうか?

これは、被相続人の死亡後に相続が発生するまでの間の権利関係がポイントです。被相続人が存命中にAに土地を贈与したとしても、相続開始までは被相続人の所有権が継続します。相続開始後、相続人であるAとBは、被相続人の遺産(土地を含む)を相続します。

このため、Aは生前贈与によって土地を取得していますが、相続開始時点では、AとBは共同相続人として被相続人の土地を相続することになります。 つまり、登記名義人ではないものの、相続によって土地の権利関係に関与する立場にあるため、登記義務者として申請に参加する必要があるのです。

不動産登記法2条13号との関係

不動産登記法2条13号は、所有権移転登記の申請要件を定めています。 この条文は、厳密には、登記名義人であることを登記義務者の要件として直接的に規定しているわけではありません。 重要なのは、権利を移転する意思表示を行うことができる者であることです。

今回のケースでは、被相続人からAへの生前贈与という事実と、相続開始後の相続関係を考慮することで、AとBが権利移転に関わる当事者であると判断できるため、2条13号の要件を満たしていると解釈できます。

誤解されやすい点:登記名義人と登記義務者の違い

登記名義人は、登記簿に所有者として記載されている人です。一方、登記義務者は、登記の申請を受けなければならない人です。 必ずしも登記名義人と登記義務者が一致するとは限りません。 今回のケースのように、相続や生前贈与など、複雑な権利関係が絡む場合、登記名義人ではない者も登記義務者となる場合があります。

実務的なアドバイス:慎重な手続きを

所有権移転登記は、専門的な知識と手続きが必要です。 少しでも不明な点があれば、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 誤った手続きを行うと、登記が却下されたり、後にトラブルの原因となったりする可能性があります。

専門家に相談すべき場合

相続や生前贈与を伴う不動産登記は、複雑な法律知識が必要となるため、専門家のサポートが不可欠です。特に、複数の相続人がいたり、遺産分割協議が複雑な場合などは、必ず専門家に相談しましょう。

まとめ:生前贈与と相続の複雑な関係

今回のケースは、生前贈与と相続が絡み合うことで、登記義務者の範囲が通常とは異なることを示しています。 登記に関する手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを得ながら、慎重に進めることが重要です。 登記名義人と登記義務者の違い、そして不動産登記法の解釈を正しく理解することで、将来トラブルを回避できるでしょう。

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